2回にわたって、がん先進医療特約について書いてきました。
1回目はがん免疫療法について
→免疫療法で先進医療特約を使うことはない
2回目は粒子線(陽子線+重粒子線)治療について
→粒子線治療を行う確率は限りなく低いこと、
かつX線治療でも治療成績はほとんど変わらない
以上を考えると、がん先進医療特約って必要なの?と本気で思ってしまいます。
ただ、先進医療特約のほとんどが月々50~100円程度なので、
万が一利用することがあるかもしれないから、それくらいの料金ならつけておく
というのも一つの考え方だと思います。
問題は、保険会社です。
保険会社のHPを見てみると、先進医療特約について良いことばかりが書いてあり、
現在使用できなくなった先進医療が多数あること
先進医療を受けられる確率はかなり低いこと
を一切アナウンスしていません。
そして、先進医療特約が客寄せパンダのような役割、つまり
月々100円で、300万円の先進的な医療が受けられるお得な特約を、
うちの保険は付けますよ
という感じになってしまっています。
本来は、上記をきちんとアナウンスしたうえで、契約すべきだと思うのですが…
もう一つ、先進医療は何もがん治療に限ったものではありません、
目の治療やその他の病気の治療にも適応となります。
先進医療の落とし穴として、忘れてはならないのが
がん保険に付随している先進医療特約では、
がん以外の先進医療は適応とならない
という事実です。
ちなみに
利用された先進医療のトップ10をみてみると、
1位(45%)多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術 58万円
2位(36%)緑内障などの前眼部画像解析 3千円台
3位(7%)重粒子線治療 315万円
4位(5%)陽子線治療 276万円
以下、1%以下
5位 歯周病治療におけるバイオ・リジェネレーション 6万円台
6位 EBウイルス感染症診断 1万円台
7位 高周波切除気を用いた子宮筋腫核出術 30万円台
8位 腹腔鏡下広汎子宮全的術 70万円台
9位 抗悪性腫瘍治療における薬剤耐性遺伝子検査 3万円台
10位 内視鏡下甲状腺悪性腫瘍手術 20万円台
がんに関連する先進医療特約(青色)は
全体の15%ほどしか利用されていないことになります。
がん保険に付随している先進医療特約だと、
先進医療のうちの85%が利用できないと言い換えることができます。
おまけに、トップ10のうち4つは10万円以下で、2位の画像解析に至っては3千円台です。
先進医療特約を付けて、3千円の先進医療を受ける…
話をまとめます。
先進医療特約を付けても、恩恵を受ける可能性は限りなく低い
がん保険に付随した先進医療特約(がん先進医療特約)だと、
がん以外の他の多くの疾患で使えない
先進医療のトップ10のうち4つは10万円以下の検査・治療である
先進医療は保険適応や脱落などで流動的である
これらを踏まえたうえで、月々100円だからといって(がん)先進医療特約を付けますか?
ということになります。
逆に言うと、
保険会社は月々100円でも元が取れるものを、
万能で非常にお得な特約のように説明して販売している
ということです・・・