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第1章 政治体制全体の外観
共和制
君主制
世襲君主制⇨第2章
新興君主制
全面的に新しい君主政体⇨第6−9章
部分的に新しい君主政体 = 複合の君主政体⇨第3章
自己の軍備と力量で獲得した君主政体(第6章)
他者の軍備と運命で獲得した君主政体(第7章)
=力量か運命を前提として私人から君主に成り上がった者たちの君主政体
第8/9章 = 力量も運命も前提とせずに成り上がった者たちの君主政体 について論じられている。その時代わりに前提となるのが、極楽非道な何らかの道か、あるいは市民たちの好意によるものとなる
第8章 極悪非道によって君主の座に達した者たちについて
事例⑴ シチリアのアガートクレ
アガートクレは陶器工の家に生まれ、軍隊に入る。階級を上り詰めシラクサの軍司令官となる。そこから君主に成り上がろうとするのだが、当時シチリアに進軍してきていたカルタゴのハミルカレに軍司令官の地位を譲渡する代わりに、自分が君主になるために助けるよう取引を交わす。
彼は抜かりなく準備し、シラクーザの民衆と元老院を招集し、その場で裕福な市民と元老委員を全員殺害する。残る市民たちは彼に反対することはなく、彼は君主になる。
その後、カルタゴ軍に敗れたもののシラクサの街は保持し、それどころか隙をついてアフリカのカルタゴを攻撃し追い詰めることで自らの地位を確たるものとした。
彼を君主たらしめたものは極悪非道であった。数多の危険を乗り越えた'力量'と精神力で言えば、彼より勝るものはそういないであろうが、彼の極悪非道を力量と呼ぶのはふさわしくなく、従って彼を偉人として容認することは到底許されない。従って、彼は極悪非道を前提として君主に成り上がった人物とすることができる。
事例⑵ フェルモのオリヴェレット
彼は父親を早くに亡くしたのでジョヴァンニ=オリヴィアーニという叔父に育てられ、やがて軍事教練に参加するため、当時有名な傭兵隊長パウロ=ヴィテッリに師事を仰いだ。訓練が終わり、彼は軍隊で高い地位につくことを望んだ。
彼はフェルモの占領を夢見て自分を支持する兵士を使って計画を実行した。ジョヴァンニを欺き、彼の家でフェルモの重要人物を招いて宴会を催した。そこで彼らを兵士を使って殺害したのである。彼はフェルモの君主となり、周囲の国々から大変恐れられる存在となった。アガートクレ同様、その地位は安定した。
まとめ
先述は両者とも極悪非道を持って安定した君主政体を築いた者だったが、当然残虐な手段に訴えながらも政体を維持できなかった例もある。その違いはどのように生まれたのか。それは残虐行為をどのように用いたかということである。
考えるに、残虐行為の有効な方法は、一挙に行いそれ以降は可能な限りそれを行わないということである。それによって、臣民の支持を得やすくなるのだ。そこで注意しなけらばならないことは、君主になろうとする者は計画を仔細に検討することである。政権の転覆を図るための残虐行為は一挙に実行し、それを繰り返さないということである。それによって臣民を安心させることができるのである。
一方で臣民に恩恵を施すような政策は彼らがゆっくりと感じられるように実行することが有効だと言えよう。