バンドマンだった時代、私はまだ20代前半で、血気盛んでした。
喧嘩とかそういうことはしませんが、
音楽番組を見たら、若手のバンド大御所バンドすべてに対して
批判的で、自分のほうが上手いと思っていました。
テレビに出るようなバンドは、早弾きそんなにできないし、
スイープもしませんから、私の目にはラッキーで
テレビに出ているくらいにしか思いませんでした。
スタジオでバイトし始めると、メジャー、アマチュア、インディーズ問わず、
いろんなバンドと交流を持つようになれました。
いろんなライブを見て、話をして、音源を聞くうちに、
以前のような批判的な気持ちがなくなることに気がつきました。
売れているバンド、テレビに出ているバンド、
それぞれ、皆普通以上に努力をして、
結果を出して、がんばっているのを見て、
批判的な自分の心がいかに矮小で卑しく思えました。
それ以降は、バンドの批判はしません。
会話に参加したりしますが、感情的にはならないし、
敵意もありません。
むしろ自分は成功すると思っていたので、
自分から成功者の悪口をいうのをやめました。
バンドマンが売れているバンドマンを批判するとき、
売れていないほうの9割は、はっきり言って
売れているバンドに比べて、何もしていないに等しいほど、
営業なんか特にしていないことが多いです。
売れるということは、とんでもなく大変なことで、
そもそも売れるレールに乗っかることがまず、難しい。
そもそも、そんなレールも確実ではないので、
売れたバンドというのは、相当な努力もしています。
私はアマチュアバンドのときに、客がパンパンの箱でライブすることが
ほとんどありませんでした。
私のバンドも、対バンも、お客さんを
呼ぶことをしなかったからです。
売れているバンドは、そういうところから
一生懸命手売りでチケットをさばいたりしています。
根本の意識が違うのに、
売れると、チケットもさばかないようなバンドから
「あいつらは~」と悪口を言われ、
魂を売っただの、●●のパクリだの、
曲がダサいだのと言いたい放題いわれます。
違います。第一に、いくら流行っていても、
メンバーの見栄えと曲がダサかったら売れないです。
曲を買っている多くの人たちが
カッコ良いと思ったり、おしゃれだと思ったり、
メンバーをかっこいいと思ったりして
売れているバンドを支持しているんです。
スタジオでバイトしていたときに、
批判的なのは、20代の若いバンドが多かったです。
しかしメジャー契約しているバンドが、ロビーで
他のバンドに対して批判しているのは聞いたことがありません。
ようするに、同年代の若い「普通レベル」のバンドは、
売れているバンドが自分たちと同じように
なにもしていないのに、売れているバンドと同じステージにいるつもりなんです。
男の嫉妬は、みっともないですが、実は女よりも女々しいです。
私はそれを「精神的なホモ」と呼んでいますが、
足を引っ張り合いたい連中は精神的なホモ関係にいるから
売れないバンドは、いつまでも売れないんだと思っています。

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