お母さんのためのアンガーマネジメント
また怒っちゃったがなくなる本
安藤俊介
怒りたくないのに、イライラしてしまう!
そんなママのための、怒りをコントロールする方法
社会の発達により、日々処理しなくてはならない情報が増え、そこに伴うストレスで疲れや怒りを感じている部分もある。
自己嫌悪から価値観を変えるチャンス
夫婦の価値観、子育てに対する価値観、自分に対する価値観を考え直しチャンスに。
怒りをコントロールできれば、自分がもっと好きになる!
怒りの感情に振り回されずに上手に自分の怒りを相手に伝えることができれば、ストレスは今よりもっと減る。
怒る必要はなかったのに、必要以上に感情を高ぶらせて怒りを爆発させてしまったことはないか?
その原因の一つがストレス。
「ストレスと怒り」は生きていく限り無縁ではいられない。
イヤな出来事があるたびにストレスに飲み込まれ、怒りにとらわれないよう、気持ちの切り替えが必要。
できればいつも笑って過ごしたいし、そのほうが自分も周りも気持ちよくいられるはずだと頭では理解していても、つい感情が爆発してしまう、そしてあとになって自己嫌悪に陥る。
こんな負のループから抜け出し、怒りをコントロールできるようになるには?
・「べき」が裏切られると、怒りが生まれる
例)こどもが3時におやつを食べていても、何も思わないけど、5時くらいに食べていると「もうすぐご飯なのに!」と怒りが爆発してしまう。
⇒自分の中にある「こうあるべき」が裏切られたことに原因がある。
・・・「お菓子はおやつの時間に食べるべき」
他にも、
「食事前には手を洗うべき」「学校から帰ったらすぐ宿題をするべき」「夫婦は家事を分担するべき」
自分の中で「こうあってほしい」と願う理想、「こうすることが正しい、こうあるべきだ」と信じる価値観。
先程の例も、よその子どもに対してであれば怒ることはない。
どうでもいいから。
我が子の場合は「子どもはこうあってほしい、こうあるべき」という理想や価値観がある。
それは当たり前だけど、問題は、「常に自分が願う通りにはいかない」ということ。
理想と現実は違う。
このギャップに怒りが生まれる。
しかし、理想と違うことだけで怒りが燃え上がるわけではない。
自分の中に不安や不満、悲しみといった「マイナス感情」や疲れ、ストレス、寝不足、空腹といった「マイナス状態」がたまっていると、怒りに火がつき、燃え上がってしまう。
怒り=「べき」が裏切られる×マイナスの感情・状態
・怒りのメカニズムはライターで表せる
火花:べきが裏切られたとき
ガス:マイナスの感情・状態
自分自身が「こうあるべき」だと常日頃から思っていることと正反対のことが起きてしまうと、ライターの着火スイッチが押され、火花がカチッとまたたく。
そのときマイナスの感情や状態がたまっていると。
「どうして約束を守ってくれないの?」「なぜ決めたことが守れないの?」「こんなにだらしなくていいと思っているの?」と怒りが爆発してしまう。
🌟できるだけ「べきが裏切られる」回数を減らし、「マイナスの感情・状態」をなくすことを考える
●親のしつけで「べき」が生まれる
べき=ルールやしつけ
ほとんどの人は親からのしつけとして、子どもの頃からたくさんの「べき」を持っている。
持っている「べき」が多いほど、必然的に裏切られる回数も増えるので、怒りのライターの着火スイッチも入りやすくなる。
「べき」を持つこと自体が悪いわけではない。世の中にはたくさんの「べき」があり、そのすべてが正解。どんな「べき」を信じても良い。
●不幸になる「べき」なら、手放してもいい
「べき」=コアビリーフ
コアビリーフ=その人が正しいと信じている信念や価値観。その人の核にある大切なものだけど、正しいと信じているだけで、改めて考えてみると必ずしもそうでない場合がある。
例)「嘘をついてはいけない」→ときには上手に嘘をついたほうがいい場面もある。
不毛なコアビリーフ
=その信念が自分や周囲を幸せにしないこと、さらに事実ではないのに信じているもの
ほとんどが親のしつけから生まれる。
「こうあるべき」とかたくなに思い込むほどがんじがらめになっていき、怒りが生まれる元になっている。
幼いころから親に言い聞かされてきたため、道徳や倫理として自分の核となりがちだけど、改めて考えると不合理なものはたくさんある。
イライラしやすい、きゅうくつ、子どもに当たってしまなぞ、それがあるために不幸になっている「べき」なら、手放したほうがいい。
子どもの頃、親のしつけは絶対だった。親のいうことは正しく、その通りにできない自分は間違っていると思って育ってきた。しかし、親が間違うこともある。
そうして間違ったしつけから自由になっていい。
🌟我が子に間違ったしつけを押し付けないためにも、自分の中にある「べき」を見直し、それを手放していく。
●日常生活の中で、怒りが起こるとき・起きないとき
怒りはいつも同じ条件で生じるものではない。
同じようなことが起こっても、その日、その場の自分に状態によって、優しく許せることもあれば、ものすごく強い怒りを感じたりすることもある。
