季節外れの冷たい雨、時折ボタボタと雪らしきも混じる、春とも思えぬ昨日でした。


   朝早くから薪を惜しまずたっぷりスト-ヴにくべたおかげで、暖かくレースに没頭しました。

 
 月初めから、ポツポツとアポッジョに針穴を開けたバラのドイリーのステッチは捗れど、夫の状況は自発呼吸が戻った以外に他にたいした変化もなく、時間だけが過ぎていきます。
  昨今のウィルス禍への対応でしょうか、金曜日から一般病棟のベットに移動しました。機器からもれる、ICU特有の耳障りな通底音がなくなった分、気分は楽になったのかもしれませんが、いくつもの事務手続きが追いすがるように訪れ、折角私の面接時間に合わせリハビリの方が施術をしてくださったものの、ゆっくりとそれが確認できず、残念でした。




 
 
  帰路、眺めていたネット上に、とあるイタリア関係の大きな文化組織が来月にアエミリア・アルスの短期講座をひらくという記載が目に入り、ひどく驚きました。
 というのは、その記載に添えられたレース写真がいくら見ても、私の知るボローニャのレースとは判ぜず、帰宅すぐにパオラ先生にその写真のレースが何であるかを確認したところ、ボビンでもない、おそらく古いヴェネツィアレースだろう、「アエミリア・アルスでは、まったくない」と。
  講座では小さなドイリ-を作るそうですが、何を作るのかしら?

 


 
 日本以上のウィルス禍に見舞われたイタリア。本来ならば復活祭前後まであるレース教室も今は休止、先生は家に留まらざるを得ないこの期を使い、毎日レース製作に励んでいるそうです。
 
 
 
  日本のLAINのようなもので、私もレースの先生や友人たちのグループチャットに参加してますが、日本とイタリアの時差のタイミングで、こちらの深夜にたくさんの会話や動画、写真が交わされ、枕元の携帯の騒がしく目覚めると、概ねニヤリとする愉快な内容が行き来してます。コメントには必ず😍😘😁も!
  こんな状況下でもほどよいジョークを忘れない、彼らの気質に学ばされます。笑えば免疫力も上がりますし。

 
 昨夜は居室やバルコニーから18時一斉に、何かを叩いて音を鳴らしたり、歌ったり楽器を奏し気分を高揚させ連帯を分かち合ったとか。

 イタリアの国歌を窓辺で唱する姿もありました。個々の存在を貴ぶ歌詞がある国歌は、他国の私でも聴くうちに胸に熱い感情を覚えます。
  言い得ぬ不安と向き合ういま、崩れそうな個々と個々が音楽でつながろうする彼らに共感します。

 
 
 アケビの花、甘草、雨上がりの庭でたくさんの春の芽吹きを見つけました。