ヴェイパーフライを実戦投入してみた
昨日（20日）のことになるが、ヴェイパーフライでフルマラソンを走ってきた。結果から言うと、初サブ50達成、ラスト7.195kmを3'53/kmでカバーという上々の出来で、改めてシューズの効果の大きさを感じている。という訳でレビュー。今回は以前のフルマラソンとの比較をしたりはするのだが、あくまで私個人の2レース（しかもコースプロファイルも全く違う）での比較なので、科学的根拠に乏しいことは予め記載しておく。
レースの推移
まずは以下の二つのグラフを見て頂きたい。
平均ペースの推移
心拍の推移
青の系列が今回Vaporflyで走ったマラソン、赤の系列が前回（5月頃）他の勝負シューズで走ったマラソン（実験にも出てきたターサーくらいの感じのシューズ）の時のものである。両者とも30km地点までは全体平均が4'03/km程度で推移しており、コースプロファイルに起因すると思われる振れ幅（前回は長いアップダウンが多く、今回はどフラットなコース）の大きさが異なっているだけである。心拍に関しては、およそ30km地点に相当する6000secを少し超えるあたりまでは、両者ともおおよそ近い心拍域（今回の方が若干高いが）で推移している。このあたりの数値は走っている間の感覚ともマッチしており、両者ともに「無理のない範囲で淡々と刻む」を実行した結果となっている。ここで一つ面白いのは、無理をしていない範囲ではVaporflyの効果は心拍で見てもペースで見ても表れていないということである。この点は前回の実験の結果（心拍域が低い場合には、心拍、走行タイムのみからは効果が見えない）とも一致する。
しかし、走っている脚の感覚からすると、歴然の差があったというのが私の印象だ。前回も今回も、35kmまでは我慢し、その後は最大努力というスタイルをとったのだが、前回のケースは30km以降心拍が下がってきている。これは、私の場合、脚が売り切れ間近で心拍を上げられるほどの運動強度が維持出来ない場合の典型的な例である。その後35km到達時点でペースを上げられる余裕が全くなく、そのままずるずるいってしまった形だ。かたや今回に関しては、35kmまでは我慢と思っていたにも関わらず、30km以降、ペース、心拍共に若干上昇（ペースに関しては、速くなる方向、つまりグラフ下側を上昇と言っている）しはじめ、35km以降は完全に切り替えに成功している。脚は驚くほど残っており、今回の35km以降は心肺や代謝機能側の問題でペースが決まっていた（大体180bpm台前半がLTと思われる）ようだ。最終的には190拍を越えるところまで心拍が上がったのだが、フルマラソンやそれに類するロングレース、練習でここまで心拍があげられたのは初めてな気がする。それほどまでに脚が残っていた。さらにレース後の脚の状態に関しても驚くほどダメージが少ない。いつもならば翌日は歩くのも億劫なほどの筋肉痛になるところが、今回は軽いジョグ程度ならば全く差し支えのないレベルである。ほんとに昨日フル走ったっけか？くらいの感じ。
で、つまるところどうなのか
もちろん、今回と前回ではコースプロファイルも体の仕上がりも異なるため、単純な比較は出来ない。が、レース、実験を通しての個人的な意見としては、ヴェイパーフライは明らかなランニング効率の向上をもたらす、というのが結論である。走り方等による個人差に関しては何ともいえないが、印象のみ言うと、走り方とかむしろ問題にならないくらい靴の効果がでかいんじゃねえかぐらいの印象である。ちょっと言いすぎかもだけど。
以下に前回の実験および今回のレースを踏まえた印象をまとめる。
・LT（多分…）以上のペース域で同一心拍条件で他のシューズより速く走れる。
・運動強度が低いケースは心拍、ペース等に大きな影響はない。しかし、筋肉疲労（接地時の地面からの機械的ストレス？）の軽減の効果はあるものと思われる。
・フルマラソン後半、とにかく楽。
・柔らかい。弾む。楽しい。
正直、Vaporflyを履いてなかったらサブ50出来たかと言われると疑問が残る。その位良い印象があった。逆に言うと、練習とかで使うのはあんまり良くなさそう。いかにも脚がサボるんじゃないかと。いかんせんシューズが特殊なので、ぶっつけ本番でなく、ズームフライで練習して、ヴェイパーフライをレースにって話もあるけど、両者は完全に別物と思った方がいいくらい乗り味が違います。それにまあ、使ってみた印象として、上手く使えるような特殊な練習が必要だとか、使い手を選ぶだとかとそんな気はしないんだよなあ…。私の感覚が鈍いだけかもだが。
結論
買いです。
おまけの報告
体重はきっちり落ちました。キレてるー！！
