先週末に知り合いの夫妻と「遊牧民の用と美・西アジアのトライバルラグと染織品」観覧のため清瀬市郷土博物館を訪れた。Traibeを主宰する榊さんが、およそ30年に渡り収集したものを一覧できる貴重な体験だ。

 

 

 

 

 

 

 博物館のエントランスの大欅はのびのびと腕を伸ばし、細かな葉の重なりが梅雨空に広げた早緑色のレースに見えた。

 

 

 

 

  

 

     
 

  

 

 

 トライバルラグとは部族の絨毯という意味だ。

 

 

 

 

 

 いつの頃誰を介して榊さんと知り合ったのか、まったく記憶がないほど彼との付き合いは長い。倉庫に所狭しと積まれた絨毯の一枚一枚を広げながら語られる彼の遊牧の民の物語は、いつも私を遙遙した旅に解き放ってくれた。

 

 

 昨年末に移り住んだ新居に敷くラグを探している知り合いに、榊さんを紹介し彼が憑かれたように収集してきたトライバルラグの世界を体験してもらうのに、今回の博物館の企画は最高の空間にちがいない。

 

 

 夫も私もとりわけバルーチ(バローチ)という部族の、深く赫い世界に魅せられてきた。濃紺や臙脂、泥色の地に白が自由闊達に織り込まれた彼らの織物は、遠くからでもそれとわかるほど、万物甦生のエネルギーを放っている。