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そういうわけで、自分が丹精込めて書いた記事を地平線の彼方にいる愛しいあの人に読んでもらいたいと思ったら、ブログの記事に写真を貼り付けることである。ほら、前の記事を読んでないと分からない。この手の「風が吹けば桶屋が儲かる」は途中を省略するとイミフである。敬愛する読者諸氏のために、前の記事の結論を書くと、

あの人にブログを読んでもらう ← 少しでも多くの人に読んでもらえるようにする ← Google検索結果で上位に来るようにする ← ブログは検索されないようになったから、画像検索で上位に来るようにする ← 画像検索でヒットするようにブログに画像(写真)を貼る

こうして、
「ブログに写真を貼れば、愛しいあの人に思いが通じる」
ことが分かった。




そんなんなら、
「回りくどいことしないで、直接、写真を送ればいんじゃね?」
とまったく見当違いの会話をして来るおねえさん、いいー、質問ですねぇ(私が思っている方向へ話を展開させてくれる良い質問ですねぇ)。

ここで一組の男女ペアを用意しよう。男は女に言い寄っている。女は男に少し心を許しているが、まだすべてをさらけ出すというほどではない。そういう二人がネットを通じてやり取りをしている。
「はぁはぁはぁ。き、き、きみのかわいい●●●の写真、送ってくれないか? はぁはぁはぁ。」
「いやよ。恥ずかしい!(この変態! でも私、変態が好きなの。)」
「じゃ、じゃあ、きみの顔写真が欲しいよ、はぁはぁはぁ。」
「それもダメ。私たち、まだ顔を教えるほどの関係じゃないでしょ。(●●●はダメだけど、顔なら…。でもジラすのが女のやり方だわ。)」
「それじゃぁ、きみが飼ってるワンちゃんの写真、送ってくれよ。」
「えっ? (何、それ? 急に拍子抜けだわ。)ええ、いいわ。」
女が写真を送った次の日、男は女の住むマンションの前に現れ、やがて女は凌辱された遺体となって多摩川河川敷で発見された。世に言う「三多摩連続ストーカー殺人事件」の始まりであった。

その後、男は三多摩各所で同様の犯行を犯し、「三多摩の全30市町村をコレクションするのが目標だった」と異常な動機を自白している。また、自身の住む南青山を含む「東京都23区はしっかりお金を稼いで住むべき土地であり、三多摩30市町村よりも人間のブランドが格上だ」とも供述している。



南青山のプラダの中にいる人は格上の宇宙人に違いない。

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この記事、何なんだ?! えっと、ここまでのところ、
(1)ブログに写真を貼ることは良いことだ(メインテーマ)
(2)直接、写真を送ればいいんじゃないか?
(3)写真を送ったらストーカー殺人事件が起きた(妄想話)
ということだが、どうやってメインテーマに戻るんだ? 大丈夫、安心してほしい。私の頭の中ではストーリーが出来ており、次のように続く。
(4)写真を送ることの危険性
(5)ブログに写真を貼ることは危険ではないのか?
(6)結論
(7)おまけ:こんなことが起きたのは、アインシュタインがいたからー(NHKテレビ番組「チコちゃんに叱られる」ふう)

さあ、あらすじは分かったからもう読まなくて良いかというと、読者のみなさんは、
「えっ、写真を送ったら危ないんだ。ストーカー殺人にまで行く可能性があるんだ。なぜ? 教えて、教えて!」
「ブログに写真をアップしたいんだけど、危険なのかどうか、じらさないで教えてよー!」
「結論は危ないの? 危なくないの? どっちなの?! いろんな場合があるのかも知れないけど、私の場合はどうなのよ?!」
「アインシュタイン?! 何の関係があるの? 私にはどうしようもないけど、興味あるー!」
と、日本中から「?」と「!」が飛んで来ている。じゃあ、我慢して以下を読んで頂きたい。

あ、こんな風に論理的に文章を構成することを「レゲットの樹」にしたがうと言うのだが、ある程度の長さの文章を読み書きするのが苦手な方はぜひ身に着けたい技術である。詳しくは、私の過去記事を読んで頂きたい。
確信犯的STAP細胞不再現はスマホLINEが原因?:起承転結を反面教師に文章技術はレゲットの樹で」(2014/12/27)

「早くー! じらさないでー!」の声、多数なのでさっそく、
(4)写真を送ることの危険性
に進もう。



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なぜ、写真を送ったら最悪、ストーカーに遭うほどの危険が生じるのか。勘の良いあるいは博学の読者諸賢はご存知だろうが、
「デジタル写真ファイルには、GPS位置情報が埋め込まれている可能性があるから」
である。
「あー、そんなこと聞いたことある。だからブログに写真を載せるの躊躇してたのよねー。」
という方もいるかもしれない。だが、ある写真ファイルに位置情報が含まれているかどうか、どうやって調べれば良いのだろう?

