p1/15
「し、しまったぁー! ノーベル賞ウィークが始まってたぁー!」
ノーベル賞メダル


ということで、昨日(10/3)、日本人研究者の大隅良典氏(東京工業大学)が医学生理学賞を受賞した。

受賞内容は「オートファジー(たんぱく質の自食作用)」。私はこの分野には疎いのだが、要するに細胞にはその中の劣化した器官(ミトコンドリアなど)を分解して(食べて)アミノ酸に戻し、新しいたんぱく質の再生に利用することを発見したというもの。へー、そんなこと全然知らなかった。ふだん、「たんぱく質を作るには肉を喰え、プロテインを飲め。」と言ってる私だが、自食作用によって再生されるたんぱく質の方が量的にずっと多いということだった(だから肉を喰うなっていうことじゃないけどね)。

テレビニュースのインタビューで氏が答えていたのによると、自食作用という現象を大学の光学顕微鏡でたまたま見つけたのだと言う。セレンディピティーである。もちろん、それが非常に重要な現象であることを見抜いて研究を進めたところに氏の慧眼がある。

大隅氏は御年71歳。モノの無い時代に生まれ研究を始めた人である。ニュースキャスターが、
「先生はご幼少の頃から顕微鏡などを覗いてらっしゃったのですね。」
などと時代感覚のずれたことを質問していたが、氏は、
「いやぁ、モノの無い時代だからそんなことできませんよ。」
と答えていた。モノのあふれている現代とは違う。ただ、氏の尊父も大学教授だったらしく、学問の素地はあったようである。というか、昔は「学者一家」というものがあり(今でもあるが)、そういう人が功成り名を遂げる時代であった。

また、大隅氏が科学を目指した理由というのも時代を反映している。当時は科学で戦争に負け、科学をやれば国が豊かになるという科学礼賛の時代だった。だからこそ、鉄腕アトムなどがもてはやされたのである。いまどき、アトムの妹にウランちゃんなどとつけるとひんしゅくモノである。そんな中、氏は科学を目指して研究を始めた。


ウランちゃん



p2/15
ただ、大隅氏の発言に私は時代錯誤の違和感を感じたのも事実である。ニュースキャスターの、
「科学を志す若い人たちにメッセージを。」
という問いに対して、氏は、
「好きなことを突き詰めてやりなさい。たとえそれが10年後、20年後、100年後に評価されるような内容であっても科学は意義深いことなのです。」
正論ではある。しかし、現今の若者の科学離れはそんな夢物語に相反する。今、若者は貧困にあえいでいる。とてもじゃないけどそんな夢を語ることは難しい。よっぽど経済的に恵まれている人しか(あるいは極端に能力の秀でた人しか)科学者の夢を追いかけることはできない。失礼を承知で言うと、氏はそのあたりのことにかなり疎いように見られた。

科学者を目指して大学院に入っても食べて行けない。政府外郭団体その他の奨学金は極めて貧弱である。大学院で夢を追いかけたくてもアルバイトに明け暮れる日々。科学への夢と能力があってもそのうち予備校の講師に納まってしまう。博士号を取得した上で、トラックの運転手になるとか、コンビニのバイトをするとか、ゴミ収集のバイトをするとか、若い才能がないがしろにされているのが現在の状況である。私はこれらの仕事を蔑むつもりはないが、博士号を取得した上でこれらの職に就くことは完全にミスマッチであり、学問的努力を損失していると言いたいのである。読者の中にはニュースなどでお聞きになった方もいるかと思うが、いわゆる、
「高学歴ワーキングプア」
「学歴難民」
の大量発生が現状である。さらには貧困から博士号取得者の自殺まで少なからず発生している。


