銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です
こちらの続きで、こんな質問も
なんと欲張りな(笑)
まず、ロイコトリエン受容体拮抗薬について
アレルギーを引き起こす物質として有名なものにヒスタミンがあります
実はアレルギーを引き起こす物質は他にもあって、その一つがロイコトリエンです
ロイコトリエンは、気管支を収縮させて気管支喘息を起こしたり、鼻の粘膜を腫れさせてアレルギー性鼻炎を起こしたりします
なので、ロイコトリエン(受容体)拮抗薬は、気管支喘息とアレルギー性鼻炎の薬として用いられています
具体的な商品名は
・オノン
・プランルカスト
・キプレス
・シングレア
・モンテルカスト
などです
このロイコトリエンによって起こるアレルギー反応が、がんの発症や進行に関わっている可能性があると考えられています
台湾の研究で、喘息の患者さんでロイコトリエン拮抗薬を使っている人の方が、使っていない人と比べて、がんの発症率に圧倒的に低いという報告があり、注目されました
日本からもがん組織にロイコトリエン受容体が多数存在するという報告があり、ロイコトリエン受容体とがんの関係は明らかなようです
動物実験では、食道がん、胃がん、大腸がん、膵臓がん、胆管がん、肝臓がん、乳がん、子宮頸がん、卵巣がんなどで、ロイコトリエン拮抗薬が有効というデータがありました
もっとデータが集まれば、ヒトでのがん予防としてロイコトリエン拮抗薬の作用が明確になるかもしれません
ちなみに、膵臓がんでも動物実験がありました
(小さいですが、一番下の赤線のところ)
同じような感じで、消炎鎮痛薬が大腸がんの予防になることが分かっています
1970年代から長期にわたってアスピリンなどの消炎鎮痛薬を服用している患者で、大腸がんの罹患率や死亡率が有意に低いことが報告されていました
日本でも、2014年に国立がんセンターが、アスピリンに大腸がんの元となる大腸ポリープの再発を40%減らすという報告がありました
現在、家族性大腸腺腫症と呼ばれる大腸ポリープがたくさんできる遺伝性の病気に対して、先進医療Bでアスピリンの臨床試験が行われています
2000年代に入り、今度は別の消炎鎮痛薬であるセレコックスも大腸がん予防になると話題になりました
セレコックスはCox2(コックスツー)と呼ばれる受容体をブロックする薬剤で、Cox2阻害薬と言われます
大腸がんに至るすべての段階で、Cox2が関わっていることが分かります
Cox2阻害薬による抗腫瘍効果として
①腫瘍細胞の増殖抑制
②アポトーシスの誘導
③血管新生の抑制
④腫瘍免疫反応の活性化
⑤浸潤・転移抑制
以上が考えられています
また、Cox2阻害薬であるセレコックスは、抗がん剤の効果を増強する作用がある可能性があります
大腸がん術後の抗がん剤と併用した臨床試験では、FOLFOXとの併用では有意差が出ませんでした
セレコックス併用の方が若干生存率が高いですが、統計学的には有意差は無いようです
ただ、Cox2が多く発現している肺がんでは有意差が見られました
大腸がんでもCox2の発現具合では、差が出るのかもしれません
とりあえず、大腸ポリープではアスピリン(低用量)とセレコックスが発症予防になることは確実です
ロイコトリエン受容体拮抗薬の話だったのに、脱線してしまった…まあいっか
今日挙げたものは薬ですから、当然副作用もあります
がん予防のためには長期間の使用が必要になるので、副作用との兼ね合いを考えなければなりません
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