日曜日に佐賀県唐津市に行ってきました。
博多から車で1時間余り、今は高速が途中までついているので、昔に比べて随分と便利になったそうです。
虹の松原という5km100万本に渡る防風林を抜け、唐津城を過ぎたあたりの、海際の料理旅館で魚料理を頂いてきました。
この辺りは大変歴史のあるところで、背面にある鏡山は松浦佐用姫伝説でも名高く、万葉集にもその悲話を題材にして7首もの歌が収められているそうです。
遠つびと 松浦佐用姫 夫恋に
ひれ
領巾振りしより 負へる山の名
これはその中でも有名な山上憶良の歌で、このことからこの山は領巾振山(ひれふりやま)とも呼ばれているそうです。
海岸線をずっと辿って行った先に呼子というところがありますが、ここで採れるイカ料理は有名です。
またその近くに秀吉の時代に朝鮮征伐の拠点となった、名護屋があり大変立派な城が築かれていたそうです。
今は廃城となりその跡しか残っていませんが、当時最盛期10万人もの人が生活していたとのことでした。
キモノ業界でも俗説として、この辺りに一段遊郭があり、そこの女性が考えた締めやすい帯が、今の名古屋帯だというのですが、それは真っ赤なウソです。
この名護屋に、朝鮮半島から陶工がわたり、それが現在の唐津、伊万里、有田の焼き物の起こりとなったというのが定説です。
ただ唐津焼はもっとそれ以前からあったという説もあるそうです。
伊万里、有田は磁器ですが、唐津は陶器で、全く味が違います。
(ちなみに陶器と磁器の違いはその使う土と焼成温度の違いです)
唐津焼には多種多様な技法があり、焼き物店で色々と見せてもらいましたはなかなかに興味が尽きないものです。
ただその店のある商店街は、駅からすぐのところですが、ご多分に漏れず閉まっているところも多く活気がありません。
郊外のバイパス沿いに、大きなスーパーができて、外食チェーン店なども軒を並べ、全国の地方都市共通の様相を示しています。
11月には「唐津くんち」という秋祭りもあり賑わうそうですが、焼き物と歴史の故郷としてもっと多くの人が訪れるような仕掛けが欲しいものだと思った次第です。
全国各地に、その歴史が紡いだ、特徴的な文化が数多く山ほどあるこの国はどこを訪れても興味が尽きません。
引退したらそういうところをくまなく行ってみたいと思うこのごろです。
霞が関の連中も地方を旅してこうした伝統文化に触れれば、少しは考えも変わると思いますがとりあえず今のように教養がなくては、この国の良さは一生分からないことでしょうな。