高学歴ワーキングプア

p3/15
博士号取得まで行かなくても、東大・京大の学部卒でも正規職員になれない。東大卒のフリーター、京大卒のヒモ(恋人に食べさせてもらっている)のなんと多いことか。もちろん、大学ブランドを生かして一旦は会社の正社員になったりはするのだが、会社は会社で優秀な新入社員を生かすことをしない。元東大生・元京大生は、
「こんな会社、やってられっかっ!」
と短気を起こして辞めてしまう。そうすると転落への道まっしぐらである。新卒優先の就職制度が高学歴大卒生を社会の落伍者に仕立て上げる。

しかたなく入った工事現場では、元東大生・元京大生は他の作業員(たいてい高卒、中には中卒もいる)とまったく話が合わない。バックグラウンド(生きて来た道や価値観)が違うのだから当たり前である。休み時間のみんなの会話と言えば、居酒屋はどこが美味いとか、パチンコはどこが良く出るとか、あそこのキャバクラはブスばっかだとか、いわゆる「飲む・打つ・買う」が主である。高学歴者がそういうことをしないとか嫌いだとか言うつもりはないが、毎日毎日そればっかり聞かされると、
「こいつら、バカばっか。ちったぁ、豊洲問題とか、オリンピック経費のこととか話そうよ。」
となる。完全に職場で浮いてしまう。そうすると、疎外感からせっかく得た工事現場作業員さえも辞めてしまう。あとはお決まりのパラサイトシングル(親元でのニート・引きこもり)。というのが学歴難民のなれの果てである。

何が問題か。根っこが深すぎるし問題が多岐にわたっていてひと言では答えにくいが、最初に述べた科学を志す大学生・大学院生が経済的に苦労する問題について言えば、無利子無償の給付型奨学金の拡充が問題解決のひとつである。有利子奨学金はただの教育ローンであり、大学生・大学院生を卒業・修了後の貧困に追いやっている。大卒生・院卒性は卒業・修了と同時に多額の借金を背負い、マイナスからのスタートを強いられる。また博士号取得後の研究員への経済的援助も必要不可欠である。iPS細胞の山中伸弥氏が政府に求めたのはそれであった。iPS細胞の研究を行なっている半分以上の研究員が年限つきの非正規職員であり、将来が見通せない。現在の生活さえ、アルバイトを掛け持ちしないとままならない。これをなんとかして頂きたいと山中氏は政府に直談判した。山中氏はマラソン出場で人件費を含む研究費の寄付を募ることで若手研究員を養っていたが、政府に言ったことが奮っている。
「現在の若手研究員の給料をマラソン寄付金でまかなうためには、私は年間100回以上マラソンに出場しないといけません。」
それほど政府の若手科学者への待遇はひどいのである。たまたま山中氏はノーベル賞を取ったため、政府首脳に「お目通り」が叶い、iPS細胞関連研究には大きな予算がついたが、ノーベル賞を取っていない研究管理者の元にいる若手研究員はいまだに貧困の渦中にある。

p4/15
日本が科学技術立国を目指すというのであれば、政府はもっと若手研究員の人件費やその後の研究に予算を充てるべきなのだ。しょーもない大型科学プロジェクトにばかり光を当てていてはいけないのである。


高学歴ソープ嬢

※2016/10/4、大隅氏が時間をかけて行なった受賞記念スピーチでは、氏もまた「日本の科学の空洞化」を指摘していた。
「若手研究者が育たないような現状では、日本の科学は空洞化する。」
と。10/3の短い受賞インタビューではこのことに触れる時間が無かっただけのことであり、上に私が「若者の科学離れの現状に疎いように見られる」と書いた部分は訂正させて頂く。

2016/10/7、大隅氏が受賞記念講演を行なった。そこで氏が指摘したことは、
「『毎年のようにノーベル賞が日本から出ている』などと浮かれている場合ではない。すぐに役立つことが見込まれている研究にのみ研究助成金が交付され、私のような20年かかる基礎研究は続けにくくなっている。この傾向が続けば将来の日本のノーベル賞はない。若い人はこれでは研究は続けられない。」
とのこと。私などが指摘するまでもなく、現在の日本政府の研究行政のあり方が厳しく問われている。大隅氏の批判に対して税金をアレンジして研究を助成する日本政府、さらにはその税金を支払っている日本国民はどう答えるべきだろうか?



