この作品から怒涛の後半戦に突入。この前12月に上演した『ライナスの毛布』までノンストップで駆け抜けました。

アリスインプロジェクトさんの『降臨ハーツ』は人気シリーズ『戦国降臨ガール』のリブート作品。松田壱岱さんの作演出した世界を脚本・麻草郁さんとタッグを組み、挑戦させていただきました。ここまでがっつりアクションの作品を演出させていただいたのは初。3月にやったバグバスもアクションはありましたが、降臨ハーツの方が圧倒的にアクションシーンが多かった。稽古も半分くらいは殺陣稽古でした。いや〜、大変でした。でも、座組の子達が本当に熱心な子が多くてとても助けられました。稽古場でみんなによく言っていたことは「初めて殺陣をやるは言い訳にならない」でした。物語のメインが戦うことである以上、戦いをしっかりと描かないといけません。戦う形だけではなく、戦っている時の気持ち、戦いもお芝居の一つと捉え、「このセリフがあるから気持ちが動き、ドラマが加速していく」と同様に、「この戦いがあるから気持ちが動き、ドラマが加速していく」ということを共通認識として持ってもらいました。あと「とにかく走る」。殺陣が初めてだとまあ言い訳にはならないにしても限界はあります。そりゃ何年もやってる人にかなうわけない。でも、走ることはできるはず。だから全力で走って全力で戦って欲しいと。走ることで心拍数も上がって内的テンションも上がりますからね。

私がガールズ演劇を演出する時に気をつけていることは「脇役こそしっかり演出する」です。プロデュース公演の常として、脇に経験の少ない子がどうしてもキャスティングされます。クオリティは細部に宿りますから、本当は脇に経験豊富な人を持ってきた方が全体のクオリティは間違いなく上がるのですが。メインどころの子達も演出はちゃんとしますが、出番が多いので当然稽古の時間も多くなる。やっていくうちに必然的に上手くなっていくのですが、脇の子達は出番も少なく、どうしても稽古時間が少なくなる。だからこそ、しっかりとやらないとダメだと思っております。本番の舞台に立つまでに極力、役者たちの不安を取り除いてあげるのも演出家の仕事ですからね。もちろん、全部の不安を取り除くことはできませんが、不安ばかりの状態ではいいパフォーマンスなんてできるわけありません。降臨ハーツではキャストの数も多く、細部まで演出をするのが本当に大変でした。自分ではベストを尽くしたつもりですが、まだまだだったかもしれません。そこは経験の豊富なキャスト陣がうまくカバーしてくれたと思います。演出助手もしてくれた高瀬川すてらさんや山本太陽くんには助けられました。アリスインさんで沢山演出させていただいておりますが、1、2を争うぐらいとても印象に残っている座組でした。彼女たちとやれて、本当に良かったと心の底から思っております。