唐桑で体験した牡蠣の稚貝の挟み込みは、要領をきちんと理解すれば
それほど難しくはありません。根気が勝負の手仕事かなと思います。

牡蠣養殖の漁師さんたちは、ご家族で何千回か何万回かという作業を
地道に反復しているとのことであり、養殖による漁業というのは
ほとんど農業と同じようなものだなあ~と思いました。

むしろ、機械化されていないぶんだけ現代の農業よりも厳しさが
あるように思われ、それはちょうど、昔ながらの手作業による稲作
であるところの

手で植えて・鎌を使って手で刈って・縛って・運んで・干して・脱穀する

に匹敵するような作業かもしれません。

ただし、違いは牡蠣養殖のほうがずっと自然の脅威にさらされること、
その反面、作業時間あたりの収入がずっと多いのでは(?)と思います。

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ところで、ボランティアといいながら、逆に無料で職業体験をさせてもらって
たいへん幸運に思われた牡蠣の稚貝の挟み込み作業ですが、そこには、
それぞれの漁師さんの知恵と工夫が日々行われていることを教えていただきました。

このときお世話になったS・Hさんのお話を伺うなかで、我々が作業した
現場で使わせてもらった道具類は、この地域で一般的に行われているものに
S・Hさんが独自に改良を加えたものであることがわかりました。

そのポイントは以下になります。

1)通常1本の釘を台に打ちつけて使うところ、さらにもう1本使うこと
2)そのうちの1本は頭をとっていること

通常、この地域で行われている一般的な作業のやり方と思われる動画が
youtubeにアップされていました。





上記の動画では、一本の釘を使ってロープを開いて牡蠣(ホタテ殻についた稚貝)
を挟み込み、間隔をあけて次の牡蠣を挟み込むという作業を繰り返します。

このとき、地元の漁師さんは慣れているので牡蠣と牡蠣との間隔を適正にする
ことが難なくできるのですが、ボランティアでお手伝いに入る人達の作業では
間隔がバラバラになりやすいのだそうです。

間隔が適正でないと、収穫時に機械でロープを巻きあげるときに問題が
あるそうで初心者でも一定間隔にできるように、S・Hさんは釘をもう1本
打ちつけて2本にしています。

また、ロープを開く時に使う方の右寄りの釘は頭をとっており、ロープに
差し込む時と引き抜く時に引っ掛かることなくスムーズにできるように
工夫しています。

この工夫は試行錯誤でつい最近到達したものだそうで、まだ他の漁師さんは
誰もやっていないそうです。(すばらしい!)

「だったら、考案者の名前をつけてやり方を広めたらどうですか?」

などと冗談半分に会話して笑っていましたが、上記のyoutubeの動画などでは
まだこのやり方がアップされていないようなので、ここで記憶している範囲で
説明を試みてみようと思います。

考案者の漁師さんのお名前をつけるのが良いと思うのですが、
実名をここに出すのは問題もありそうなので、ここではとりあえず
勝手にイニシャルをお借りして

暫定的名称:SH式 (後にお名前をつけるなど正式化してほしいです)

としたいです。

残念ながら動画を撮っていないないので、静止画像のみですが実際の画像から。
釘を2本打ちつけてあることがわかると思います。

イメージ 1


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作業はロープを右から左に移動させていき、ここでは説明の都合上、
左側の釘をA、右側の釘をB(頭をとってある)とします。

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ロープを釘に引っ掛けて広げる要領はこの地域の一般的な要領と同じです。
このときロープをひっかける釘は一般的には頭がついたまま(打ちつけた
状態のまま)であることが普通のようですが、S・Hさんは釘Bの頭を切断しています。

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ロープを開いたところに牡蠣を挟んだあと、次に挟み込む位置までの間隔を
一定にするために、先に挟んだ牡蠣の右端のロープ位置を釘Aの位置に
合わせるようにします。

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こうすると、初心者でも牡蠣の間隔を一定にしやすく、収穫時の問題も
起きにくいということです。