くろ鉄宿毛駅事故経過報告
2006年04月28日 高知新聞 朝刊ヘッドラインより
くろ鉄宿毛駅事故 事故調が経過報告
昨年3月に起きた第三セクター「土佐くろしお鉄道」宿毛駅の特急列車暴走事故で国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日、調査の経過報告を公表した。同調査委は、当時のATS(列車自動停止装置)の設置状況では、最高速度で列車が駅舎に接近した場合、止めるためには「非常制動距離が足りなかった」と指摘。事故原因について分析を加える「最終報告」をまとめるには「なお時間を要する」としている。
【写真説明】土佐くろしお鉄道・宿毛駅に激突した特急列車(17年3月)
事故は昨年3月2日夜、宿毛線の3両編成の特急列車が終端駅の宿毛駅に高速で進入。車止めを乗り越えて駅舎エレベーターに衝突し、運転士=当時(31)=が死亡、乗員乗客11人が重軽傷を負った。
報告は、被害状況など事故概要▽事故直後の車両の状況▽同駅付近のATSの設置状況―などについて説明。
「最後尾(3両目)のブレーキは(最大の圧力で)作動した状態だった」としたが、運転士の手動ブレーキによるものか、ATSなどの非常ブレーキによるものかは判別できないとした。
また、レール表面のブレーキ痕は特定できておらず、どの位置でブレーキがかかったかは不明。列車の進入速度については、通過時間を記録したデータを分析中で、運転士の健康状態も調査中とした。
宿毛駅の車止めから約200メートル付近にあったATSについては「列車の速度が時速120キロの時は制動距離は約737メートル」と説明し、当時のATSでは最高速での進入を防ぎきれなかったことを間接的に指摘した。
同調査委は発生から1年以内に最終報告書をまとめるのが通例。宿毛駅の事故に関しては発生から1年を経ても経過報告にとどまっている点について同調査委は、運転士が死亡し、目撃者が少ない▽ATSの作動状況を記録する運転席内の装置が損傷している―ことなどを挙げた。
国土交通省は、宿毛駅の事故後、終端駅に列車が最高速で進入しても停止させることができるATSの整備を全国の鉄道会社に通達。くろ鉄もATSを増設し、昨年11月、宿毛線全線で特急列車の運転を再開した。
