銀座みやこクリニック院長の濱元誠栄です。
食道がんの化学療法は
長年選択肢が少なかったのですが
免疫チェックポイント阻害薬が登場し
ここ数年で大きく変化しました
ステージ4などで切除不能な食道がんの
一次治療は、2000年以前から
CF療法(シスプラチン+5-FU)
*FP療法と表現することもあります
が行われてきました
二次治療や術前化学療法などで
2004年 ドセタキセル
2011年 パクリタキセル
などが承認されましたが
一次治療はCF療法のままでした
EGFRやPI3K遺伝子に対する
分子標的薬も試みられましたが
すべて失敗に終わっています
20年以上もの間、どんな薬剤も
一次治療の壁を破れなかったのに
こいつがやってくれました
キイトルーダ
2021年11月に
PD-L1陽性という条件が付きますが
一次治療にこちらが加わりました
CF+キイトルーダ療法
2022年5月には
オプジーボも
一次治療に加わりました
・オプジーボ+CF療法
・オプジーボ+ヤーボイ療法
が従来のCF療法を上回ったとして
承認されました
これで、2022年8月現在
食道がんステージ4の一次治療は
・CF療法
・CF+キイトルーダ療法
・CF+オプジーボ療法
・オプジーボ+ヤーボイ療法
と一気に幅が広がりました
また現在、一次治療で
DCF療法(ドセタキセル+CF)の
臨床試験が行われており
将来的にこちらも加わるかもしれません
あと、新薬開発が激しい中国から
中国が開発した抗PD-1抗体薬
シンチリマブが
化学療法との併用で生存期間を延長した
という報告がありました
これまでも
中国でのみ臨床試験が行われた
中国製薬剤は世界で流通しない
という法則があるので
この新薬が日本で使われる日は…
来ないと思います
次は、二次治療について
決め手になるような薬剤は無く
・ドセタキセル(2004年承認)
・パクリタキセル(2011年承認)
が一応使われていたという
かなり寂しい感じでしたが
2020年にオプジーボ
が承認されました
無増悪生存期間の中央値は
化学療法に劣るのですが
生存期間では延長していました
これはどういうことかというと
化学療法より奏効率は悪いけど
効く人は長く効くということです
日本人に限定した臨床試験でも
オプジーボが生存期間を延長しました
オプジーボと同じ抗PD-1抗体薬
チスレリズマズ も
二次治療で生存期間を延長しました
新薬が長期間出なかった食道がんで
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が
治療法を大きく変えました
抗がん剤や分子標的薬もしばらくは
登場しそうにないので
ICIをいかに使っていくかが
今後の課題となりそうです
一次治療でどのICIを使えばよいか?
一次治療でICIを使った場合に
二次治療でも有効なのか?
など、ICIの使い方に関しては
まだ定まっていないことだらけなので
どのようなガイドラインになるのか
今後に注目です
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