introduction
旧研究所跡は久しく喧騒に包まれていた。
かつての英雄の伝説を求めるレジスタンス。それを追うネオ・アルカディアの兵士。
ネオ・アルカディア側の投入したメカニロイド「ゴーレム」の圧倒的な戦闘力を前に、レジスタンスはなす術なくその数を減らしてゆく。
レプリロイドのボディから流れ出るオイルが地を染める戦線の先、レジスタンスの若きリーダー「シエル」は眠りについた伝説の英雄「ゼロ」を発見したのだった。
発売元:カプコン
開発:インティ・クリエイツ
発売日:2002年4月26日
ハイスピードアクションゲームの名作、
「ロックマンゼロ」
についてストーリー・キャラクター・ゲーム性の観点から考察します
※ストーリーの重大なネタバレに触れる箇所があります。あらかじめご了承ください。また、「ゼロシリーズ」の設定・世界観を根拠にした記事になっております。
story
青き英雄エックスにより築かれた人間とレプリロイド(※1)の理想郷「ネオ・アルカディア」。永きに渡る混迷の時代を経て、その在り方は歪んでいった。
(※1 ロックマンXシリーズに登場する高度なAIを搭載したロボットの総称)
政府はレプリロイドのイレギュラー化(※2)を過剰なまでに恐れ、無実のレプリロイド達を次々と手にかけていった。
(※2 電子頭脳に支障をきたしたレプリロイドやメカニロイドが、人間やほかのレプリロイドに危害を加えるようになる現象)
若き天才科学者、シエルはこれに反旗を翻し、生き残りのレプリロイドと共にレジスタンスを結成。
だが、練度の低いレジスタンスは少しずつ、しかし確実に追い込まれてゆくのだった…
と、ここから記事冒頭のintroductionへ繋がるわけですね。
シエルを救出したゼロは、その後彼女の率いるレジスタンスの一員として活動していきます。
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注目したいポイントは主人公であるゼロがレジスタンスへ与する所です。
ロックマンといえば、暴走したロボットを止め、悪の科学者であるDr.ワイリーを懲らしめる… といった勧善懲悪めいたストーリーが有名ですが、後のXシリーズではシリアスなタッチへ挑戦し、このゼロシリーズではその味を更に深めています。
先述したような事情があるにせよ、ロックマンシリーズの主人公がレジスタンスとしてテロや略奪のミッションを下され、それを遂行するというのはプレイヤーに大きなインパクトを与えました。
既存のロックマンのイメージを崩しかねない型破りな印象のゼロ。しかし、そんな彼に惚れ込むプレイヤーは数多く、そこには彼の信念や在り方が大きく関わってきます。
character
赤いボディに長い金髪。中性的でどこかたおやかなルックスながら高い戦闘能力を有し、その在り方はクールなゼロ。
このギャップが既にカッコいいですよね!
オープニングミッションで覚醒したゼロはシエルの「助けて」という願いに無言でミラン(※3)の銃を取り、パンテオン(※4)を殲滅することで応えます。
(※3…レジスタンスのメンバー。オープニングでパンテオンの凶弾を受け、死亡している。)
(※4…ネオ・アルカディアの量産型レプリロイド。エックスの劣化コピーにあたる。)
寡黙で感情を感じさせないゼロからはその真意を汲むことは難しいですが、かつて肩を並べ共に戦ったエックス(※5)が無実のレプリロイドを処分していると聞いた時は記憶が曖昧ながらも思案する素振りを見せています。
(※5 ロックマンX シリーズの主人公。ゼロシリーズではネオ・アルカディアを建立後に失踪しているが…?)
しかし、その後はレジスタンスとしてシエルたちに協力し、ミッションに赴く姿には迷いや記憶が曖昧な事に対する葛藤は感じられず、作中終盤で語られる現在悪政を敷いているエックスはシエルの創り出したコピーであるという事実も冷静に受け止め、それどころか無罪のレプリロイドが処分さる状況を生んでしまった罪悪感を感じていたシエルを気遣う言葉すらかけています。
コピーエックスとの戦闘においても、コピーであるとはいえ、かつての戦友の姿をとるものと躊躇い無く刃を交え、これを討ち破ります。
"己が定めたことは曲げず、善悪においても自分の在り方に拘らない"
救世主ではなく英雄。
時に他人の迷いすら断つ一振りの刃のような生き様。それがゼロの魅力ではないでしょうか。
作中ラストシーンでの独白
「オレは、悩まない 目の前に 敵が現れたなら… 叩き斬る までだ!」
この言葉が彼の信念を的確に表しています。
game
ゲームとしての本作は、
「即死トラップのオンパレード」
「最初のミッションのボスが強すぎる」
「ミスが多いとリザルトの称号が辛辣になる(ウスノロ、テツクズ等)」
など、様々な意味で話題を生んだゲームという印象が先走りしがちですが、「ハイスピードアクションゲーム」としての高い完成度を誇る所に焦点を当てていきます。
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これまでの「ロックマン」シリーズはバスターを主体とした遠隔攻撃がメインでしたが…
「ゼロ」シリーズでは、ゼットセイバーを使った近接攻撃が可能です。
(ちなみにボスにセイバーでトドメを刺すとボスを両断し、断面図を拝める)
また、「しゃがむ」アクションが存在せず、
"敵の銃弾を前傾姿勢のダッシュでくぐりつつ接近し、セイバーで叩き斬る"
など攻めのプレイングが肝要になっています。
セイバーでの攻撃は敵に接近するぶんバスターに比べ被弾のリスクが高いですが、一撃必殺級の高い攻撃力による大きなリターンがあります。
動きが洗練されてくると立ち止まることなく先に進み、辻斬りのように敵をバタバタと切り伏せることができるようになり…
"短い交差の間に正確な操作を要する質の高い駆け引きが存在し、それがテンポよく連続する"のです。
ヒリつくような緊張感を超えた先にある爽快でカッコいいアクションと、それを自分のモノにしていく感覚。
"前に進む事が楽しく、上達していく自分のプレイングがゼロを介してカッコよく出力される"
これが、このゲームの最大の魅力ではないでしょうか。
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次回の投稿は5月11日を予定しています。
タイトルは未定。決定次第追記します。




