よろしく ダーリン。♥♥~
~Secret Romance in Palace~
ユンホは、思わず立ち止まった。
そして、ジェジュンを振り返り、その顔をじっと見つめた。
ジェジュンは、下唇を突き出し唇を尖らせて、じとーっとユンホの顔を見返した。
「答え聞いてないから、この前から、ずっと気になってて…。」
「そんなことが気になるのか?」
「はい。・・・すっごく。」
真剣なあまりか、眉間にしわまで寄せて、じっとユンホを見つめるジェジュンに、
素直を答えてやるべきか一瞬悩んでしまった。
「くだらないことが気になるんだな。
俺は…、好みなんて…ない。」
そう、答えながら、中学時代に好きだった女優の顔が頭に浮かぶ。
「え~~! 本当に~??」
全く信じていないジェジュンが、不満そうに鼻にしわを寄せる。
その顔を見た瞬間、ユンホはドキリとした。
どういうことだ?!
花嫁候補の選考をしたチェ大監とパク令監は知っていたのか!
自分が、あの女優が好きだったことを!
母である王妃も?!
そんなことを瞬間考えてしまうほど、ジェジュンのした表情が、
あの好きだった女優のしかめっ面と重なった。
黙っていると澄まして取っつきにくそうにも見えるきれいな顔だが、
ドラマの中では、表情がくるくると変わり、きれいな顔をゆがめた不満顔や
拗ねた顔をよくしていた。
そのギャップもユンホは好きだったのだ。
その彼女の色白の顔と、ジェジュンの顔がダブる。
そう思ってしまった後は、そうとしか見えなくなってきた。
記憶の中の彼女の顔を思い出しながらよく見れば、
目鼻の配置というか…、(もちろん人間だれしも、
目も鼻も口も顔の同じ位置にあるのは当然だが、)
距離感というかバランスや形が…、似ている気がしてきた。
彼女の魅力だと思った部分…、
白い肌、高くはない鼻の形、ぷっくりとした赤い唇…。
そのどこもよく似ている。
確か…、左頬に小さなホクロがあった…。
そんなところまで似ているのか?!
うそだろ!
まずい…。
これは、まずいぞ…。
「とにかく、今は、ない!
好きになったら、それがタイプだ!」
この答えが、果たして、この場を逃れられる答えになっていたのか
冷静に考えることもできないまま、そう口走ると、ユンホは走り出した。
「エエ~~!
少しだけでも、あるでしょ~。
二重だとか、色が白いとか~、
シュートヘアーとか、歌がうまいとか、
料理が上手で、家庭的な人とか~」
ユンホのウェアーに掴まったまま、後を追いかけて走りながら、
ユンホの背中に向かってジェジュンが問いかける。
「それはお前じゃないか…、バカ。」
「ああーー! ひど~い! 人のことバカって言ったーー!」
先へ走って行こうとするのを阻止するように、握りしめたウェアーの裾を
右に左にグイグイと引っ張って、つれないユンホにジェジュンは抗議した。
つづく