p5/15
おっとー、ノーベル賞の話をするはずだったのに、いつのまにか「高学歴プア」「研究行政」の話になってしまった。とにかく今週はノーベル賞ウィークである。受賞発表のスケジュールは、
・10/3(月) 医学生理学賞
・10/4(火) 物理学賞
・10/5(水) 化学賞
・10/7(金) 平和賞
・10/10(月) 経済学賞
・スケジュール未定 文学賞
である。

くり返しになるが、医学生理学賞発表が昨日だとは気付かなかった。だって忙しかったんだもんもんもん。医学生理学賞の有力候補者を今さら書いても遅いのだが、一応書いておくと、
1.本庶佑氏(京都大学)+ G. J. Freeman + A. H. Sharpe「がん免疫療法の発展」
2.森和俊氏(京都大学)「細胞内での異常タンパク質阻止管理」
3.石坂公成氏(ラホイヤアレルギー免疫研究所)「免疫グロブリンIgEの発見」
4.坂口志文氏(大阪大学)「アレルギー反応機構の解明と制御系T細胞の発見」
5.J. P. Allison + J. A. Bluestone + C. B. Thompson「免疫応答調節」
6.M. N. Hall + D. M. Sabatini + S. K. Scheiber「成長因子たんぱく質」
である。

つまり今回受賞した大隅良典氏はそれほど有力な候補ではなかったのだ。それでも、本人の語るところによると、
「私のノーベル賞受賞の確率は10%くらいだと考えていた」
そうで、まったく下馬評に上がらないというわけではなかった(当たり前である)。しかも最大の有力候補と見られていた本庶氏が3人での共同受賞候補であったのに対し、大隅氏が単独受賞を果たしたというのは極めてすごいことである。一説によると、単独受賞はノーベル賞何個分にも相当すると言う。大隅氏におかれては上に失礼なことも書いたが、心からお祝いを述べたい。


ノーベル賞受賞者



p6/15
で、今日10/4はノーベル物理学賞の発表である。これも有力候補を書いておく。何と言っても「重力波の検出」が最有力候補である。残念ながら日本人の超有力候補はいない。が、長年候補に挙がっている研究者も含めて書くと、
1.飯島澄男氏(ソニーから名古屋大)「カーボンナノチューブの発見」
2.大野英男氏(東北大学)「希薄磁性半導体」
3.細野秀雄氏(東京工業大学)「電気伝導性セメント」
4.十倉好紀氏(理化学研究所)「巨大電気磁気効果」
5.佐川眞人氏(住友特殊金属からインターメタリックス社)「ネオジム磁石」
6.M. L. Cohen「固体材料物性の理論的予測」
7.R. W. P. Drever + K. S. Thorne + R. Weiss「重力波の検出」
8.C. Grebogi + E. Ott + J. A. Yorke 「カオスの制御」
このうち、7の「重力波の検出」が最もインパクトが大きかったと言われている。香川うどん県では「かけうどんの値上がり」の方がインパクトが大きく新聞トップ記事を飾ったが、世界的には「重力波の検出」の方がトップである。


重力波よりかけうどん


知ってる人は知ってる、知らない人は知らないノーベル物理学賞の慣例だが、物理学賞は1年交代で分野が変わる。去年が素粒子論であれば今年は固体物理学という感じである。大雑把に言えば、究極研究と応用研究が毎年交互に物理学賞を受賞することになっている。たとえば、2013年はヒッグス粒子、2014年は青色発光ダイオード、2015年はニュートリノ振動といった具合である。この慣例を踏襲すれば、今年の最有力候補は6のコーエン氏なのだが、重力波の検出はあまりにインパクトが大きすぎたので、ノーベル賞選定委員会は慣例を破るだろうと思われる。

p7/15
いや、もしかしてやっぱりコーエン氏か。だって、コーエン氏は1935年生まれの81歳。もうそろそろあっちの世界に行きそうである。ノーベル賞は存命中にしか受賞できないから、委員会では、
「やっぱり今年は重力波でしょう。」
「いやいや、慣例から行くとコーエンさんでしょう。」
「重力波は慣例を破るほどのインパクトなんです。」
「そうは言ってもコーエンさん、もうそろそろアブナイみたいだし。」
「そうですか。重力波の3人組はまだ元気だし、じゃあコーエンさんかな。」
という議論がなされたかも知れないw

