●感情を爆発させず、冷静になる

 

お気に入りのものを壊された、自分を否定された、自分の大切な人が危ない目にあっている・・・

自分が大切にしている物事や人を、傷つけられたり粗末に扱われたりしたときは、怒って当たり前。

怒りを我慢したり、気付かないふりをしていると、自分の大切なものがわからなくなったり、自分を見失ってしまう。だから怒ってよい。

 

でも、イラっときた瞬間に怒りを爆発させてはいけない。

 

怒るときは次のポイントを確認。

 

①本当に怒る必要があるのか。

とくに子どもに対して、親は必要以上に怒っていることがある。

例)宿題が終わったあとにごろごろしていることは怒ること?

単に、「子どもにゴロゴロされたくない」をぶつけているだけでは?

イラっときたら、まず「ここ、怒るところ?」と自問。

 

②自分が怒ることで何かが変わるか

例)雨に怒ったところで雨がやむわけではない。

夫が残業続きで帰宅が遅くなることを怒ったところで、仕事が早く終わるわけではない。

怒ることで変えられることは怒ってもよいが、変わらないことなら怒るのは無駄なこと。

 

③怒るタイミングは今なのか

 

④叩いてしまう、物にあたるなと暴力的な行動に出ないか

力に訴えても問題は解決しないどころか、相手に恐怖心を植え付け、自分の意見を言う、やりたいことをするなどの主体性を損なう。

手をあげてしまいそうになったら「6秒ルール」を思い出し、衝動をやり過ごす。

怒りは何もないところからは生まれない。そこには必ず、言いたいこと・わかってほしいことが潜んでいる。

しかし、イラっときた瞬間に怒鳴りつけてしまうと、恐怖心を与えるか、相手に不満を感じさせるだけで、本当に伝えたいことは伝わらない。

 

●自分の言い方次第で相手の気持ちが変わる

誰しも「やるべきことがるのに、やる気になれない」ときがある。そんなときに頭ごなしに「やりなさい!」とガミガミ言われ、動き始めることができるか?

重い腰をあげるどころか、「今やろうと思っていたのに、やる気がなくなった」とふてくされてしまう。

 

人はやだ「やれ」と言われただけで、すんなりと動くものではない。命令されただけではやる気が起きない。

強く言われて動き始めたとしても、気持ちが入らないまま仕方なくやっているだけなので、なかなか進まないし効率も上がらない。

 

何かをするとき、必要なのは、「なぜこれをやるのか」という理由。

やる利用があって初めて「やろう」という気持ちが生まれ、動きだすことができる。

 

人が動くときには、

「やりたいこと(want)」

「やれること(can)」

「やるべきこと(must)」

の3つの要素が必要。

 

この3つを提示すると、命令しなくても自分から動くようになる。

 

例)宿題をやりたがらない子ども

 

①want

「これが終わったら楽しいことが待っている」など、やることによって得られるメリットを示せば、「やりたい、やろう」という気持ちが生まれる。これをやることで自分にとってどんなよいことがあるか、具体的にイメージできること。

 

いい成績がとれる、いい学校に入れる、ではおそらくあまり響かない。

今これをやることで自分がやりたいことがぐっと近づくよ、という道筋をわかりやすく伝えること。

ご褒美を使うと、ご褒美がないとやらなくなってしまう。

 

②can

 

「自分にはできない」という思いこみをはずすこと。

スムーズにできる手順を教える、前の経験と結びつけて「あれと同じやり方」と気付かせるなど、さまざまな方法で苦手意識を取り除くとやる気が出る。

 

③must

やりたいことでもやれることでもやらなければならないことでないかぎり、なかなか手がつかない。

怒られたくないから、宿題だから、必要に迫られるものがあれば、イヤなことでもやらざるを得ない。

 

一番思い付きやすいmustを言うだけというパターンが大半。

 

何かしてほしいことがあるときは、mustで命令せず、wantやcanも入れてつたえるように工夫。

 

