すいません。ドタバタしておりまして間が空いてしまいました。公演が終わって1週間が経ちましたが、最後まで書き上げますので今しばらくお付き合いを!本日は物語Bの続きから!

 

【物語B:いつか出会う歌】

○椿保奈役:伊藤みのりさん、宮崎優衣さん

保奈は大人な雰囲気で、でもちょっと茶目っ気があってみんなのリーダー的なものを出さないといけない役。そして物語Bをビシッと締めなければならない役。不思議部が楽しそうにすればするほど彼女たちの舵取りも大きくしなければならなくなる。そのあたりの緩急はお二人とも非常に良くできていたと思います。伊藤さんは落ち着いた大人な雰囲気を出しつつもチャーミングなところではちょっとマイペースな部分も表現したり「人間・保奈」を実に豊かに演じてくれたと思います。彼女の独特のアンニュイな雰囲気が役と非常にマッチしていたかなと。レジスタンスのキャストたちは月組も星組もほとんどの日替わりネタを自分たちで考えてくれ非常に良いチーム感が出ていたのが好印象。役的にもリーダーであるお二人がその辺りはうまく引っ張ってくれていました。初舞台で民本も共演した際に、私は観に行けなかったのですが観劇した劇団員から「伊藤みのりさん、良かったですよ」と聞いておりました。そして、偶然にもこのタイミングでご一緒できたのはやはり縁があったということなんでしょうね〜。緩急が必要な難しい役を堂々と演じてくれました。

ざきぽんは私が勝手に「大人っぽい」と思い込んでおりまして、まさかまだ20歳(本番当初)だとは思いもよりませんでした。彼女自身、自分よりかなり年上な役で少し難しかったようですが、全くそんなことを感じさせないくらい堂々たるお芝居だったと思います。普段お話ししているとあどけない顔で笑ったりするのですが、お芝居となるとスイッチが入るタイプなんでしょうね。立ち振る舞いや雰囲気がパッと変わる。声もなんか妙にセクシーだし、また違った保奈を見せてくれました。役にグッと入り込んでくれるのでセリフにも説得力が出るんですよね〜。体は非常に華奢なんですが、ちゃんとリーダー感も出ていましたし、たいしたものです。お芝居経験もまだ一年経つか経たないかぐらいらしく今後の伸び代が非常に楽しみな存在ですね。というか、今回の座組は完全な初心者は少なかったものの、お芝居経験が1年やそこいらという子が非常に多かったのですが、みんなお芝居に真摯に向き合い、非常に向上心が高かった。改めて良い座組だったなと思います。適性寿命が40歳になったと伝えた後の影芝居も非常に良かったですね。伊藤さんもざきぽんもなんとも言えない「やるせないやら悔しいやら哀れみやら」がたくさん入り混じった良い表情をしておりました。自分たちの力の無さを恨んでいるようにも見えました。やはりクオリティは細部に宿ります。そのあたりの影芝居も含め、物語Bの負の面の雰囲気をしっかり出してくれたお二人でした。また是非ご一緒したいですね。

 

○寺林早紀役:水幾まどかさん、縣みりあさん

早紀は真琴が少し心を許しているお姉さん的存在。お二人の早紀は全く違うアプローチでお姉さんしておりました。

水幾さんは「優しいお姉さん」タイプ。持ち前のふんわりした優しい雰囲気を上手く役に乗せていたと思います。稽古当初は声量が足りなくて(というか今回大きな声の子が多かったので、みんなに比べると少し足りなかった)何度かそのことを伝えましたが、稽古中盤ぐらいから急に大きな声が出るようになったことには驚かされました。本番に入り、最初はちょっと緊張していたのかまた少し声量が落ちましたが、すぐに取り戻し、しっかりやれていたと思います。真琴を心配して追っかけてくるシーンのセリフでは優しさを失うことなく、そのままの雰囲気で真琴を説得していたのは非常に印象的でした。稽古当初から本当に成長したなあと思います。まだまだ、思いっきりよくお芝居がやれるようになると思うので頑張って欲しいですね。次の現場でのスタートラインを今回の千秋楽のお芝居ぐらいでやる気持ちでやれば、次はさらに上に行けるはず。ふんわりとまろやかな雰囲気が出せるのが彼女の持ち味だと思うのでそこも伸ばしつつ、ギャップでもっと迫力を出せたりできるようになればいいですね〜。

