白い壁 子守唄みたいな音
曲がった名札 命を救う人
ひび割れなぞる 星座みたいに
それは執着でいい そう思ってた
紙コップの錠剤 淡い夢の色
症例みたいに 書かれていく私
でも読むのはいつも こっちの方が先で
青いインクだけが にじんで残る
「現実じゃない 投影だよ」
そう言った手が 少しだけ揺れてた
盗まれた夜 走るスピードだけ上がってく
光るダッシュボード カウンセリングノート
間違ってるのに 映画みたいで
あなたは薬で 私は癖になっていく
赤い信号 ただの点滅みたいに
笑って越えた 線なんてなかったみたいに
免許は消えて 正気もどこかへ
クリニカルな恋 名前もつかないまま
レザーシートに 残る罪の匂い
誓いなんてもう 置きっぱなしのまま
ブレスレットだけ 妙に光ってて
いつの間にか 同じ名前みたいになってた
「線を引け」って あの頃言ってた人が
今は境界を 忘れたみたいに触れる
甘い皮肉だけ 喉に残って
越えたのはどっちか もう分からない
「どこか遠くへ行こう」
そう言う声に 少しだけ頷いた
盗まれた夜 速度だけが増していく
フロントガラスに 診療の記録
間違いだって 気づいてるのに
それでも全部 映画みたいに見えてしまう
サイレンの音が 遠くで歌ってる
ガソリンの匂い 愛の形みたいに
免許も消えて 心もほどけて
クリニカルな恋 ただそれだけ
たぶんこれは 物語にされる
倫理なんてもう 後ろで燃えてる
それでもまだ きれいだと思う
危ないくらいの 甘い終わり方
筋書きも罪も 分かってるのに
どうしてこんなに 静かなんだろう
救われたかったわけじゃない
ただ 名前をつけてほしかっただけ
ハイウェイに残る 影みたいなふたり
白衣だけが どこかに落ちてる
冗談だったはずの夜が
いつの間にか 現実より濃くなる
バックミラーの光 まだ点滅してる
それでも止まらない 戻れもしない
失ったものは もう数えなくていい
クリニカル・ロマンス
設計されたみたいに 壊れていく
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