(睦) あなたたちはなぜ、2人して春の大潮の時みたいに、ザザーって引潮ごっこしたの?
(幻) あれで終わりになるんじゃないですか?
・わたくし観察してたんだけど、推し子が引いたのは特待生さんが来た時だけよ。後はサーヴィス・ボジションが遠かっただけ。だから厳島神社でシオマネキが巣穴から続々出てくる景色になるまで引いてないわよ。
推し子はそうかも知れませんが、僕は意図的に引きましたよ。
・モン・サン・ミッシェルを囲む海みたいに?
はい。
・どちらかと言うと、追い掛け回される方が逃げるって聞くけどね。
それは分かります。
僕、カエルちゃんを長年追い掛け過ぎて、今でもボイジャー2号の速度で離れていってます。
・ボイジャー2号の速度なら、どれだけスイング・バイを利用しても光速を超えることはないし、デルタ宇宙域にも到達しないわ。
・時間軸を弄っても、現在の米軍駆逐艦が、太平洋戦争開戦の日にタイムリープもしないから。
時間軸を自由に弄れるようになったら何でもできちゃいますよ?
・パラドックスがきな粉の粒ほど生まれまれるわね。
・時間の鍵を握っているのは?
重力じゃないですか?時間なんて重力によって変化しますから。しかし、変化した時間軸上にいると、変化は感じないでしょう、多分。地球の上に鉛直方向に沿って立った人は、自分がどれだけ複雑な動きをしているかなんて微塵も思いませんし感じません。
・宇宙物理学って面白いかも分からないわね?
だから、相対性理論の文庫と新書を大人買いしたんです。紀伊國屋書店梅田本店でした。
でも、僕は数学も物理も捨てていましたから、式で説明してある部分は皆目分かりませんでした。
・しかし、アインシュタインが導いた式は簡単すぎた?
はい。
E=mc²
僕、黒板に方程式を書いていって、それを消しつ書きつ消しつ書きつして解いていく学者になりたかったんです。
数字の上で解いていかないと、概念だけで理屈を説明するだけでは不十分なのです。概念は数字で証明されないといけないし、方程式が弾き出した数字通りに現象は起きなければならない。
考えすぎて正気を失った学者も何人もおられたんです。
・今はスーパーコンピューターがあるわよ。
コンピューターってどんなに速くなっても、やはりヒトにとってはブラック・ボックスに過ぎないと思うんですよ。
・算盤も不思議なツールでしょう?或る意味ブラック・ボックスではないですか?
算盤がブラック・ボックスに見えますか?
算盤は四則演算の仕組みを見せたうえで使い方を学び、訓練して人を鍛える道具です。算盤は文化ですよ。
・じゃあ、方程式も文化なの?
そう思います。あれは言語ですから。
・ (段々数学者みたいなことを言い始めてきたわ)
・世界でいちばん単純で解くのがいちばん難しい命題ってなに?
「1+1はなぜ2になるか?」
これは、もう証明されたんじゃないですかね?
・フィールズ賞とか狙ってない?
まさか!
フィールズ賞より松嶋菜々子さんの方がいいですよ。
・最後にオチをぶち込んでくるよなー
(◡ ω ◡)