ちかコラムvol.6 | ちか子の綺麗茶屋

ちかコラムvol.6

本日は二十四節気「小雪」



小雪(しょうせつ)とは、雪が降りはじめるころ。まだ、積もるほど降らないことから、小雪といわれたようです。お世話になった方に、感謝の気持ちを贈るお歳暮の準備をする期間でもあります。


ちかコラム vol.
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奇跡のブローチ
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 私の人生には不思議なことがたくさん起こるというお話しをしたことがありました。本当にいろいろなことが起きるのですが、そのうちの1つが「奇跡のブローチ」です。

 澤村宗十郎と初めて出会った19歳のあの日、京都南座の顔見世で「河庄」という演目で遊女小春(こはる)を演じていた宗十郎と、終演後にお食事に出かけた時に「よーじや」さんで買ってもらったブローチこそが、その奇跡のブローチなのですが……

実は、私はせっかくかってもらったブローチを不覚にも落としてしまったのです。せっかく買ってくださった記念のブローチを落としてしまった時の落胆は皆さまのご想像以上で、宗十郎にも再従姉妹(はとこ)にも合わせる顔がないとひたすら嘆くばかり。それはもう残念で、申し訳なくて、ひたすら落ち込みました。
 でも、「これ、あなたが着けていたブローチですよね」と拾ってくださった方が、届けてくださったのです。信じられないですよね。ピアスとかブローチって落としたら2度と出てこないことのほうが多いと思いませんか?

 実は、その後「おっちょこちょいのすっとこどっこ〜い」と、自分を罵(ののし)るばかりですが、せっかく奇跡的に戻ってきた大切なブローチをさらに落としては戻り、落としては道ばたに落ちていて……という出来事が2回。あり得ません! 都合3回繰り返してしまったのです。他に落としたジュエリーやアクセサリーなどで戻ってきたものは残念ながら1つも無いのですが、宗十郎に買ってもらったこのブローチだけは3回も私の手元へ戻ってきました。え? GPSなどもちろんついてませ〜ん(笑)
 不思議な偶然と直感で飛び込んだ歌舞伎界での番頭生活ではありますが、これぞまさしく、澤村宗十郎との縁(えにし)を物語っている「奇跡のブローチ」と、私がひそかに読んでいる、不思議な出来事のひとつなのです。

#和遊粋美人塾 #和粋伝承人