「ご主人はお元気なんですか?」

「はい おかげさまで…」

「おいくつですか?」

「81(歳)になります」

「じゃあ やはり悠々自適で?」

「いえいえ やはり年金生活ですからぁ…

日々の生活に追われてますよぉ」

 

右上7番~左上6番:ブリッジ

右下7番~左下7番:インプラント併用ブリッジ

ということになると 

私どもの治療費で350万ほどになりますが

そんな金額を請求するつもりは 

端(はな)からありませんでした

歯科治療をして何不自由なく食べられるようになれば

たとえ粗末な食事であっても美味しく食べられます

生きている限り 『食』は楽しみの一つであり

年老いて来れば猶更のことです

83歳になっても働かざるを得ないという老婆に

もう一度 ”しっかりと噛める” 喜びを感じて欲しい

しかし 歯の治療をしたら生活が立ち行かなくなった

ということがあってはならない…

 

「あのね 〇川さん 治療費のことなんですが 

お宅に帰って ご主人と相談なさって下さい

ぼくの方は 無理のない程度頂けたら と思います」

「いえ 先生 そんなわけには…」

「いや そんなわけに行っちゃいますからご心配なく

とりあえずね 今日は カタつく上の入れ歯を外して

残ってる歯を繋いじゃいましょう」

 

ということで 

金属の被せ物を外し 仮歯を作りました