笑いごとではない。いや、笑って頂きたいのだが、とにかくノーベル賞授賞と研究者の命はかなり微妙な問題なのである。たとえば、レフ・ランダウというロシア(旧ソ連)の天才物理学者(物理学のランダウ・リフシッツ、ランダウ・ピタエフスキー教科書シリーズで有名)は多岐にわたる研究でいつ受賞してもおかしくないと言われていたが、交通事故で瀕死の重傷に遭い、「息がある内にノーベル賞を」ということで受賞した。


生前のランダウ

また、スーパーカミオカンデという巨大実験施設を使ったニュートリノ振動の発見は戸塚洋二氏が研究責任者のときに行われたものだが、不幸にも戸塚氏は2008年66歳の若さで亡くなったためにノーベル賞が授与されなかった。その代わりに、研究責任者を引き継いだ梶田隆章氏が2015年にノーベル賞を受賞したのである。言っちゃあ悪いが、梶田氏は戸塚氏の遺産でノーベル賞をもらっただけのことである。ニュートリノ振動とは別に梶田氏が計画した重力波検出施設KAGRAの建設はすでに結果で先を越されてるし。氏は、巨大予算を出した政府に、
「世界に3つ重力波検出施設があれば3点測量の理屈で重力波発生源を正確に決定できるから無駄ではない。」
と強弁している。あ、別に梶田氏を貶めるつもりはない。最先端研究は競争なのだから、梶田氏は無駄なものを作ろうとしたわけではない。ただ重力波検出競争に負けただけのことで、研究とは厳しいものなのだ。

p8/15
余談になるが、巨大実験施設建設(ビッグプロジェクト)で言えば、カミオカンデでニュートリノを観測した小柴昌俊氏だって、巨大予算をドブに捨てるところだった。カミオカンデというのは岐阜県の神岡鉱山跡地に建設された実験施設だから「カミオカ」という名前がついている。では、カミオカンデの「ンデ(NDE)」って何と言えば、「Nucleon Decay Experiment」=「陽子崩壊実験」の略であり、素粒子論における大統一理論の予測する陽子の崩壊を検出する目的でカミオカンデは建設された。巨額の費用を投じて建設したは良いが、いつまでたっても陽子は崩壊しない。小柴氏は巨大予算をムダにするところだった。いや、やってみないと分からないのが科学なのだからムダというと語弊があるが、とにかくカミオカンデは「陽子崩壊検出失敗」という「成果」しか出せなかった。大統一理論の予測する陽子崩壊の寿命が間違っていたというのはそれはそれで成果であるが。そこで一計を案じた小柴氏はカミオカンデにさらなる改良を施して(半分失敗してるのに追加の巨大予算を取って来るあたり、スゴ腕である)、ニュートリノを観測できるようにした。そうして1987年の超新星爆発という偶然の神様に魅入られてノーベル賞を取った。この超新星爆発がなかったら普通の人なら冷や冷やモノである。本当に肝っ玉のすわったおっさん研究者である。そして、氏がうそぶく事には、カミオカンデの「ンデ(NDE)」は、「Neutrino Detection Experiment」=「ニュートリノ検出実験」なのだと。こらこらこらー、二枚舌もいい加減にしろー。


