やどりせし 人のかたみか 藤袴 わすられがたき 香ににほいつつ
―紀貫之「古今和歌集」
暦では“蟋蟀戸にあり”「寒露」末候となり、野山の木々はだんだんと色付きはじめて
“紅葉”の準備に入る頃となりましたが、さわやかな“秋日和”の朝はいかがお過ごしですか?
掲歌の“藤袴(ふぢばかま)”とは、古くは万葉集に詠まれた秋の七草の一つで、
「源氏物語」にも登場するキク科の植物ですが、この藤色がかった白い花は、
平安時代より河原や野辺に咲く可憐な“山野草”として親しまれてきました。
ただ、茎の先に紫色の小さな花が群がって咲く多年草の“藤袴”は、近年、環境の変化で減少し、
京都府のレッドデータブックでも絶滅危惧種に選定され、
現在、京都では僅かに残っているこの花の原種を増やそうと
「守ろう!藤袴プロジェクト」といった活動も行われています。http://www.kbskyoto.co.jp/contents/fujibakama/01_fujibakama.htm
この「守ろう!藤袴プロジェクト」とは、2007年、「源氏物語千年紀」をきっかけに、
KBS京都が立ち上げた活動ですが、1998年に京都市西京区大原野の古池の堤防で発見された
“藤袴の野生種”を元に、「乙訓の自然を守る会」の藤井 肇氏へ受け継がれた後、
大原野神社の境内と長岡京市・光明寺近くの畑で、約200株の原種が大切に守られていました。
そして、このグリーンアドバイザーでもある藤井氏の協力を得て、大切に育成された“藤袴”は・・・
2008年度は3000株、600鉢に育ち、2009年度も、約500鉢を育て、京の街に飾られるとともに、
今月は、京都市下京区の梅小路公園内の「朱雀の庭」を会場に、
“藤袴”を中心とした「秋の和の花の展示会」が開催されていましたので、
機会ありましたら、“藤袴”と“和の花々”が、秋の陽射しを受けて咲き競う風雅な景色や、
京の街に飾られた平安情緒溢れる優雅なこの花をご覧になられてはいかがですか?
由美ママ贔屓の“ふぐ屋さん”に『北新地 ふじ田』があります。
『北新地 ふじ田』にも“ふぐ”の旬の季節が始まりました・・・
“ふじ田名ぶつ”のふぐの“ブツ”!と“ふぐ刺し”
由美ママ好物の“ふぐ唐揚げ”と鰭酒
“ふぐ白子焼”は季節限定! “白子焼ミックス”も美味!!!
夫婦で営む家庭的な“ふぐ屋さん”『北新地 ふじ田』は、毎夜常連客で賑わっていますから、是非、ご予約のうえお出かけ下さい。
*『北新地 ふじ田』 tel 06-4799-1287
大阪府大阪市北区曽根崎新地1-11-7 1F
ところで、古典での“藤袴”の花は、掲歌の如く「我が家に泊まっていった人の残した形見か、藤袴よ。
忘れがたい香にしきりに匂って・・」と平安時代には、乾燥させた“藤袴”は香料としても用いられ、
往時の女性達は“乾燥藤袴”を香袋に入れ、十二単に忍ばせていたようで、
それゆえ「藤袴 わすられがたき 香ににほいつつ・・」と詠われたことでしょうから、
今宵、由美ママも“藤袴”に似た香を袂に入れて、“わすられがたき香”となれるように洒落てみたく
思っておりますので、どうかこんな素晴らしい季節は、紫式部が愛した可憐な野草“藤袴”に想いを馳せ、
古からの豊かな自然と歴史に育まれた日本文化の大切さを見直せるようなそんなひとときをお過ごし下さい。
そして、まもなく秋の見事な“彩り”が愉しめる秋もこれからが本番ですから、今日は“わすられがたき香”と“秋の彩り”を愉しめるようなよき一日をお迎えあれ・・・