金曜日から開催されている「EU Film days」は今年で7回目。

このイベントを知ったのは2年前でずっと行きたかったんだけど行ったことがなかった。

去年は確か仕事で行けなくて。

おととしは行こうと思っていたのに、違う映画のイベントに行ってしまったんだった、確か。



1日2本上映で、今日はギリシャ映画とフランス映画。

両方見たかったんだけどポルトガル語のレッスンが長引いて、1回目のギリシャ映画の上映には間に合わず。

2本目のフランス映画「Je ne suis pas morte」を見てきた。

(邦題は「私は死んでいない」。そのままだね。)



上映時間は190分。

とにかく不思議な感じの映画だった。

監督曰く、「精霊の視点」で愛と死をテーマにした映画。


登場人物がたくさんいて、いくつかのストーリーが入り組んでいて、

時間軸も頻繁に飛ぶんだけど、それでも統一感があるのは、

1人の女性(脳溢血で倒れ意識がない)の魂が体を抜け出して、

自分の子供や孫を見に行く形で描かれていること、

そしてアリックスという人造人間(?)が愛を求めさまよう、という1つのテーマが根本にあること。

長くても退屈することはなかった。


ところどころユーモアもあって、

イタリア人の男の子が

「政権が代わって男性は14歳で結婚できることになったんだ」

と話す部分があったり、

娼婦への支払いは「ユーロかドルか元じゃないとだめ」とかね。



上映の前には監督からの簡単な解説、

上映後には観客からの質問に答える時間があって、それがまた楽しかった。

実は上映開始時間がかなり遅れてしまって、

それは監督が音響に納得いかないからだと聞いて、

ずいぶん神経質な監督なんだなぁと思ったんだけど、全然そんなことはなくて楽しい人だった。

この映画は3年に渡り7回に分けて撮影したこと。

あらかじめ脚本は準備せず、その日撮る内容はその日に決めた即興劇であること。

その内容は、前日(当日?)に見た夢が元になったことが多く、撮影中はゆっくり眠れなかったこと。

小津安二郎監督のファンで、彼の映画を見なかったら監督にはならなかったとか、

いろいろな裏話も話してくださって。

その上かっこいいんだわ~、Jean-Charles Fitoussi監督。

私は目が悪くて、すぐそばで見たらちょっと違っていたけど、でも私好み。

これからちょっと注目しちゃおう。

(知ってる人は知っている、かなり期待されている監督なんだとか)



そもそもこの映画を見ることにしたきっかけは、フランス語に触れたかったからで、

もちろん字幕がなきゃ全然分からないんだけど、

それでもセリフや監督のコメントの一部に反応することができたのも嬉しかったし。

今日は我ながらいい選択だったな、と。



EU Film daysは東京国立近代美術館フィルムセンターで6月20日まで。

普段娯楽映画しか見てない(見られない)人、いいチャンスですよ。

リトアニアとかブルガリアとか、普段なかなか見る機会のない国の映画が見られるし。

私の1番のお目当ては、もちろんポルトガル映画!


ちなみに国際交流基金やアテネ・フランセ主催でアジア映画のイベントも。

こっちも行ってみたいなと思ってます。

(こちらは6月8日から13日まで)