前回は免疫細胞療法について書きましたが、

先進医療特約といえば、

粒子線(陽子線or重粒子線)治療

を思い浮かべる方がほとんどだと思います。

 

実際、がん先進医療を受けている患者さんのほとんどが粒子線治療なので、

粒子線治療以外での先進医療特約の利用はないと考えてよいです。

 

 

将来、新たながん先進医療が生まれるかもしれませんが、

適応が結構厳しいため、受けられる患者さんはわずかだと思います。

 

ちなみに、がんになって、粒子線治療を受ける患者さんはどれくらいいるでしょう?

 

2016年度のデータでは、粒子線治療を受けた患者さんは約4000人です。

 

その年度の新規がん患者数が100万人だったので、がんと診断されて粒子線治療を受ける確率は0.4%となります。

 

既存の患者さんも含めれば、その確率はさらに低くなります。

 

 

さらに、

 

小児固形がん 2016年4月~

前立腺がん 2018年4月~

頭頚部がん 2018年4月~

骨軟部腫瘍 2016年4月~(重粒子線) 2018年4月~(陽子線)

 

以上が保険適応となったため、

先進医療特約を利用しなくても済むケースが増えました。

 

また、日本放射線腫瘍学会より、粒子線治療の適応についての勧告がなされており、

どんな症例でも粒子線治療をやってくれるという訳ではありません。

 

先進医療として行われる粒子線治療(陽子線治療,重粒子線治療)の適応症と統一治療方針について

 

 

まとめると

がん患者さんで、先進医療特約を利用して

粒子線治療が受けられる確率は低い

という結論になります。

 

 

それよりも何よりも、

IMRTやサイバーナイフなど、通常のX線を用いた放射線治療もかなり進んでいて、

粒子線治療が優れているということはありません。

 

これまで、粒子線治療がX線治療より有用であると判断されているのは

・脊髄神経付近の骨軟部腫瘍

・限局した頭頚部がん(非扁平上皮がん)

の2つだけです。

それ以外は、

通常のX線照射で十分で、

わざわざ粒子線治療を行う必要がない

というのが現実です。

 

 

あとは、先進医療特約には落とし穴や、

保険会社の様々な目論見があるのですが、そういった話は次回に。