逢坂の関の清水に影見えて
今や引くらん望月の駒
―紀貫之
一昨日、
【分杭峠】を後にした由美ママらキリンズは、
旧中山道『望月宿』の近くに位置し、
春日温泉へ向かう山間の
自然豊かな田園に佇む“蕎麦処”【職人館】へと
出かけました
“農家レストラン”の走りでもある【職人館】は20年の歴史を誇ります・・・
さて、江戸から25番目の宿場でもあるこの【望月宿】は、
平安時代、朝廷に馬を献上した全国32牧の内、
信濃の国16牧の筆頭に数えられていました。
そしてこの地に於いて、
毎年旧歴の8月15日の夜に
「駒牽(こまひき)の儀」が行なわれたことから、
“望月(=満月)”の地名が生まれたとされてますが、
【望月宿】の道周辺には、
道祖神ほか庚申塔、馬頭観音、大日如来・・・など
様々な石仏が見受けられ、
特に道祖神は140体もあるといわれています。
そんな歴史と道祖神に見守れた【職人館】では、
古さを生かしたシックで落ち着いた雰囲気の中で、
“手打ち蕎麦”を中心とした山里の郷土料理が食べられます
2階からの景色
この【職人館】の“手打ち蕎麦”は、
付近の高原で栽培された地粉100%を使った
石臼挽きの“十割蕎麦”で、
辛仕立てのつゆは、
地元産丸大豆を使った醤油と鰹節風味の
こだわりの味です
↓↓↓
また、郷土料理に饗される食材は、
全て無農薬・有機栽培で栽培された旬のものばかりという
徹底したこだわりぶりです
↓↓↓
豆と自然野菜のスープ
ところで、【職人館】の館主・北沢正和氏は
安定収入のある役場の職を投げ打って、
そば料理職人となった“脱サラ組”ですが、
自分の体験に基づいた料理の根本とは・・・
健康は食べ物によって作り出される「食養(しょくよう)」
という信念に他ならず、
この「食養」のための食材は、
「身土不二」
「一物全体食」
「不飽常食」の三つに集約されますが、
先ず、この三つのうちの「身土不二」とは、
人間も含めて地球上の生物は、
土から育った植物を食べて生きているから、
「食養」のためには、良い土壌に育った食材が必要である・・・
という意味です。
次に「一物全体食」とは、
一つの生命がまるごと入っているものの
全体を食べるのが健康のためには良い・・・という意味で、
たとえば穀物や蕎麦のように土の中に種を蒔けば、
新しい生命となってものが良いと云う事です。
そして「不飽常食」とは、
米などのように毎日食べても飽きない食材・・・という意味だそうです・・・
キャアッサバ芋(芋の原種)だけ食べさせた豚
そんな【職人館】の名の由来は・・・
↓↓↓
上田市塩田にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」の
館長窪島誠一郎氏が名付けの親だそうですが、
窪島氏の薦めもあって、
詩人の谷川俊太郎氏との対談の記録が
ふきのとう書房などから
「職人館調理場談義シリーズ」として発刊されています
http://www.dynax.co.jp/sinsen/soba/so_shokuninkan.htm
こんなに蕎麦がうまい
浅間のふもとにいる
―種田山頭火
自宅農園で育てた食材で、
あり合わせの料理を作り、
絶妙な味に生まれ変わる・・・・
平安時代の歌人・紀貫之が想いを馳せた【望月】の地の
のどかな田園と自然の恵みに感謝し感動したひとときでした・・
蕎麦処【職人館(しょくにんかん)】
長野家県佐久市春日3250-3
0267-52-2010
営業:11:30-15:00(夜は予約のみ)
水・木曜日定休