店長は続けた。いつ仕事してもいいこと。連絡用にと携帯番号も教えてしまった。最後に、と店長は続けた。捕まえるのは誰でもいいというわけではない。不良のような男だと君の方が危険だ。君と同じくらいか年下の女の子をみつけるんだ。携帯は緊急事態で使う。捕まえ方はさっきの女性を参考にしなさい。
こうして私は、スーパーのガードマンになった。放課後の1、2時間毎日足を運んだ。客を見続けているうちに分かるようになった。誰が万引きするかが。店長の言うよう危ない該当者には、声を掛けず携帯で連絡した。すると店長は、警備会社に通報して対処していた。二週間ほど経過したある日、とうとう見つけた。小学生かもしれない可愛い女の子。目付きで分かった。文具売り場で、ピンクのシャーペンを手にすると籠には入れず、ジーンズのポケットに入れ、立ち去ろうとした。「ねぇ、シャーペンどうするの」「えっ」「ちょっとこっちに来て」女の子の心は手にとるように分かる。私は、ほっとした。後は、認めさせて、私は、許してもらえる。可愛いガードマンさん頑張ってね。心でつぶやいた。
声をかけてきたのは、40代と思われる女性だった。買い物客でないのは、すぐに分かった。しかし、警察・警備会社関係でもないようだ。少々くたびれたスーツを着ていた。紺系の制服ではなかったし、買い物籠でなく、手には、手帳と携帯。「じゃ、こっちに来てくれるかな?」どうしよう。見られていたんだ。この人誰?今までこんなことしたことなかったのに。狼狽すると思考のスピードが速くなるのを感じた。女性に連れられてきたのは、従業員控え室だった。大きめなデスクに中年の男が座って伝票を繰っていた。「店長、この娘」と女性が声をかけた。店長と呼ばれた男が顔を上げ、鋭い眼光を私に向け「うん、この娘が?」「はい、ねえあなたポケットの中のもの見せて」
母親に夕食の支度を頼まれスーパーに入った。全て任されるっていうのは、ある意味大変だ。ふーっとため息をついて店内を歩いていると、足元にピンクのシュシュが。派手ではないが淡いピンクの布にレースが品良く飾り付けてある。目を上げると、同じようなものが棚に並んでいる。350円。そうか、落ちたんだ。私は、良識のある高校生、そっと手に取り、棚へ・・・。手にしたものと棚のを比べるとどう見ても手にしたものが良く見える。色合いといい、全体の感じも。ふと、それで髪を束ねた自分を想像する。これ、私に絶対似合う。買う?でも落ちてたんだよ。誰かに踏まれたかもしれないし、売り物にはならないよ。だったら・・・、周囲を見回す私。私ってこんなことしちゃうの?そっとスカートのポケットに手にしたものを入れ、その場を立ち去ろうとした時、「ねぇ、お姉さん!」