縣さんの早紀は「元気なお姉ちゃん」タイプ。パワフルにどんどんお節介を焼いてくる。稽古当初にやった「ちょっとチャラい感じ」の早紀が面白かったのでそこをベースに役を作ってもらいました。彼女は緩急もうまくつけられるので、そんなパワフルな中にもしっとりした優しさを見せたりと良いバランスでやっていたと思います。登場時のあのテンションの高さが私はものすごく好きでしたね笑。彼女は目が非常に大きいので目の演技が印象的でした。新宿村LIVEぐらいのサイズでも十分に目の表現力を発揮できていたと思います。彼女の大きな武器でしょう。あとは声が非常に特徴的だなと私は思います。どこか切なさを感じさせるというか。ただ声にもう少し芯が出てくれば、あの切なげな声も大きな武器になってくるのではないかなと思いますので、発声などの基礎をしっかり積んで欲しいですね。深刻になるシーンではあの目の表現力と切なげな声で場をビシッと締めてくれていましたし、物語Bの進行に大きな力を与えてくれていたと思います。セリフのニュアンスを掴むのも早いので芝居感が良い子。もっと大人っぽい役とかもいいお芝居するんだろうなあと思うので、今度ご一緒する機会があればそういう役所もハメてみたいですね。これからもっともっと上を目指して頑張って欲しいです!

 

○竹内詩雨役:川添りなさん、加藤文美さん

レジスタンスにパワーを注入する起爆剤的な役所。お二人とも非常にパワフルに演じてくれました。

川添さんはお芝居スペックが高いと思います。声も大きくて迫力もあるし、とにかく目力が強い笑!若干セリフの速度が速くなりすぎることがあるのですが、それで噛まないですからね。役にグッと入り込むのは稽古当初からやれていたし、良い女優さんになりそうな雰囲気がプンプンしますね。今回はスケジュールの都合上、あまり稽古に参加できなかったのでプラスαの演出をつけてあげられる時間がなかったのが非常に残念。詩雨のような役は台本的な役所にどれだけプラスαを入れて行けるかが演じる上での醍醐味だと思うので私的には悔やまれます。彼女のスペックがあればまた違った味の役にできたと思います。体は小さいのですが、滲み出るパワーは素晴らしいものがある。セリフも歯切れが良いので私は好きなタイプの女優さんですね。次にご一緒する機会があるときはもっと時間をかけてお芝居づくりをしてあげたいなあと切に思います。あなたはもっと輝ける!

ぶんみー(加藤さんのあだ名)は小柄ながらもキレよくそしてパワフルに演じてくれました。彼女は台本を非常に読み込んでおり、ちょっとしたセリフのニュアンスを表現してくれておりました。なので、ただのパワフルなだけではなく「レジスタンスの活動に参加している」彼女の心の中というかそういった台本上にはない部分が見えていた気がします。体育会系なノリのところとかは彼女の小柄さを生かした面白いお芝居だったと思います。真琴にはガンガン強く当たるのに保奈に言われるとサッと従う。また、そのたしなめるセリフを保奈役のざきぽんがサラリというのが私的にはツボでした。全力で怒って全力で謝るぶんみーの詩雨は非常に愛らしかったと思います。彼女は役を深く考えるという利点を持っているのですが、ともすればそれが足かせになってしまう部分も今後出てくる可能性があります。役を真剣に考えつつも一歩引いたところでも役を考えられるように(いい意味でいい加減に)なればさらに役の深みが増したり幅が広がると思います。本番を通じて常に高いクオリティのお芝居をしていたぶんみー。その頑張る力は大きな武器です。どんなジャンルでも「頑張る・努力する才能」を持っている人が最終的には勝つものです。今の姿勢を忘れずに突き進んで欲しいですね。

 

○伊舎那役:高橋佑奈さん、國井紫苑さん

厳しくもでもどこか非常に人間臭い管理局のアンドロイド。そんな揺れ動くアンドロイドをお二人とも非常にうまく演じてくれていました。高橋さんがまだ10代であることに千秋楽の挨拶で気づき衝撃を受けました。役を決める際は実年齢より見た目の雰囲気などを重視するので偏見に捉われないようにあまり年齢を見ることがないのですが、まさか10代だったとは・・・。10代とは思えない落ち着いたしっかりしたお芝居をする子。お芝居のクオリティも高く、稽古・本番を通してほぼミスなしだったんじゃないかなと思います。というか、オーディションの時の読み合わせから常に安定した台詞回しでした。いるんですよね〜こういう役者さんが。何度も言うようにミスが少ないというのも立派な才能です。ミスが少ないから思い切っていろいろなこともできるようになる。そして何度も言うようにまだ10代ですからね。末恐ろしい女優さんです。普段は物静かな感じなのですが、お芝居となるとちゃんと迫力も出せるし。あ、そういえば稽古当初は迫力を出せなくて少し苦労した時期もありましたね。でもあっという間に乗り越えていってました。柔軟性もあるし良い女優さんです。逆にハッチャけた役とかやらせたらどうなるんだろう?ちょっとそういう配役も楽しみですね。

