私営バスがストライキを決行した。十分な駐車場を確保しないまま、駐車違反の料金を大幅に値上げした役所に対する抗議行動である。市内からバスがほとんどなくなって、道路がかなり空いていた。バス通勤者の中には、仕事を休んだり、早引きしたりする職員が目立った。

朝一で、現場監視官(Site Monitor)にふさわしい候補者の面接を行う。このところの復興景気で、技術者の売り手市場が続いている。給与も雇用期間も他の機関やNGOのそれにかなわないので、良質な人材は他に流れてしまう。大ボスやCチーフに現状を説明するも、なかなか理解してもらえず、歯がゆい思いをする。

7/25に打診のあったインドからの帰国者の一時的な生活場所として、津波被災者用仮設住宅を適用することについて、どうやら本格的に始まるらしい。担当者Y氏が再び相談に来た。一応、Cチーフに話を通してから来てほしいが、彼にどやされるのをわかってか、私のところに直接来る。そんなに、「あれもこれもできないですよ」とY氏に軽く言ってみるが、通じなかったみたい。

7/14に排水溝のことで相談にのって頂いたJICAのY氏に挨拶に伺う。地元の水道局に頂いた助言は、要約すると「現地の等高線を計測し、それ応じて溝を設置するとよい」といった簡素なものであったので、どこから手をつけていいかわからないと正直に伝えると、いくつか案を示していただき、それを元に計画案を作成し、見積もりをとることにする。空き時間に再び現場に来ていただけるということなので、心強い。

移動中にKFC(Kentucky Fried Chicken)を見つけ、遅い昼飯を車中で済ます。原稿を読んだり、電話をしたり、じっとしていないので、運転手があきれていた。

Kalutara事務所で今月よりWater/Sanitation担当として採用したS氏と打ち合わせをする。役所上がりだからか、新聞ばかり読んでいて仕事をしないという周囲の批判が本当かどうかを確かめる。いくつか現場の図面を用意しており、首にするまでの乏しい勤務状態とはいえない。定期的に報告するように伝える。彼の排水溝の改善案は予算を超えそうであるが、まずは作業内容と見積もりの作業をしてもらうことにする。

夕方に、Kalutara事務所に被災者数名が集まり、生計(Livelihood)支援のための、大工道具セットやミシン、調理器具などの用具が贈呈された(写真)。大工になりたい人には大工道具セットを、食堂を経営したい人には調理器具やテーブルといすを、ケーキ屋になりたい人には、ミキサーやオーブンを渡す。担当者が事前に調査をした結果、認定者のみが受け取ることができる。

受け取った被災者らは本当に嬉しそうだった。家財道具を何もかも失った彼らの、一からのスタートである。何を職業として生きていくか、ふと将来の夢を思い出した。自分は、いったい何をめざしているのだろう。

Colombo事務所に戻って、 R親方の奥さんがつくってくれた弁当をたいらげる。Cチーフが戻ってくるまであと一日。やっと重圧から開放される。