でも次の仕事が決まってなくて、新年の挨拶も煮え切らない生ぬるい笑顔で交わす。
候補としてはスキー場のバイトを探して全国連絡していたが、年末年始でリゾバ派遣の会社がことごとく休みで連絡を待つばかり。
リゾバ自体初めてで、自分でも何の仕事がしたいのか、出来るのかよくわかってなかった。
にも関わらずやっぱやるなら楽しい仕事。そんな中スキー場のパトロール隊員の求人を発見。
スキー場のパトって派遣でやってるのか??なんて疑問を抱きつつも応募して見た年末の自分を褒めてやりたい出来事が起こった。
なんと連絡がきて採用してくれるとのことだった。
一応電話面接でスキー場の担当と話した結果、どれくらいすべれるの?と聞かれ、小学校の時にやった程度で普通だと思いますと回答。
すると相手は普通に滑れるなら大丈夫だからおいで〜というノリ。
しかし実際当日行ってみると、まずはどれくらい滑れるかcheckする流れになりスキー場コース内で一番急斜面に連れて行かれ、滑りを披露した。
どれくらいの腕だったかというと、二、三ターン目で転倒。
そのままあとは滑るというよりおずり落ちてく感じで見事に滑走(滑落)。
その時の担当の驚愕&絶望した顔は一生忘れないだろう。
そのまま事務所に戻り、今日はとりあえずここで待っててと言われたまま放置され、閉園までぼーっと時間を過ごした。
扱いに困ったのだろう。
後から聞いた話だが、隊員に留まらずスキー場関係者みんなで「とんでもない奴がきた」と噂になったようだ。
翌日からみんなが俺のことを知っていた。
いきなり素人がパトロール隊志望できたんだからそりゃそうなる。
とは言え、地元からスキー場まで9時間以上かけて運転し住み込みでやってきたのだから、向こうとしても帰らせにくいのだろう。
索道(リフト係)に配属を回すか?となったらしいが、なんせ急なため配属先を変更するにも手続き?に少し時間がかかるようで、3日様子をみると隊長から告げられた。
その間、仕事という仕事ができないのでただひたすら先輩隊員について回った。
白十字を背負ったパトロールの制服を着て、お客さんの前で転倒しながら。
やることもないので午後からは練習のために場内を徘徊。
そうしてるうち幼き頃の感覚も戻り?、隊員の人も空いた時間に滑りを教えてくれるのでだんだん慣れてきた。
三日と言われた期日だったが、常にひたすら練習してる姿に感心して、もう少し様子を見ると、さらに一週間の猶予をくれた。
しかし本心は常に練習をしてるというより、お金もらって事務所にいるのが気まずいので外に出たかったのと、単純にスキーが楽しかった。
こんなのでお金もらっていいんかーい!って人生でやってきた仕事で一番思った。
そんなこんなで一週間、二週間が過ぎて特に部署異動の話も上がらずスキーは上達した。
スキー場整備の為の資材を担ぎながら滑るのにも慣れ、春前には人を乗せたたままボート(タンカー)を運ぶことも出来るようになり、気がつけばパトロール隊の一員になった。
スキー場で働くスタッフはたくさんいて、地元民以外は場内の隅になる集合住宅の様な寮で集団生活を送る。その中でもパトロールは別格で少し立場がエライ(エラそうなだけ??)の扱いを受ける。
また、索道には都内のスキーサークルに所属する大学生が冬休みできたりし、最初の頃の俺を知らない子達は、俺を普通のパトロール隊員と思って尊敬の眼差しを受ける。笑
また、怪我などで降りれらなくなったのを救助した人をリフトに同乗して搬送なんかすると子供に…
「おじさんはなんでこの仕事をする様になったの?俺、おじさん達みたいな人を助けるかっこいい仕事をしたい!」
なんて言われたりする。
俺「うん、人を助けるっていう仕事はめっちゃやりがいがあって、ありがとうって言われた時にやっててよかったなぁ、って思うからだよ。君も絶対なれるから頑張って夢を追いかけてね!」
内心(うん、ただすべってお金がもらえて、その上お礼を言われる仕事って最高だよ。しかも、他の部署からも一目置かれてるしもうウハウハだよ。君も大人になればわかるよ。楽して生きるるんだぞ!)
隊員は常勤で全部で6人くらい。あとはパーク整備のディガーと呼ばれる若い子達がいるがみんなスポンサーがついたりプロ手前の子達。
思いっきり素人だった頃を知られてるので、いつまでたっても気まずい立ち位置だったのが心残りだがめっちゃいい経験になった。
また戻れるなら戻ってこよう。そう思った。
そして俺のん中で好きなスポーツにスキーが加えられた。
しーゆー。
