- 新型インフルエンザH5N1 (岩波科学ライブラリー 139)/岡田 晴恵
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サイトカインーインフルエンザ症状
細胞が、あるウイルスに感染すると、それを認知したというさまざまなシグナルが、感染細胞から周囲のマクロファージなどの免疫細胞に伝えられる。
これが引き金となって、一連の炎症反応が連鎖反応をおこして一気に発動する。
それによって、感染から防御しようとするさまざまな生体の防御応答や免疫反応がおこる。
これらの過程において、さまざまな炎症系サイトカインが産生され、インフルエンザの場合には、高熱や頭痛、筋肉痛、疲労感などのインフルエンザ特有の症状が出て来ると説明されている。
しかし、このサイトカインについては、インフルエンザウイルスにかぎらず、さまざまな微生物の感染によっても同じような反応がみられる。
しかし、症状や病理変化として現れてくる病気には'多くの場合、それぞれの病原体によって特徴があり区別される。
したがって病原体の感染から特徴的な病像の発現に至る過程においては'多くの病原体に共通のサイトカインなどの関与があるにしても、これだけではそれぞれの病気の病像の違いを説明することは難しい.
H5N1型ウイルスの感染においてみられるサイトカイン・ストームについても、これが通常の弱毒型ウイルスでおこる生体反応と質的に同じもので、その程度がとくに強いものなのか、質的に異なるものなのか、未解決の領域である。