小柴3



p9/15
で、話が長くなったが本題のノーベル賞に話を戻すと、明日10/5はノーベル化学賞の発表。こちらは日本人が最有力候補になっている。有力候補を列挙すると、
1.前田浩氏(熊本大学)+松村保広氏(国立がん研究センター)「がん治療の薬物発見」
2.藤田誠氏(東京大学)「自己組織化システム」
3.藤嶋昭氏(東京大学)「光触媒酸化チタン」
4.G. M. Church + F. Zhang「ゲノム編集」
5.D. L. Y. Ming「無細胞胎児DNAの検出」
このうち、1の2氏が最有力候補である。

3の藤嶋氏が発見・開発した酸化チタンは青色発光ダイオード以上に生活に溶け込んでいる。光触媒とは光(主として紫外線)を受けて化学物質を変化させるもので、たとえば家の内壁に塗ってハウスシック症候群の有害物質を無害化するとか、そのほか、抗菌・脱臭・大気浄化に酸化チタンはなくてはならない。なお、光触媒効果とは関係ないが酸化チタンは顔料(化粧品)や日焼け止めや道路の白線に使われている。ん、待てよ。女性が顔に塗ってる酸化チタンはもしかすると外で(紫外線下で)脱臭効果を期待してるのかも知れない。
「お前、体臭キツいんだからよー。酸化チタン塗れよ!」


酸化チタン化粧品


とにかく、今日・明日のノーベル賞発表が楽しみである。読者の皆さんにおかれては、この記事でちょっとでもノーベル賞を中心とする科学に興味をもって頂けると幸いである。



p10/15
【追記その1】
平和賞、経済学賞、文学賞については解説できるほどよく知らないのだが、ひとこと。平和賞の今年の最有力候補は、
「憲法9条を堅持する日本国民と日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」
9条改正を党是として推し進める安倍首相の政策と真逆である。というか、平和賞はオバマ氏の核廃絶に対する受賞がそうであったように、政治を誘導する目的で(「9条改正なんてするなよ」と釘をさす目的で)贈られることがあるから、授与されるかも知れない。
「シンゾーちゃん、おイタはもうおやめなさいね♪」
という感じ。日本国民を代表して安倍首相が授賞式に参加したらかなりブラックである。


安倍憲法




p11/15
【追記その2】
2016/10/4、ノーベル物理学賞が発表された。受賞者は有力候補として私が挙げた研究者ではなかった。しかし、「重力波の検出」ではなく、私が指摘したように固体物理学の理論的研究が受賞した。って、記事に書いたように1年ごとに授賞研究分野を交代するという慣例にのっとっただけなんだけど。受賞者は次の通り。
D. J. Thouless + F. D. M. Haldane + J. M. Kosterlitz
「トポロジー(位相幾何学)を用いた超伝導などの理論的解明」
サウレスは物理学の教科書「多体系の量子力学」の著者として物理学科の大学生にも知られている(はず)。


ノーベル物理学賞2016




p12/15
【追記その3】
2016/10/5、ノーベル化学賞の発表。受賞者は期待された日本人ではなかった。私が挙げた海外の研究者とも違う。受賞はてっきり日本人だろうと予想していたので、海外の研究者は2組3人しか挙げなかったのだが、その他の有力候補者が受賞した。受賞者は次の通り。
Jean-Pierre Sauvage + J. F. Stoddart + B. L. Feringa「分子マシンの開発」


ノーベル化学賞2016

ネット上ではこれらの受賞者の情報はかなり少ない。著書も見当たらない。同姓同名のJean-Pierre Sauvage氏が「臨床と治療」という本を出しているのみである。そもそもフランス人の名前はバリエーションが少ないから同姓同名が頻繁に起こる。Jean-Pierre(ジャンピエール)はいたってありきたりだし、Sauvage(ソバージュ)もありがち。情報が少ないからコメントしようがない…では、博覧強記のジプシー・トシの名がすたる。薄乱狂気で書きまくる。

sauvage(ソバージュ)は1980~1990年代のバブル前後に流行った女性の髪型だが、まさに今、2016年秋に「ネオソバージュ」として流行が期待されているらしい(業界は流行を作り出そうとしている)。そもそもソバージュを知らない人のために書くと、有名人では葉加瀬太郎…あ、いや、その、関根麻里、夏木マリ、椿鬼奴を思い浮かべれば良い。要するにワサワサと野性味あふれる髪型である。フランス語の「sauvage(ソバージュ)」は英語の「savage(サベッジ)」=「野生の、野蛮な」である。受験生諸君、savageはちゃんと覚えてるかな?


