「公務員を捨てて民間会社に行きたい」2つの内定をもらった女子学生の投稿が話題に専門家に聞いた
安定を求めて公務員になるか、やりたいことを求めて教育関係の会社に入るか――。悩める女子学生の投稿が.......... ≪続きを読む≫

記事中のコメント等にもありますが、

 

「公務員は安定」「教育関係は斜陽産業」だから公務員を選ぶべき、といったいかにもステレオタイプの批判ばかり。

 

まず、たしかに公務員は安定しているかもしれませんが、やりたくもない仕事を「安定」という名のもとに、今後の人生の大半をささげるという発想自体、「安定」の名のもとに「人生」を捨てているだけです。しかも、その「安定」とやらも、現在の状況の話であって、将来的にどうなるか、特にまだ学生の身で今後公務員の状況がどうなるかなどわかりません。さらにいうと、公務員もブラックが多く、公務員を辞めたいという人は結構います。

 

それをやりたくもないのに、現時点の制度上の安定とやらを過大評価し、公務員になるというのは、かなりの愚策です。少なくとも、公務員の安定性だけで、公務員を勧める連中は視野が狭すぎるので、無視するに限ります。

 

それでは、教育関係がよいかというと、たしかに「分野によっては」斜陽産業ともいえなくもないです。しかし、最近の予備校や塾は、旧来型の子供向けの学習塾だけでなく、成人向けの資格教育、さらにはコンテンツとコラボした教育、オンライン等を駆使した授業も行われており、やり方次第ではどうとでもなります。現に、司法試験等資格試験について、新興系とよばれる予備校が次々と新規参入しており、一定の受験生の支持を集めています。少なくとも、「子どもが少ない」などといった理由で教育業界全体を斜陽産業と切って捨てるのは、視野が狭すぎます。

 

そして、「やりたいことをやる」というのが何より肝心なところで、どんなに安定していても、やりたい仕事でなければ長続きしません。「安定」していても、辞めてしまえば安定も何もありませんし、安定のみで公務員になった人が辞めていく例は相当数あります。それよりも、やりたい仕事について熱意をもってやるのであれば、それ自体大きな財産になりますし、「教育業界」でキャリアを身につければ、たとえ就職先の企業がつぶれたとしても、他の企業への転職も容易になります。

 

とはいっても、公務員を少し経験するのは悪いことではありません。上述のように嫌なら辞めてよいでしょう。数年間程度公務員やって、その後民間に就職するという方法もあります。また、あれこれいろいろとキャリアを身に着け、その後独立するという方法もあります。少なくとも、現時点で公務員か教育業界どちらかに一生をささげることを決定しなければならないことはありません。

 

いずれにしても、公務員は安定しているから公務員にすべき、という論調はあまりに視野が狭くかつ、自信のキャリアアップの障害でしかないので、無視するに限ります。