黒か紺ばかり | 銀座きものギャラリー泰三

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一度は袖を通したい着物がここにあります。きもの創作工房 (株)染の聚楽

東京には山ほどサラリーマンがいますが、着ているスーツと言えば、黒か、紺か、グレーの、柄があってもストライプばかり。


ダブルのスーツなどまず着ている者はいません。


特に金融関係に顕著で、ほとんど同じような姿ばかりです。


金融関係にそういう服飾規定があるのかと聞いたら特にないそうです。


欧州に行くと、みんなもっとカラフルだったり、デザインでもバリエーションがあります。


そういうスーツしか着ないから、デパートのスーツ売り場でも、そういうものしか置きません。


明るい色の物やおしゃれなデザインの物は誂えないと無いということです。

ジャケットならあるのですが、スーツにはありません。


何時のころからこんなふうになったのでしょうかね。


私の若い頃は、ブラウンやグリーンなどの物も、ピークラペルのダブルスーツもありました。


今のように画一的では、洋服の個性は少なくとも会社で演出するのは難しいですね。


会社はそうした個性を求めないのですか。金太郎飴的、マニュアル的な人材教育では、

個性が埋没されてしまいそうですし、現にそうだと思います。


この間から東京でも大阪でも、次々と大きなテナントビルが建ちあがっていますが、中に色々な店が山ほど入って、まあ個性的な店も中にはありますが、どのビルも大体同じです。


最初はみんなもの珍しげに見にいきますが、そのうち足が遠のきます。


そんなことの繰り返しで、同じようなビルが乱立し、テナントの取り合いで、あちらにもこちらにも同じような店ばかりが並んでいます。


我々年を取るとこういうビルに何の魅力も覚えません。もっと個性ある店を覗きたいのです。しかし銀座でもだんだんそういうところも少なくなり、松坂屋閉店のあと、大きなビルができるので閉口します。


大都市がどこもかも同じようになって、同じようなビルが出来て、結局そこに出店しなければ周りの店が立ち行かなくなったりで、商店街が益々寂れていきます。

益々大都市に若者が流れ、地方は過疎化高齢化の一途という流れが止まりません。


人も、街もますます個性がなくなって、その街の臭いがありません。


東京の江戸文化もますます希薄となり江戸っ子もいなくなりました。


それに比べると京都は、モノづくりをしている人が多いので、気骨、プライドがありますし、いわゆる京都人気質は色濃く残っていますし、個性はあります。


街が均一化するごとに、その土地の文化も薄れ崩壊し、結局何でもありの個性無き街になり果てます。


でもそれは人間が個性がなくなっているからで、その結果です。


日本全体を見ても、これから本当に必要な人材は、日本を語れる教養ある個性的な若者です。


日本の世界での相対的な地位が益々落ちて行くのは規制緩和が進まないからだとか、政治家や学者や評論家が言いますが、情けない物の見方だといつも嘆きます。


経済とか、金の話ばかりでものを図るのはその男に教養が無いからです。
もっと日本文化を強く打ち出すことで人は世界からくるでしょう。


異文化を持つ人たちをこれから受け入れて行くのかどうかということも、日本の未来を占いますが、そうしなければならないのなら、他国の文化を理解しなければなりません。


日本のグローバル化というのは、日本をよく知り世界をよく知る人材がいなければ、形だけ変えても、アメリカの良いようにされるだけだということは自明の理です。


同じようなことを何度でも言いますが、教養あり個性ある人をいかにして育てていくかに、この国の未来はかかっていますね。