ネオソバージュ2

おいおい、どの辺がノーベル賞の記事なんだ?!



p13/15
【追記その4】
2016/10/7、ノーベル平和賞が決定した。日本国憲法9条に対して…でなく、コロンビア大統領フアン・マヌエル・サントス氏に対してである。うーん、日本政府・国民含めて憲法民意を高く評価するにはまだ時期尚早であった。憲法9条改正については国民世論に賛否両論あり、どちらが正しいと言うことは難しい。ノーベル平和賞を「過去70年の憲法9条堅持」に対して授与するのは難があるということであり、オバマ氏の核兵器廃絶と違って憲法9条堅持という政治応援メッセージをノーベル賞委員会が示すことは内政干渉が過ぎるということであろう。

コロンビアのサントス大統領が成し遂げたことは、過去50年におよぶ内戦終結に尽力したというものであった。コロンビアでは貧困から薬物マフィアに加わる人間が多く、内戦で国民の多くが傷ついて来た。サントス大統領が進めたものはマフィアに対してただ厳しい対応を取るのでなく、内戦で罪を犯した人間の罪を軽減するなどである。物事の善悪を知る前に子供兵として上官に命じられるままに殺人を犯した者もおり、そういう人間に対しては公共事業のボランティアを8年間行なうことで刑務所での懲役刑を免除することもある。出所した元犯罪者の就職あっせんを行ない、罪の意識に悩む元殺人犯のPTSD(心的外傷)の心のケアも進める。また犯罪組織の幹部に政党を作らせて政治に参加させることもある。このような「悪への譲歩」により、マフィアの武装解除を進めようとしている。

実はこの政策はうまく行っていない。ノーベル賞受賞直前の10/3に行われた政策是非を問う国民投票で、サントス大統領の和解案は僅差で否決された(賛成49.76%、反対50.24%。その差はわずかに0.47%)。国民の中には内戦で近しい人を殺された人もいるし、自分自身が片腕を失った人もいる。なのに、出所すれば五体満足で仕事までもらえるというのは「悪いことをした人間が得をする」という間違った価値観を国民に植え付ける可能性もある。正義と非正義の峻別を主張する原理原則論者の国民もいる。その結果の国民投票の「ノー」である。このままではせっかくの内戦終結から平和へのプロセスが頓挫すると考えたノーベル平和賞委員会は、平和賞をサントス大統領に授与することで「国民和解を進めてほしい」という政治応援メッセージを急きょ発したのである。それにしても、国民投票「ノー」からノーベル賞授賞決定までわずか4日。異例のスピード決定であった。


平和賞コロンビア大統領


p14/15
コロンビアというと日本人にはあまりなじみが無いかも知れないが、好きな人(つまり好き者)にはよく知られている国である。どのように知られているかと言うと、お隣のベネズエラとともに「美人の国」である。

コロンビア美人まとめ

美人の基準は人それぞれだから、ウクライナが良いという人もいれば、アルメニアが良いという人もいる。しかし、ミスユニバースチャンピオンの常連国であることをもって「美人の国」と定義すれば、間違いなくコロンビアは上位美人国になる。

ミスコロンビアまとめ

なぜ、コロンビア(やベネズエラ)に美人が多いか。間違いなく、ラテン系白人(スペイン)とインディオというかなり異質な民族のハイブリッド(メスチソ)が成せるワザである。コロンビアの民族構成は、
・メスチソ(ラテン+インディオ)58%/・ラテン系白人 20%/・ムラート(ラテン+黒人)14%/・黒人 4%/・インディオ 1%/・その他 3%
となっている。うーん、メスチソ女性とつきあいたい!