ここで、私のブログに何回か登場しており、圧倒的なアクセス数を誇っている記事、
超簡単な画像処理フリーソフト「IrfanView」で、ピンボケ写真/くすんだ絵がこんなにキレイに」(2012/02/17)
超簡単な画像処理フリーソフト「IrfanView」で、無臭性写真にぼかしを入れると逆にワイセツ?」(2012/02/19)
を読んで頂こう。とは、言わない。フリーソフト「IrfanView」(イルファン・ビュー)というのを使えば、写真ファイルに位置情報が含まれているかどうか分かる(もちろん、他にも同様のソフトはある)ということである。


1.まずは、フリーソフト「IrfanView」で調べたい写真ファイルを開いてみよう。ここでは私の友人が送ってくれた写真を示そう。(※この写真は「三多摩連続ストーカー殺人事件」と関係ありません。)




このソフトのメニューボタンから、上のように「画像」をクリックすると画像処理周りのいろんな選択肢が出てくるが、ここでは一番上の「画像の情報」をクリックする。

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2.そうすると、新しいウィンドウが開き、画像情報が示される。ここで、左下の「EXIF情報」(エクスィフ情報、エグズィフ情報; EXchangeable Image file Format)をクリックする。





3.これによって、ズラーッと長いリストが表示される。始めの方はこの写真がiPhone6で撮影されたとか、シャッタースピードは233分の1秒だとか、フラッシュを炊いていないとかの情報である。




しかし、下の方に「GPS情報」というのがあり、この写真が撮影された場所の緯度経度が示されており、
・北緯:52°14'58"
・東経:21°00'43"
となっている。「だから何なの?」とお思いの貴女、このウィンドウの右下の、
「Show in Google Maps」
をクリックして頂きたい。

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4.いきなり、インターネットの地図が現れる。赤いマークがこの写真が撮影された場所である。
「ドイツとか、ウクライナとか、まさかヨーロッパ?」
「はい、そうです。」





5.「ま、小さいからどうでもいいや。ヨーロッパのどこかね♪」
「いえいえ、Googleマップって大きくできるんですよ。」
「…」
「ほら、ポーランド。」




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6.さらに大きくすれば、首都ワルシャワの川の近くであることが分かる。




7.さらに大きくすれば、建物やら道路まで特定できる。



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8.ここで、Google Street View(説明略)を使えば、この場所の風景が見える。



ほうら、元の写真の風景と一致した。ここはポーランドワルシャワ歴史地区で世界遺産らしい。こうして、写真のGPS位置情報から場所が特定され、地図を頼りに現地に行くことができ、希望するなら「ワルシャワ世界遺産前土産物店万引き事件」を起こすこともできる。例の「三多摩連続ストーカー殺人事件」の犯人の男も、女から送られてきた犬の写真に含まれている位置情報から、彼女のマンションを突き止め、ストーカー殺人犯と化したのである。

こうして、
(4)写真を送ることの危険性
が認識されたことと思う。ディジタル写真は、場合によってはGPS位置情報をEXIF情報として含んでいることがあるのだ。しかし、怖がり過ぎることはない。上の例ではiPhone6というスマホで撮った写真であったが、GPS機能をオフにしていれば「ワルシャワ世界遺産前料理店無銭飲食事件」は起こらない。また、ガラケーやデジカメでもGPS機能がない、あるいはオフになっていれば「ワルシャワ世界遺産前郵便局異物投函事件」も起こらない。これを聞いて読者さんは悲喜交々(ひきこもごも)だろう。
「私のデジカメ、GPS、ついてないんだよねー♪」
「私、いつもスマホで写真撮って、GPSつけたままだった。やばいよー。」
「私も同じ。GPSオンでスマホで写真撮ってSNSにアップしてる。もう、立ち直れない…。」



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ということで、話は、
(5)ブログに写真を貼ることは危険ではないのか?
に進む。