例)ずっと心配していたことがようやく解決した、思いがけず願いがかなったなど、「ついてる!」と思うことがあったとき、子どもが牛乳をこぼしても優しく対応できる。
でも、体調が悪い、疲れている、心配事がある、他のことで不満がたまっているなど、「マイナス」がたまっている状態だと、同じことが起きても爆発してしまう。
それどころか、牛乳ではなく水を少しこぼしただけなど、明らかに前例より軽いことでも「もう、何をしているの!」と子どもに対して激怒してしまう。
●マイナスの感情がたまると怒りに発展
「9時までに寝ること」というルールが守れなかったとき、
「9時までに寝る約束でしょう!」と怒ってTVを消してしまうなど、強引なやり方を取るとき
「今日は特別ね」と大目に見ることもある
怒るか、怒らないか、どのくらい怒るのかは、出来事で決まるわけではなく、そのときの自分にどれくらいのガス=マイナスの感情・状態がたまっているかで決まっている。
●怒りは我慢するのではなく受け入れる
怒りという感情が生まれると、アドレナリンなどの脳内物質が大量に出て、体がいつも以上の力を出せる状態になる。そうして、私たちは危険に立向かい、生きてきた。
自分にとって大切なものが危険にさらされたときに、人は怒りの感情を使って大切なものを脅威から守ろうとする。
怒りを我慢すると、「辛い・苦しい」という感情や「どうして自分は怒ってしまうのだろう」という責める気持ちになり、マイナス感情となって自分の中にたまっていく。
そして、マイナス感情というガスが満タンになったとき、ほんのささいなことで怒りが大爆発を起こしてしまう。
怒りをぶつけられた相手を傷つけるだけでなく、小さなことで必要以上に怒ってしまったと自分を責め、自己嫌悪が深まってしまう。
怒りをやみくもに我慢しない。
怒りを覚えたときは、「怒っている自分」を受け入れる。
ライターを想像し、着火ボタンが押され、地下っと火花が散ったことを自覚したら、
「ああ、今私はイラっときたな」と思う。
そのとき「怒っちゃいけない、我慢しなきゃ、笑わなきゃ」と感じる必要はない。
「こういうことをされたら、私は頭に来るんだよね、だってそんなの納得できないもの」と自分の気持ちを受け止めること。
●心を落ち着かせる6秒ルール
「ストレスやネガティブな感情がたまっている」と自覚したところで、自分の感情や置かれた状況が一気にマイナスからプラスに好転するものではない。また、「べきが裏切られる状況」は突然やってくる。
例)仕事でミスしてしまい落ち込んでいるときに、子どもが兄弟喧嘩を始めておもちゃを投げつける。
そんなときは
🌟怒りを感じたら、6秒数える
怒りを抑える役割をするのが前頭葉の働き。
前頭葉=理性的な判断や論理的な思考をつかさどる役割があり、理性が生まれる。
瞬時に爆発する怒りに対して、前頭葉が働くまで6秒かかる。
激しい怒りを感じても、6秒経てば理性が働き始め、冷静さを取り戻すことができる。
🌟ポイントは、相手を攻撃する言葉を使わないこと
●怒りっぽさはどこからくる?「許せる範囲」を大きくしよう
「怒りが生まれないようにすること」ができれば、怒る回数は減らせる。
そうすれば、人間関係はよくなり、また怒ってしまったと落ち込むことがなくなr、機嫌よく過ごすことができる。
「怒り=悪いこと」と思う必要はない。怒るべきときは怒っていい。
問題なのは、怒ることそのものではなく、「ささいなことですぐ怒ってしまう」「必要以上に思ってしまう」という怒りっぽさにある。
怒りは自分が信じる「べき」が裏切られたとき、つまり自分自身が「それが普通、当たり前」」だと信じていることが通らなかったときに生まれる。でもその「常識」は単なる自分の思い込みである可能性が高い。
怒りっぽい人は「常識」の範囲が狭いため、「許せる」範囲も狭くなってしまい、「許せない」の範囲が大きくなっている。
・許せるゾーン=自分の「常識」「べき」に合っていて、怒りを全く感じないレベル
・まあ許せるゾーン=自分の「常識」「べき」にぴったり合っているわけではないが、受け入れられるレベル
・許せないゾーン=自分の「常識」「べき」と大きく違っていて、受け入れることができないレベル
怒りっぽい人は、「許せるゾーン」と「まあ許せるゾーン」が狭く、ささいなことで怒ってしまう。そのうえ、日によって「まあ許せるゾーン」が広くなったり、狭くなったりするので、「昨日は許せたことが、今日になったら許せない」ということが起こり、周囲を混乱させてしまう。
特に、相手が子どもの場合、親が怒る理由が日によって変わるので、何が正しいのかがわからず、ひたすら親の顔色をうかがうようになってしまう。
子どもが人の顔色や機嫌をうかがってばかりで自分のやりたいことができなくなってしまう。
🌟「まあ許せる」のゾーンを広くする
最初の一歩はイラっとしたときに、「それ怒ること?」と自問すること。
それが、がんじがらめになっている「べき」をゆるめるということに繋がる。