運搬作業用の一輪車を「ネコ車(ネコ)」と呼ぶことをGWの都民ボランティア(東日本大震災:
都ボラ)で初めて知りました。また、土木作業用のを初めて使ってみて、農作業用のものと違うことを知りました。

 

世の中には自分の知らない一般常識がまだまだたくさんあるのだなあ
と改めて思いました。

 

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私の育った地元での一般的な呼び名は「一輪車」でした。
でも「一輪車」というと、曲芸などで使うアレと同じなので紛らわしいですね。バランス感覚を養うために、小学校で
取り入れているところもあると聞くので「一輪車」というとそちらのほうをイメージするケースが多いのかもしれません。

 

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今時は少ないと聞きますが、私の通った小学校では校庭の草取りや花壇作業が毎週のようにありました。シーズンには週イチ以上の頻度だったような気もします。

 

その頃、頻繁にこの「ネコ=農作業用の一輪車」を使ったので、高学年になる頃には自然と扱い方のコツのようなものをつかんだものでした。

 

コツといってもごく単純なものですが、これを知らないと、バランスをとりにくく、倒しやすく余計な筋力を使って疲れやすい。

 

そのコツは私の中では常識と思っていたことなのですが、都ボラでは現場系の仕事されている方以外はほとんど知られていないようでした。

 

こういうふうにするとラクだよ
と教えてあげたくて仕方がなかったのですが、小市民的性格のためか

 

自分の経験・スキルなどをひけらかすのはNG

のような内容を事前ガイダンスでインプットされたことと、誰かに教えるほどスゴイことでもないと思われたので
結局最後まで伝えることができませんでした。

 

そんなの気にしてどうすんの?

まさにその通り。なので、知らない人のためにここに記録してみます。どうやらネット上にも情報として見つからないようなので。

 

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まず重要なのは、自分の体格とネコの大きさの関係です。

 

ネコのハンドルが自分の手の高さよりも低くなる場合はOKですが子供や女性や小柄の大人の場合、ハンドルが手の高さよりも
高くなると苦しくなります。
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一般的な体格の大人が前提になりますが、重要ポイントは1点だけ。
肘を伸ばしてハンドルを持つこと
これだけです。あとはこれに付随する内容になります。
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このことはネコによる運搬作業をある程度の時間をこなせば疲れてきて自然と体得する類のものです。
しかし、特に力自慢の方になると、ネコを前に押す意識のために肘が曲がってしまうことがあるようです。
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肘を曲げるということは、左右のバランス調整を上腕ニ頭筋の筋力の発揮に依存することになります。

 

一方で肘を伸ばしていると、左右のバランスが崩れたときに、上腕ニ頭筋の筋力発揮はさほど必要ではなく、主として腹筋・背筋など体幹系の筋力発揮によって調整することが可能です。

 

物を吊り下げるような姿勢で測定する受動的な背筋力は肘を曲げるような動作で測定する能動的な上腕ニ頭筋の力と比較すると、ざっと10倍前後の大きさではないかと思われ、肘を伸ばした場合には、左右のバランスが崩れても、上腕二頭筋の筋力発揮に頼らずに、背筋等の体幹の筋力発揮でバランスを維持することが可能です。(一部内容修正しました)

 

ところが、肘を曲げてしまうとバランスが崩れた際の調整は上腕ニ頭筋の筋力発揮に依存してしまい、場合によっては最大に近い筋力を発揮しなければならない場面がしばしば生じ、筋持久力の点でも不利になるでしょう。

 

じつは、このコツを知らないでカートを押し、ごく小さな段差でバランスを崩してカートを倒してしまったのがこのシーンだと思います。

 

https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/2a/09/gishkov/folder/1049897/img_1049897_45351004_2?1311885343

 

映画マトリックス(ミフネ隊長が登場し若者が活躍する)の1シーンです。


 

ネコ車に瓦礫や土砂を積んで前に進むときは、肘を曲げないことを意識して上体を前に倒すようにしてネコ車を前に押すようにすると良いと思います。

 

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次に、コツというよりも工夫ですが、上り坂をネコ車で重量物を運ぶ時は、(平地の場合と比較して若干上方にネコ車のハンドルを引きあげる必要が生じ、なおかつ、肩関節で腕を前方に押し出すような力をより発揮しなければならないため)ネコ車の左右のハンドルに丈夫なロープを縛り付けて、そのロープを腰やフトモモの上あたりで押すようにすると楽になります。(一部内容追記しました)

 

腰のあたりにロープをあてると、体の重心に近い位置で前・上にネコ車を押すことになり、上体・上肢の筋力の関与を少なくして下半身(脚)の筋力をダイレクトにネコ車に作用させやすいので無駄が少なくなります。

 

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これをやらないと、どうしても肘が曲がりやすくなり、疲れやすくなります。

 

上から見た図です。
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ただし、上のようにハンドルにロープを結ぶやり方の場合、これを下り坂で「引き」でハンドルを持つ(ネコ車よりも自分が下になる場合)は、荷の重量が身体重心にダイレクトに作用し、力を「逃がす」ことができないため危ない思いをする場合があるので慎重に行う必要があります。

 

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(追記)
荷(土など)を下してカラの状態で元の位置に戻るときは、ハンドルをぐっともちあげて下からハンドル部分をささえて大きく(顔の付近まで)待ちあげて、全体が斜めになるようにして押すとラクです。