國井さんもお芝居に対してものすごく真摯。そして役に対しての欲も持ち合わせている。「ここのセリフをこんな感じにしてもいいですか?」「ここの登場の仕方、こう言うのどうですか?」と色々提案してくれる。役のことをたくさん考えている証拠ですね。その案を採用するかどうかは別として、そういう心がけは非常に大切だと思います。お芝居のスペックも高いと思うので、ここから先に行くために「自分を追い詰めすぎない」というスタンスも持てることが大切でしょうね。まあ私の個人的意見ですが、お芝居はあくまでフィクションです。なのでリアリティや本質を突き詰めて行っても限界がある。だって嘘ですから。リアリティを追求するだけでみんなを「おお〜」と唸らせることのできる役者は本当に何万に一人の天才なんだと思います。なので「フィクションだからこそできること」をプラスで考えるべきだと思うのです。そこを考えることが面白いと思えてくれば、芝居の幅が間違いなく広がります。國井さんは役へのダイブは十分にできているので、そういった次の段階に進むことができると思います。ニュートラルに柔軟に役と向き合うといいますか。どんな真面目な役でもそれは同じです。今度ご一緒するときはそのように少し羽を伸ばした彼女の姿を見てみたいなと思います。

 

○多聞役:林田鈴菜さん、白井真緒さん

猪突猛進のアンドロイド。任務のためなら上司にもたてつく。伊舎那と同じく物語Bの負の部分を表現する役所。

れなおは今回が2回目のご一緒。前回はすごく明るい役をやってもらったので今回は真逆のシリアスな役に挑戦してもらいました。最初は迫力のみでグイグイ演じていたのですが(まあそれも良かったのですが)、途中から多聞なりの悩みや思いやりも繊細に表現してくれていたと思います。前回ご一緒したDANCE!×3から非常に成長したなと感じました。前回の役もセリフのほとんどが「その通りです」と言う難しい役だったのですが、まあ元気と明るさがあれば乗り切れる役。今回は役としてシリアスさを出すだけではなく物語としてのシリアスさを出さなければいけない立ち位置。また様々な資質のアンドロイドが出てくる中、多聞というアンドロイドがどういう資質のアンドロイドなのかも表現しないといけない。うまく表現できていたと思います。最後、回想シーンで多聞が伊舎那を打つシーン。あのシーンは「多聞が暴走後に撃ったのか、それとも暴走前に打ったのかわからないラインで撃って」と注文したのですが、そのあたりもなんともいえない表情で表現してくれていました。お芝居の表現の幅が広くなりましたね。そういう部分を見れることが再びご一緒した時の醍醐味。嬉しかったな〜。次はどんな側面を見せてくれるのか?非常に楽しみですね。

白井さんは、今回が実質初舞台。まあ、読み合わせの時とは全くの別人になったと思えるほど、芝居や発声、台詞回しが抜群にうまくなりましたね。今回はこのような厳し目の役ですが、見た目が実に清楚。お嬢様役とかも面白そうですね。そう思えるのも、今回の役をしっかりと演じ切ってくれたからだと思います。だから次の想像ができる。ちょっとお芝居を急ぎすぎるところがあるのですが、体内時計が速いことは良いこと。あとはそのスピードを調節できるようになれば武器になりますね。彼女も目が大きいので目の表現力が非常に高い。整った顔立ちなので、そんな顔立ちで眉とか潜められると「わー、怖っ!」ってなります。セリフの圧も非常に高く、良い女優さんになりそうですね。れなおもそうだったように、白井さんも多聞の抱える複雑な部分を上手く表現してくれていたと思います。あと、姿勢が良い!これも役者として重要な部分ですね。まっすぐ立てると言うか。基本スペックが非常に高い子なのだと思います。今回の舞台でお芝居のことが好きになって、また「舞台に出たい!」って思ってもらえていたら幸いですね。若い子たちがどんどん舞台とかお芝居の世界に入ってきてくれれば、間違いなく芝居界の活性化に繋がりますから。白井真緒ちゃん、注目ですよ〜〜!

 

さて、今回はこの辺で。次回はいよいよ物語Cのキャストについて。あと一回で終わるかな〜・・・。