
出勤前に某ホテルのロビーで、日本から調査で来られたK先生にご挨拶する。週末の調査に同行する予定であったが、現場の都合でやむを得ずお断りする。私の持っている情報提供およびGalle役所との会談の日時調整をさせて頂く。
今週から電気をつけていた現場の様子を見に行く。すでに、住民により色が塗られて、見栄えが断然よくなったものがあり驚く。そうこうしていると、開所式が始まるから出席してくれと避難所リーダー(役場担当者)が言う。うちの機関としては、何も聞いていなかったので、Cチーフに連絡するがBill(クリントン氏)と会っているらしく連絡がつかず。他の先輩にも連絡するが、出張中とのことで、私が出席することになる。県知事の横に座り、式典を見守るが、何が話されているのか全く見当がつかず。”Tsunami”だけは聞き取れた。同席したS君によると、「津波によって、私たちは大きな被害を受けたけれど、今日こうして仮設住宅を手に入れることができました。感謝して、新しい生活を始めましょう」という内容であったらしい。その後で、被災者の人たちから、お祝い事用の食事が振舞われた。さらに、建設前にいろいろ不満をぶつけてきた被災者の方から、握手を求められたことが、式典以上に感慨深かった。
昼から、集会所が建てられている現場に様子を見に行く。P師匠のかいた住宅図面を参考に、自分なりにアレンジしただけのものであるが、描いたものが形になる喜びを実感する。80%近く完成していて、すでに子供らが中で遊んでいた。
事務所に帰ってきて作業をしていると、Cチーフの家に夕食をよばれることになる。R姉御とベラリュースのO君と三人でCチーフの家に行く。車をおりると、目の前には20階建の高層マンション。日本でいうところの六本木ヒルズとでも言えようか、感嘆するばかりであった。家にあがると、君は興味があるだろうからとCチーフが自ら各部屋の隅々まで見せてくれる。調子に乗って「避難経路は確保されてますか」と聞くと、「さすが、専門家は視点がちがうねぇ」と好印象。R姉御の手料理パスタを囲んで、会話を楽しむ。今日までCチーフには苦手意識を持っていたが、口下手な自分を彼なりに理解してくれようとする配慮に気がつき、それがとても嬉しかった。
嬉しいことばかりが続いた一日。楽しいことがあれば、昨日までの苦労は消えてしまうのだから不思議なものだ。