眉を下げて、早くもトホホ顔のホドンさんから、
ぎゃんぎゃんと言われて、ユノとジェジュンは、
急いでキッチンセットの所定の位置に並んで立ちました。
さぁ、ホドンさんの進行再開です。
「じゃ、ユノは、
今日はジェジュンさんのアシスタントなんですね。」
「はい。」
コクン、と頷くユノ。
「キャ~!」「エ~~!」
「エエ~~!」
会場の声と一緒に、ジェジュンも叫んでいました。
「なんですか?ジェジュンさん?
その嫌そうな顔は?」
「だって!
ユノと一緒じゃ、料理が進まないですよ~!
この前、インスタントラーメン作るのに、
1時間くらいかかったんですよ~!」
「1時間!!
どうやったら、インスタントラーメンで1時間かかるんですか!
ユノ、こんなこと言われてますけど、
本当ですか!?」
「いや~、1時間なんて…、
せいぜい…、
…50分くらいですよ。」
と両手の掌を上げて肩を竦めるユノ。
「キャ~!」「エーー!」
「かわい~~!」
「…なるほど…、
それじゃ…ダメですね。
だったら、ユノは、何もしないで、横に黙って立っていてください。
それだけで、十分、お客さんには満足ですから。」
「エエーー!
そんな~!
せっかく手伝いに来たのに~。
エプロンだって、わざわざ持ってきたんですよ~~。」
口を尖らせて、ぷっくりと頬を膨らませるユノ。
「かわいい~!」
会場からの「かわいい」コールに気を良くしたユノは、
いたずらっ子のように目を輝かせると、
ジェジュンの様子をじっと窺いながら、
やおら背中に手をまわすと、ジャケットの下に手を入れ、
ジーパンの腰に挟んでいたらしき
折りたたまれた黒いエプロンを取り出すと、
それをバサリと音を立てて広げて見せました。
「なぁーーーー!」
ジェジュンが叫びました。
「キャ~!」「エーー!」
「かわい~~!」
ユノが広げて見せた黒いエプロンには、
赤いリボンを付けたキティちゃんの顔がいくつもプリントされていました。
「ユノー!
そんなかわいいエプロン使ってるんですかー!?」
ホドンさんが大笑いしながらユノに聞くと、
キッチンセットの天板の上で突っ伏してるジェジュンの
背中をさすりながら、
「いえ、ジェジュンのです。
こっそり、持ってきました。」
どっと、会場から笑いが起こる。
(納得の笑い?)
「ジェジュンは、いつも、
もっとかわいいのを着けてるんですけど、
さすがにそれは、着る勇気がないので、
一番おとなしめのキティちゃんを持ってきました。
これ着たら、僕、何でもできますよー。
ジェジュンみたいに、野菜切ったり、炒めたり、
皿洗いだって。」
「皿なんか、洗わないってば~。
もう、勝手に持ってこないでよ~~。
超~恥ずかし~~~。」
ジェジュンが、赤くなった頬を左手で押さえながら、
右手を頭の後ろまで振りかぶって、ユノの腕を叩く素振りを見せると、
「あははは。」とユノが楽しそうに笑いながら、
両手を胸の前に出して手のひらでジェジュンの平手を受け止めます。
ペチペチとジェジュンが何度も叩いていると、
ユノがその手を握りしめ、ジェジュンもユノの手を握り返して、
2人は笑いながら楽しそうに見つめ合います。
「きゃ~~~♡」
(今日2度目の“2人の世界”…!)
つづく