でもなぁ、メスチソの男には負ける。だってやつらのち◯ち◯ってバカでかいんだもん。ってなことを表わしたのが下の地図である。日本人平均11cm(10.92cm)に対して、コロンビア人平均17cm。長さで1.5倍、体積(ボリューム)で3.7倍。うーん、勝ち目はない。


コロンビアと日本のペニスのサイズ

あれー、この記事、ノーベル賞という高尚な記事のはずだったんだけどなぁ。ま、いっか。


p15/15

ジプシー・トシの読者登録をする
ジプシー・トシのプロフィールを見る
ジプシー・トシの過去記事一覧(タイトル)を見る
  テーマ:「哲学・思想」
  テーマ:「社会・文化」
  テーマ:「時事・政治」
  テーマ:「情報・雑学」
  テーマ:「小説」
  テーマ:「写メブログ」
  テーマ:「アメーバ大喜利」
  テーマ:「なうのまとめ」
ジプシー・トシの過去記事一覧(人気順おしながき)を見る
ジプシー・トシの過去記事一覧(書き出し)を見る、記事内容を検索をする

◆ 上の記事を読んだ人は次の過去記事も楽しんでいます
☆1.「iPS細胞、ノーベル賞は逃したけれど ~「世にも奇妙な物語」より~
☆2.「ダークエネルギーで加速膨張する宇宙 ~2011年ノーベル物理学賞~
☆3.「自然には規則正しいいろんな並び方がある ~2011年ノーベル化学賞~
☆4.「福原愛のおしゃれイズム、ヒガンバナ、竹島尖閣問題、iPS細胞
☆5.「天才「大栗博司」の無私・孤独を思えば、早稲田・理研のSTAP研究者の功名心など恥ずかしい限りなり
☆6.「【速報】「我、月を見る。ゆえに月あり」がマクロの常識になりテレポーテーション・どこドアが現実に?
☆7.「【未来記事】広島訪問で見せたオバマの涙 ~論理と感情のはざまで揺れる心は核なき世界をもたらすか~
☆8.「物理よりふつーに脳科学が好き♪ ~脳オシレーション(Brain Oscillations)とは~
☆9.「我々の宇宙が存在するのは我々が存在するから? ~神を越えて人間原理を越えて標準モデルを越えて~
☆10.「やさしい物理: 鉄1kgと風船1kgはどちらが重い? 缶ジュースと缶スープはどちらが速く転がる?
☆11.「「鏡で右と左が反対に映るのはなぜ?」の答、からのパンスペルミア説
☆12.「【速報】 天才大栗博司氏、宇宙誕生のメカニズムを理論的に解明!~時空は量子もつれから発生する~
☆13.「不寛容社会で莫大な税金を使ったニホニウム研究を祝うのに必要な幸せとは何か考えたら許せないものは…
☆14.「「ビッグバンの前」を考えなくても良い理由 ~超入門・一般相対性理論~
☆15.「携帯・スマホの充電なくなった!充電器買う?⇒乾電池式充電器で電池パック壊れるかも!
☆16.「葉っぱはなぜ緑色? 植物進化において細菌から始まる光合成はやがてパラサイトイブへ…の生物物理化学
☆17.「見てみたい動物:収れん進化したヒューマノイド宇宙人 ~映画MIB3を3倍楽しむ方法~
☆18.「注意してる?食べる物と食べる順番、糖質・炭水化物・タンパク質・ビタミン・脂肪のバランスとカロリー
☆19.「初笑い! 笑う広東・福建省、餅は熱いうちに喰え、海老をタイで売る ~謹製「変則 いろはかるた」~
☆20.「「愛しさと、切なさと、和食のさと♪」ってボケたっていいじゃない。~アメーバ大喜利自選ベスト100~