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       嵐の中の穂

 おおなんと暗く嵐が叫んでいることか!
 ぼくらは恐れて背をこごめ、その
 ぞっとするような力に激しく掻きむしられる
 震えながら目覚めて一晩をすごすのだ。

 もしもぼくらが朝まで生きていたならば、
 おお空はどんなにして明けることだろう
 そよかぜと群れのざわめきと、どんな
 至福の波がぼくらに打ち寄せてくるだろう。




 暑いですね。暑い季節のシベリウスは、また格別。冬聴いたら凍りついてしまいそうな曲も、この季節に聴けば、かき氷のかわりになるかもw

 神秘にみちた夜の森を歩きつづける、ちょっと暗色の音詩から、まずは。。。


 

シベリウス:音詩『エン・サガ(ある伝説)』
ヴラディーミル・アシュケナージ/指揮
フィルハーモニア管弦楽団

 


 ↓つぎの音詩は、夜間の騎行から、日の出までを表しています。画面を見てゆくと、どのへんで日が出てくるのか、わかるようになっています。お行儀よく聞く必要はありませんw 適当に先送りしながら聴いてください。

 

シベリウス:音詩『夜の騎行と日の出』
サイモン・ラトル/指揮
フィルハーモニア管弦楽団

 

 




 


 つぎはシンフォニーですが、民謡調の第3番、最初の楽章をまだ聴いていなかったので、まずそこから。。。

 

シベリウス『交響曲 第3番 ハ長調』から
第1楽章 アレグロ・モデラート
ロリン・マーゼル/指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

 


 愛国心に燃えて民謡風の哀愁を追求した前期シベリウスと、独立達成後は、より現代的で実験的な作品も手がけて行った後期とのあいだ、いわば分水嶺に位置しているのが、第4番。正直言って、なかなかとっつきにくい曲です。シベリウス自身手さぐりで、まだ方向がはっきりと定まらないために、そんなふうに聞こえるのかもしれません。

 チェロの、おそろしく低い唸りからはじまります。地底から響いて来るような重い震え、しかもそれが、ときどき消え入りそうになりながら、ずっと続きます。

 ここは、わかりやすい解釈で定評のある、アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の演奏で聴いてみたいと思います。


 

シベリウス『交響曲 第4番 イ短調』から
第1楽章 テンポ・モルト・モデラート,クヮシ・アダージオ
エルネスト・アンセルメ/指揮
スイス・ロマンド管弦楽団

 



      花ざかり

 桃の樹が満開の花をつけて立つ、
 花がすべて実になるわけではない、
 薔薇の泡のようにきらきらと輝いて
 あおぞらと雲の列
(つら)にゆれる。

 思想の誕生も樹の花とおなじこと、
 数かぎりなく毎日現れては消える――
 咲けよ花々!ものの過ぎ行く道すじのままに!
 あえて収穫を問うことなかれ!

 すべては罪なき戯
(たわむ)れ、
 稔
(みの)らぬ無駄花だとしても、
 それらのない世界はあまりに狭く
 人の生は楽しみを欠くことだろう。



 

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