銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です

今回はNKT細胞療法について

NKT（エヌケーティ）細胞というのを初めて聞いた人も多いと思います

その理由として、リンパ球の中の0.1％と非常に少なく、培養も難しく行っている施設が少ないというのがあります

めちゃくちゃ少ないです

現在行われているNKT細胞療法は、主に理化学研究所のベンチャーで開発され培養されています

理化学研究所と言えば、iPS細胞などで有名なところですね

NKT細胞療法は理研ベンチャー以外で、大学病院などで行われていますが、自由診療で行われるNKT細胞療法は100％理研ベンチャーのものです

理化学研究所が独占状態ということです

ちなみに、利権ベンチャー、もとい、理研ベンチャーが開発したNKT細胞療法はNKT細胞標的治療と呼ばれ、RIKKNTという商標が付いています

（2022年4月よりRIKEN-NKTに名称変更）

研究会まで発足していましたね…

理研発メディカル企業、理研免疫再生医学、「日本NKT細胞標的治療研究会」発足を支援株式会社理研免疫再生医学のプレスリリース（2022年4月5日 10時52分）理研発メディカル企業、理研免疫再生医学、[日本NKT細胞標的治療研究会]発足を支援

prtimes.jp

ところで、NKT細胞のN・K・Tってどこかで見たことありませんか？

このブログを読んでいる人ならおそらくピンとくると思います

そう、答えはNK（ナチュラルキラー）細胞とT細胞です

NKT細胞は

ナチュラルキラーT細胞

と呼ばれ、

NK細胞のように抗原を必要とせず単体で異物を攻撃できるT細胞です

（キラーT細胞は抗原がないと攻撃できない）

また、直接がんを攻撃するだけでなく、NK細胞やキラーT細胞を活性化させるアジュバントという働きも持っています

NKT細胞標的治療は

2011年　肺がん

2013年　頭頚部がん

2014年　肺がん術後の再発予防

に対して先進医療Bとなりましたが、有効な結果が得られなかったため、現在は全て停止となっています

（肺がん術後の再発予防に関しては、2021年12月で停止となっています）

自由診療クリニックが行っているNKT細胞の宣伝を見てみると

”先進医療にも選ばれている治療”

とありますが、それはもう使えないことになりますね

あと、よくこの図もよく使われます

これは、抗がん剤治療が終了し、ベストサポーティブケア（緩和ケア）となった肺がん患者に対してNKT細胞療法を行ったところ

4.6か月の余命が18.6か月に延びたという千葉大学の臨床試験データです

中でも、INF-γというサイトカインが多い場合、31.9か月まで延びたそうです

このセンセーショナルな結果を持って、NKT細胞療法はめちゃすごいってなって、先進医療に認定された訳です

先進医療の仕組みとして、

先進医療で良い結果を残す

　↓

最終的な第3相試験を行う

　↓

保険適応になる

という流れがあります

こんなにすごい治療法なら、今ごろ保険適応で標準治療になってもおかしくないって思いませんか？

そして、新しい治療に飛びつく自由診療界でももっと広まっていると思いませんか？

でも、そうなっていないんです

なぜでしょうか？

続きは次回に

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NKT細胞療法① ～自由診療で行われるがん免疫療法～

NKT細胞療法①　～自由診療で行われるがん免疫療法～