前回の続きです。

 

保険診療医は、補完代替医療(特に自由診療)に対して

悪い印象を抱いていることが多いです。

 

現在はだいぶ少なくなってきましたが、以前は

標準治療に対してネガティブな情報を発信し、

患者さんもしくは消費者に対して不安を煽り

そして自らの補完代替医療に誘導する

ということが多くみられました。

 

抗がん剤は毒だ

副作用で命を縮める

製薬会社からお金をもらって抗がん剤を勧めている

WHOで抗がん剤は禁止されている

アメリカでは抗がん剤は使われない

といったような感じです。

 

確かに抗がん剤の副作用で命を縮める人もいますが、

利益の方が大きいから使われているのです。

 

お金をもらっている医師もいない訳ではないですが、

普通の保険診療医は全くもらっていません。

 

WHOでは~とかアメリカでは~という話は、

基本的に嘘です。

禁止されていもいなし、普通に世界中で使われています。

 

 

また、がんの状態が悪くなった時に

悪くなる人は珍しい、はじめてだ

うちでは見きれない

と言って突き放されることもあります。

 

そういったことが重なり、

補完代替医療へのイメージが悪くなっていきました。

 

 

また、

遺伝子治療や免疫治療を行う自由診療の中には

がん患者さんをまったく診たことがない医師

というのが一定数(半数近く?)存在します。

 

なぜ、そんな医師ががん治療に?

と言われても、それぞれ事情があるのでしょう。

としか言えません…

 

 

がん治療について何冊も本を出しているような医師でも

同じようなことがあります。

 

ある末期がんの患者さんが、私のところに相談にきました。

 

酵素と温熱でがんを治すという本を書いている

医師のクリニックに通っていたけど、

初診時以外は顔を見せることもなかった。

 

手遅れになった時に、やっと面談できたら

「あなたは過去に放射線治療をしているからダメなんだ」

と言われて患者さんは途方に暮れ、

 

今度は家族を連れて再度面談し、家族が尋ねてみると、

驚くほどそのがんについて知識がなかったとのこと。

 

このような話は、残念ながら結構耳にします。

 

 

一部の補完代替医療で痛い目に合った患者さんは

最後は保険診療に頼らざるを得ません。

 

その後を引継ぎ診療を行った保険診療医は、

ますます補完代替医療、自由診療に対して、

悪いイメージを持つようになっていきます。

 

補完代替医、療自由診療でいくらまともにやっていても、

マイナスイメージのママ一緒くたにされることが多く、

理解が得られることは少ないのです…

 

 

私のところでも

(自由診療の医者に言っても通じないと思って)

端からマトモに相手する気がないでしょ?

という紹介状をもらうときがあります。

 

そんな時に、

病理結果や遺伝子解析の結果、抗がん剤の量など、

転院の際に”普通に”書くような紹介状を求めると、

だいたい驚かれます。

 

自由診療のくせになんでこんなこと知っているんだ?

という感じでしょうか…

 

 

 

次回は、保険診療のデメリットについて。