ジェジュンのやつは、腕組みするふりして両手を隠したんだけど、
バレバレでしょ。
今日だって、右手の薬指と小指、左手の人差し指と中指にしてるのよ。
指輪してないジェジュンを見ることの方が珍しいんだからさ。
さすがにバツ悪くなったジェジュンが、私とユノ君からの視線を避けて、
そっぽ向いたわ。
「ジェジュン…」
ユノ君が、ジェジュンを諭すように声をかけたの。
“年上なんだから、弟のためにアドバイスしてあげなきゃダメだよ”って感じでね。
でも…、ジェジュンったら、諦め悪くまだこんな言い訳したわ。
「だって…、
そりゃ、いくつか持ってるけど、
自分で買ったものばかりじゃないし…、
ましてや、200日記念のリングなんてもらったことないし…」
「あ…」
ユノ君、ジェジュンの話で何かに気づいたみたいに小さく声を出したわ。
「200日も続いた男がいなかった」って暴露しまったような発言だったから、
改めてジェジュンの放蕩ぶりに気付いちゃったのかしら。
いや~ん、傷つかないで、ユノ君!
「とにかく、オレが言えるのは、今見ているブランドのリングは、
50万や60万ウォンで買えるようなもんじゃないってこと。
学生なら、ビザールとか、エムズコレクションとか、ライオンハート
クラスので十分なんじゃない。
第一、値段じゃないだろ。好きなやつにもらうんだから。
高い指輪買わせて、バイト増やさせた挙句、
その後はデートする時間が減ったって喧嘩して、結局別れたりしてさ。
不相応なことすると、必ず後でしっぺ返し食うんだよ。
よくドラマでもあるだろ。
玉の輿狙った女が、最後は身を亡ばす…ってストリー。
因果応報…。
…はぁ~、昔の人は、よく言ったもんだな。
確かに、善い行いをすれば、善い結果が得られ、
悪い行いは悪い結果をもたらす…。
だよね~…、その通り!
・・・・」
ハァーー、ってため息吐いて、
カクリと項垂れて黙っちゃったわよ、ジェジュン。
ヒョヌに諭すように話してるうちに、自分に重なっちゃったのかしら?
「ちょっと、ジェジュン、話がずれてるわよ。
せっかく説教してやっても、あんたが自分の世界に入り込んでる間に、
ヒョヌの方は話聞いてないし。
こら、ヒョヌ!
カタログ見てないで、話し聞きなさい!」
「うわっ! 高~~!
680万ウォンだって!
うわっ、こっちは1200万ウォンだって!
これ、無理!!
なんでー!ダイヤもルビーも付いてないのに~!
お、こっちも同じだ!
高~~~~ッ!!!」
ギャーっ!と驚きながら、カタログの値段表に目を通していたヒョヌが、
ガックリと肩を落としてすべてのカタログを閉じた。
「やっぱ、世界的に有名なブランドのは高いね。
今の俺たちには到底無理だわ。
そのお兄さんが言ってくれたみたいに、
彼が俺のために選んでくれたリングならそれでいいよね!」
ヒョヌの『高~!!』って大声を、頬杖ついてあきれ顔で横目で見ていたジェジュンが、
ヒョヌにそう言われて、一瞬意外そうな顔したけど、満足そうに微笑み返したわ。
あら~、なんか、“男前な兄貴の顔”じゃない、ジェジュン。
諦めがついたヒョヌがカタログを一つにまとめて片付けようとしていたら、
なんと、ユノ君が、ヒョヌの方に手を伸ばして言ったの。
「そのカタログ、見せてもらえる?」
「え? ああ、いいですよ。
どうせ、買えないし、持ってても意味ないから、
欲しいのあったら、もらってもらってもいいですよ。」
「本当に?
悪いな、ありがとう。」
ヒョヌから、カタログの束を受け取りながらユノ君お礼を言ったわ。
すかさずジェジュンがユノ君に質問!
「ユノ、それ見て、どうすんの?」
どうするの?って聞いてるあんたの目、
すでに期待してるじゃない!
「ジェジュンに、1つプレゼントしようかと思って」
ユノ君、照れたふうに笑ってから、ジェジュンの目の前にカタログを置いたわ。
「ええ~~、いいの~♡!」
ジェジュン、胸の前で手を組んで身体くねくね。
さっきの“男前”はどこに行ったの!
“恋する乙女”が舞い戻って来たわよ!
つづく