口腔内写真を撮るのを忘れてしまったので
とりあえずは レントゲン写真を…
上顎前歯から小臼歯に向かって
ニョロニョロと白いものが映っていますが
これは部分義歯骨格となっている金属です
左右の残存している犬歯・第一小臼歯・第二小臼歯
に手を掛けている前歯部4本分の入れ歯です
中程度以上の歯周病(歯槽膿漏)の患者には
一時的(1ヶ月程度まで)に使うのでしたらまだしも
永久補綴として部分義歯を使うのは賢明ではありません
私だったらブリッジを採用します
その理由をお話ししましょう
歯槽膿漏というのは歯根周囲の歯槽骨が
経時的に溶けて来る疾患ですから
現時点で骨破壊が少ない状況であっても
将来的には破壊が進んで行きます
すると歯牙は少しづつ動揺を来たしてきます
が 複数本の動揺している歯牙を繋ぐことによって
見かけ上歯の動揺はかなり抑えられるようになります
しかし各々の歯を単独のまま存在させておくと
いや これにとどまらず
部分義歯の鉤歯(こうし)…義歯を引っかける歯…
にしてしまうと 義歯自体の上下左右にかかる力が
ストレートに鉤歯に掛かって来るので
鉤歯の寿命を早めることに繋がってしまいます
右上6番(6歳臼歯)と5番との間の骨が
かなり無くなっているのが確認出来るでしょう
6番の歯根周囲の骨破壊が進んでいるので
これを抜歯しておかないと
5番・6番共倒れにもなりかねませんが
精査すると6番の頬側近心(前側)の
歯根周囲での限局的な骨破壊なので
(3根のうち)この1根を除去することで
6歳臼歯(の2根)は使えます
上顎に比べ 下顎は随分とマシな状態ですが
左右のブリッジの土台となっている歯の歯根周囲に
細い黒い帯が見えます(歯根膜腔の拡大という)
これは負担過重です
ブリッジは欠損している部分に掛かる力を
土台となっている歯が負担しなればいけないので
土台となる歯を増やさないといけないこともあります