相手が進んで取り組みたいと思う様な伝え方を心がける。

 

●ゆっくりと穏やかな口調で話す

大きな声を出さないこと。

大きな声を出すと、感情が高ぶってしまい、怒りが強くなるから。

 

怒りの強度を表現するのに、多くの人は声のボリュームを変えがちだが、ボリュームを上げても伝わらないことは多々ある。

大声を出せば出すほど、向こうを威圧することになり、向こうは威圧されたと思い、怒りという感情を使って自分の身を守ろうとする。

 

大きな声で怒れば怒るほど、威圧的な態度で怒れば怒るほど、敵意を持たれてしまう。

売り言葉に買い言葉と言うように、そのつもりがなかったのに逆切れしたり、言い訳をしたりと怒りによる行動をしてしまう。

両方が怒っているという状態になり、伝えたいことも伝わらなくなる。

 

●丁寧な言葉は、自分も相手も冷静にさせる

丁寧な言葉で怒る人を、怒鳴っている人よりも怖いと感じる。

感情的に怒鳴り散らす人と理路整然と淡々と怒りを伝える人では、後者の方が圧倒的に伝わる。

 

●伝えたいことこそ、ゆっくりと話し、言葉を少なくする

怒っているときは、次から次と言葉を詰めて相手に投げ、間を埋めてしまいがち。

「理解する」には、自分の中に来たものをかみ砕いて理解する作業が必要。

あまりにも早口で話すと、相手が理解できない。

相手に何かを伝えるときは、できるだけゆっくり、言葉を選んで話す。冷静に話すをするほど、相手には伝わりやすくなる。

 

●言葉を選び、伝えたい思いの精度を上げる。

自分が何に対して怒っているのか、どう感じているのかを的確な言葉で端的に伝えるには、語彙力を鍛えることも大切。

「あんたのせいでムカつく!」とぶつけられても、理解しがたいが、

「大切なものを否定されて、悲しくて胸がつぶされそう」と言われると

「悪いことをしてしまった・・・」という気持ちが生まれる。

 

怒りの強さを伝えたければ、変えるべきは声のボリュームではなく、表現の強度。

 

語彙力がないと、自分の感情の強度を超えのボリューム以外で表現できず、「だから怒ってるんだから怒ってるの!」と要領を得ない怒りをぶつけることになり、本当に伝えたいことが伝わらない。そしてボリュームを上げきっても伝わらないと思った瞬間に、手を出してしまう。

 

子どもの感情表現がつたないのは、まだ言語が未発達だから。

感情表現が豊かになるためには言葉が必要で、それゆえ語彙力を増やしていく必要がある。

 

🌟怒りに任せて責め立てると、相手はかたくなになってしまい、状況を変えることはできない。人を動かすためにも、語彙を豊かにしていく。

 

●相手が頑なになるNGワードを使わない

 

相手にも悪いところがあるときは、怒ってよいタイミング、相手もそれを受け止めて反省してくれるのが理想。

でも、親子、夫婦といった近い関係ほど、素直に「自分が悪かった、ごめんなさい」という謝罪の言葉は出てこず、「うるさいな」「いちいち言わないでよ」という開き直りの反応になってしまう。

 

NGワード

・過去を持ち出す言葉

・決めつけの言葉

「いつも」「絶対」「必ず」「みんな」

いつもじゃない!この前はちゃんとやった!という反発しか生まれない。大げさな決めつけは厳禁。

何か要求を伝えるときは、具体的に正確に伝える。

 

・程度の言葉

「ちゃんと」「しっかり」「きちんと」

ちゃんとやってけど?と思っているかもしれない。

できるだけ具体的に「どのくらい」を伝えるように心がける。

 

・相手を責める言葉

「どうして」「なんで」

相手は責められてるとしか思えず、追い詰められてしまう。

「どうしてそんなことをするの!?」⇒「そういうことはやめてね」と端的に伝える。

「明日から」「次から」というように、これからの焦点を当てたワードを使って、これから相手がどうすればよいかを伝える。