「じゃ、ユノ、ジェジュン、気をつけて帰るのよ。
お楽しみは、これからなんだから。」
薄暗い地下駐車場で、自分たちの車に向かって歩きながら、
並んで後ろからゆっくりと歩いて来ている2人を振り返って言った。
ユノは、ジェジュンの肩に左腕をまわしていて、
ジェジュンは、ユノのその左手を握り返しながら、
すぐ真横にあるユノの顔を見上げて、
嬉しそうに笑って話していた。
ジェジュンの左手の人さし指と薬指には、
さっき、ユノがプレゼントすると言ってた、
ピンクのリボンとダンボの指輪が、
結局、2つともはまっている。
ジェジュンも、安易よね~。
買っても、せいぜい3、4,000ウォンの
オモチャの指輪で機嫌直しちゃってるんだから。
いつもは、その100倍、1000倍の値段の指輪を
もらっているくせに。
で、ユノは…、
ジェジュンの肩を抱く手とは反対の手に、
ジェジュンのカバンを持って歩いてるの。
彼女のカバンを持つ…彼氏。
ハァ~。
…完全に、“韓国カップル”の典型図だわよ。
そして……、
ジェジュンの右手は、ユノの腰よ、腰!
あのセクシーな肉厚のお尻あたりを、時々触ってる!
さっきね、
エレベーターの中でも、下に降りている間、
シーンと静かになった中で、
もそもそと動いてたジェジュンの右手に気付いて、
じっと見ちゃったわよ、私。
ユノは、お尻触られても、全然気にしてなくて、
ジェジュンが、ユノのジーンズのポケットに手を入れた時に、
顎をちょっと引いて、ちらっとジェジュンの顔を見ただけ。
ま、その時、ユノが片頬上げて、ニヤって笑って、
その顔を見たジェジュンが、上目遣いに見つめ返して、
ちょっとはにかんだ感じで微笑み返したの。
その、見つめ合い、
微笑み返し…って、
何か…、意味あり?
あるわよねー!
“ある!”としか思えない!
“ある”でしょ!
だって、
ジェジュンの機嫌、完全に、すっかり直って、
あの後からは、甘えた声で、ずっとユノに話しかけてる。
だけど…、
近い…、
近いわよ。
そんなにくっ付いてて、互いの顔見えてるの?
私なら、近すぎてピンボケしそうな気がするんだけど。
私以外に人がいないと思って、
思いきり、ベタベタしちゃってー。
いくら、男同志のスキンシップ度も高いって言われてる韓国でも、
この2人の間に流れる空気はね~、
ちょ~~っとそれとは違ってるもん…。
たぶんね…、
“ハッ…!
見てはいけないものを見てしまった!”
って、思わず目を逸らしちゃうと思うな~。
普通の人はね。
私は、違うけど。(笑)
だって~~、
ただの親友同士のスキンシップには、
到底見えないもの~。
…本当に2人とも、
私が居ること、完全に眼中にないみたい。
私も、チャンミンレベルに
“空気”か、“透明人間”になってきたのかしら?
……これって、喜ぶべき?
エレベーター降りた後、3人で並んで歩き出したけど、
べったりくっ付いて互いの顔を見つめ合って、
ゆっくり歩く2人のスピードに合わせきれなくなって、
とうとう追い越しちゃったわよ。
つづく