盛岡城跡
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【必読書150】石川啄木『時代閉塞の現状』(1)
―――村の小学校の“代用教員”
日露戦争の“勝利”によって
“不平等条約”も改正され
“維新”以来の「追いつき追い越せ」
の掛け声にせかされてきた国民精神は、
タガが外れたかのように放散した
各地で騒擾の群衆が交番を襲い
労働争議も頻発した
“国家の危機”を感じた政府は
天皇を中心とする《国体》思想で
民心を引き締めるため、
学校教育の普及と統制をはかる。
《大逆事件》をでっちあげて
社会主義者を見せしめに処刑した。
《近代文学》もまた結果的には
“締めつけ”の道具として機能した。
夏目漱石は、満洲で、
日本が新たに獲得した「植民地」を礼賛し、
中国人労務者にヘイト言辞を浴びせていた。
二葉亭四迷もまた、満洲を
“主人”として闊歩できる「自由」に
快哉した。そのとき‥
日本人でただひとり
「くろぐろ」とした厭悪の思いで
日韓併合を非難した石川啄木。
村の小学校の臨時雇い
にすぎなかった彼は
国家主義に抗して
自由教育を実践した。
‥‥この独創的詩人の
みじかくも激しい生涯を
私たちはけっして忘れまい!