現地での作業の3日目のことです。

その日は前夜から強烈な風が吹き荒れていました。
宿舎として使わせていただいた施設でも夜中に何かが風で飛ばされたようで、
何か大きな音がしたのを私は寝袋の中で聞きました。

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私の普段の起床時間は5:30ころですが、ボランティア期間中は
消灯時間が早いこともあって、5:00には起床していました。

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※1みんなまだ寝ています 


ちなみに、期間を通じていつも朝一番に起きていたのは元教師をされていたという
1班のFさん。Fさんはいつも誰よりも早起きしてみんなが朝食で使うお湯を
準備してくれていたのでした。

寝袋から出た私はFさんに小声であいさつをしたあと、昨夜のことが気になって
表に出てみました。すると、なんと各班毎に水で洗ってロープに吊るしておいた
レインウエアやビブスの大部分が強風のために隣接する田んぼの方に飛ばされて
いたのでした。洗濯バサミもあらかじめ用意しておらず、ただロープに掛けていただけ。
なので、風でいとも簡単に飛ばされていたのでした。

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※2とりあえず掛けてみましたが 

みんなまだ寝ているので騒ぎ立てるわけにもいかず、目の届く範囲で回収して
ロープにもどしましたが、しばらくするとまた強風が吹いて飛ばされる
の繰り返しとなってしまいました。
やむなく風のあたりにくいところを選んで、まとめておかざるをえませんでした。

ちなみに、レインウエアは予め用意されている装備として一定の予備がありましたが、
ビブスについては都庁で1人が1枚渡されたものであって「都民ボランティア」
の印刷があることから、ある種の身分証のような役目をするため、一般の装備とは
少し性質が異なります。

このビブスは素材がナイロンメッシュであって、汚れがつきにくくたとえついても
洗えば簡単に汚れが落ちそうに見えるのですが、例のサンマの臭いに関しては
いったん染み付くと多少手ですすいだ程度では全くどうにもならないのでした。

それでも毎日活動に際には着用するものであり、いずれは次の期の方々に引き継ぐ
べきものであると思われ、各自大切にして洗ったりしていたのでした。
それが、不運にも風でどこかに飛ばされてしまったメンバーもいたようです。

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※3そろいのビブス


そんな強風は作業開始の時間になっても止むことはありませんでした。

私の属する3班は津波でご自宅が浸水したお宅の泥の除去のお手伝いに
入りましたが、1時間程度作業したところで消防車のサイレンが接近し
作業していたお宅の斜向かいのお宅のあたりで停止しました。
何事が起ったかをとあたりをうかがっていると、消防隊員の方々がおもむろに
立ち入り禁止の黄色のテープを張り始めました。

どうやら、津波で倒壊した建物が強風のために飛ばされる危険が生じて
いたようです。

我々がお手伝いに入っていたお宅は、その現場のすぐ近くのため、
立ち入り禁止のまさにエリアの直中となってしまい、やむを得ずリーダーと
事務局の方が家主の方に理由を説明してお詫びたうえで撤収となりました。

結局、そのような強風のリスク回避のため、その日の全体作業は中止となり
急遽休養日に当てられることになりました。

それぞれの班は、せっかくの休養日を有効活用しようとして、温泉にいったり
宿舎の近所を散歩したりしていました。

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ここで私が属する3班はというと、温泉にはいかず、宿舎でのんびり過ごす
ことになりました。これについてはみんなにちょっと悪いことをしたかな~
と思っています。

というのは、リーダーのSさんが我々メンバーの負担が重くならないように
常にいろいろと配慮してくださっていて、到着の翌日にはさっそく
お風呂にはいれるようにうまく手配していただきました。

この日も、時間が取れたということでお風呂に行く前提でメンバーに希望を
聞いて下さったと思うのですが、私はワガママかな~と思いつつも

私は行かなくてよいのでどうぞ皆さんで楽しんで来てください。

と述べていたのでした。

私のそのような発言が、もしや他のメンバーに遠慮のようなものを
誘発させていたかもしれません。もしもそうだとしたら大変申し訳ない
ことをしたと思います。

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じつは私自身は温泉はかなり好きであり、サウナや水風呂などがあれば
平気で2時間近く入っているタイプです。それで、逆に同行者を待たせる
こともしばしばです。

しかしながら今回は「楽しむために来ているのではないのだし・・」
という思いがあったこと、それに、もしもできることなら先々に個人
としてもボランティアに参加したいと思っていたこともあって

「お風呂に入れない環境にも耐えてきちんと活動することができるか?」

ということが気になっており、自分なりにチャレンジしてみたいという
気持ちがこの都民ボランティアへの参加が決まってからも心のどこかに
あったのでした。

それに、事前に報道されていた

「石原軍団は一週間の炊きだし期間中お風呂に入っていない」

というのも心に残っていました。

芸能人の石原軍団がお風呂に入らずにやっているのであれば、
一般人の我々が「お風呂に入れない」ことに怯んでいる場合ではない。

べつに張り合う必要はないのですが、気持ちとしては
石原軍団にひけをとりたくないような気持ちです。

とはいえ、不潔にしていてはそれも良くないので具体的に対策を考えなくては。

20代で野宿旅をしていた当時は、真冬でも冷水で体を洗ったりしていましたが、
今ではかなり体力も低下して抵抗力も脆弱になってきています。

ここの宿舎ではとても清潔なコインシャワーが利用できましたが、これは特別に
恵まれている方ではないか?と思われ、別の作業地域ではなかなかそうはいかない
ケースも多々あるのでないかと思います。

それで、数が限られていることもあり、あえて使わずに乗り切ってみようと考えました。

それでどうしたかというと、まだみんなが寝ている早朝に濡れタオルで体じゅうを
ゴシゴシしてみたり、屋外の水道で朝イチの冷たい水で髪を洗うことにも
チャレンジしてみました。

その結果、岩手県の5月の水はまだまだ冷たいとはいえ、その水で
シャンプー等をしても、活動を開始する朝であって体調が万全であれば
風邪をひくようなことは無いという結論となりました。

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※4宿舎付近の風景

すっかり中年になった私にも、まだ若干の適応力が残っていたのでしょうか?

いや、どちらかというと災害ボランティアの緊張感と東北の風土が
体調維持を手助けしてくれたのではないかと思います。




※1みんなまだ寝ています
 支給されたのは封筒型で明るい緑色のローコストなシュラフです。
 これだけで平気で寝ているツワモノも結構いましたが、
 私自身はこれだけだと体調管理に不安を感じたので、念のため持参した
 夏用の薄手のシュラフとシュラフカバーを併用してどうにか大丈夫でした。
  
※2とりあえず掛けてみましたが
 外に出てレインウエアが散乱しておりしかも濡れていました。
 出発までに乾かないと困ると思い、とりあえずロープにかけてみたところです。
 このあと周辺を見回してみると広範囲に飛ばされていました。

※3そろいのビブス
 このビブスは、我々が都民ボランティアの一員であることを示し、
 地元の方にある程度の安心感をもってもらうための大切なアイテムです。

※4宿舎付近の風景
 これは宿舎とは別の場所の風景ですが、宿舎から見た風景はもっとのどかな
 田園風景でした。