あまり、引きずるのは良くないので答から言おう。
「大丈夫だぴょーん♪」
GPS位置情報(EXIF情報)が入っている写真をアメブロにアップしても、それをダウンロードすればその情報はなくなる(おそらく、写真をアップしてアメブロのサーバーに保存するときに情報は消されている)。その場合、フリーソフト「IrfanView」では画像情報が下のように出る。EXIF情報がボタンごと消えている。






こうして、
(6)結論
は、
写真をアメブロにアップしても、写真の位置情報から自分の居場所が特定されることはないから、より多くのアクセスが得られるように、つまりGoogle画像検索でヒットするように、安心して記事に写真を貼って行こう、
ということである。



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長くなったが、最後に、
(7)おまけ:こんなことが起きたのは、アインシュタインがいたからー(NHKテレビ番組「チコちゃんに叱られる」ふう)
を書こう。

要は、アインシュタインが1915年から1916年にかけて発表した重力理論である「一般相対性理論」のおかげで、精度の良いGPSが可能になった、ということである。もし、この理論がなければ、位置情報は10mほどのずれを持つことになり、カーナビなどには使えたものではなかった。

アインシュタインがいなくても、2018年の今まで他の誰かが同様の理論を発表していただろうから、チコちゃんは、
「こんなことが起きたのは、アインシュタインがいなくてもー」
と叫ぶかというと、それは分からない。いわゆる「時代の要請」というものがあって、科学は同時代の誰かが発展させるものであるが、こと「一般相対性理論」に関してはほとんど「時代の要請」を受けていない。つまり、ニュートンの万有引力の理論に問題があることに誰も気づいていなかったから、新しい重力理論は必要とされていなかった。

なお、アインシュタインは1905年、「特殊相対性理論」を発表しているが、この理論はアインシュタインがいなくても同じ頃に(±20年)誰かが構築していたと考えられる。「特殊相対性理論」とは、世界で最も有名な方程式、E=mc^2 をひとつの結論とし、核分裂・核融合の理論的主柱を与えているが、元来は1905年当時問題となっていたニュートン力学とマクスウェルらの電磁気学の矛盾を解決し、統一する理論である。だから、
「原子力発電ができたのは、アインシュタインがいなくてもー」
と言える。

また、「一般相対性理論」は他の科学理論と異なり、アインシュタインが一人で構築したものであり、他の誰かが考え出せたかというと非常に疑問である。もしかすると、1915年から100年くらい遅れて現れた天才が理論を案出していたかも知れないが、その場合、2018年現在、まだ精度良いGPSは生まれていないはずである。

ちゃんちゃん♪((7)おまけ、終わり)




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「ボーっと生きてんじゃねーよ!」
何、納得してんだよ! 話は終わってねーだろ!
「なぜ、アインシュタインの「一般相対性理論」がGPSの精度に関係あるのか?」
を聞かずしてどうする。上の「ちゃんちゃん♪」で読むのをやめた人、帰って来ーい!

上に書いたように、「一般相対性理論」はニュートンの万有引力の理論に代わる(含む)新しい重力理論である。そのひとつの結論は、
「強い重力を受けると、時間の進み方が遅くなる」
「重力が弱いと、時間の進み方が速くなる」
というものである。もちろん、このように定性的に現象を述べるだけでなく、定量的にどのくらい時間の進み方が変わって来るか計算できるのが「一般相対性理論」である。

まず、重力が強い・弱いと言うが、地球の表面とGPS人工衛星の場所での重力が違う。地球から遠くなるにつれて重力は弱くなる。このために、人工衛星での時間の進み方は地表に比べて(いろいろ入れて)、
0. 000 000 044 64 秒(44.64 ナノ秒)
だけ速くなることが「一般相対性理論」で計算できる。このため、通信している電波(光の速さで進む)は違った場所を指し示す。光速は、
299 800 000 m/秒(秒速約30万km)
であるから、上の時間差の間に電波は、
299 800 000 m/秒 × 0. 000 000 044 64 秒 = 13.38 m
(2.998×10^8 m/秒 × 4.464×10^-8 秒 = 13.38 m)
だけ違う位置を示すことになる。これが「一般相対性理論」がなければ、「位置情報は10mほどのずれを持つ」ということである。なお、Wikipediaの「一般相対性理論」の項目では、「位置情報は10kmほどずれる」と書いてあるが、計算間違いである(最後に桁の計算を間違ったようであるw)。



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三連休の最終日、カーナビを使って行楽・ドライブを楽しんでいる貴女、
アインシュタインに乾杯♪
あ、運転は相方さんに任せてね。