よろしく ダーリン。♥♥~
~Secret Romance in Palace~
スクラップブックを取り上げられたユンホは、
スクラップブックを胸に抱きしめ、ユンホの目が触れない
隠し場所を探してウロウロと部屋歩き回るジェジュンを横目に、
口の開いたボストンバックをこっそりと開いて、
中を覗き込んだ。
…おい、まだあるのか、
…オレのスクラップ…。
“ユンホ殿下”のスクラップVol.3と書かれた
さっきのよりも小さめなA4サイズのノートが1冊。
あ、さらにこの下にVol.1がある。
ということは、さっきのはVol.2なのか?
それから、スナック菓子が2袋。
30cmくらいの大きさの茶色のクマのぬいぐるみ。
クマのくせに、勲章付きの赤い詰襟の軍服なんかを着ている。
このクマだけで、バックの1/3を占めてるんじゃないか?
こんなものまで、高校2年の男が持って来るか?
それから、なんだ?
このビニールポーチの中身は? 化粧品か?
香水の瓶のようなものやクリーム類の容器みたいなものが
いくつも入っているのが見える。
そして、折りたたんだ黒い布製のもの?
ポケットがついてるし、紐みたいな、リボンのようなものが
付いている…。これは、新しいな。
生地の感じも、黒い色も、まだ使っていない新品のものだ。
静かになった俺の気配が気になったジェジュンが、
俺の方を振り返って、また、飛び上がった。
「ああ~~~!!
また、見てる~~!」
ボストンバックの中に指先だけ入れて、
重なった荷物を動かしながらのぞいていたユンホの姿に気づき、
驚きと、恥ずかしさで、顔を真っ赤にして
ジェジュンが、さっきより大きな声で叫んだ。
駆け寄ってきたジェジュンが、
ユンホの胸を突き飛ばすと、
ボストンバックを掴みあげ両腕で胸に抱きしめた。
スクラップブックとボストンバックを胸に抱き、
真っ赤な顔で、ユンホの顔を恨めしそうに上目使いに睨むが、
まったく迫力がない。
逆に…、
かわいいくらいだ。
どう見ても、中学生の顔だ。
こんな顔を見たら、逆にいじめたくなるな。
ユンホは、涙目で頬を膨らますジェジュンを見て可笑しくなり、
笑い出した。
「あははははは。」
「わ、笑わないでください~~!
こ、これでも、僕の大切なものばっかりなんですから~~!」
「あははは。お菓子がか?
クマのぬいぐるみだなんて、子供だな~。」
「お、お菓子は、姉さんが、
“宮中じゃ、きっと食べれないはずだから”って、
僕の好きなお菓子をたくさん買ってきてくれてて、
だけど、全部は持って来れないから、…2つだけにして…。
プリンス・ユ…、あっ…、ぬ、ぬいぐるみは…、
…ほんとうに大切で、思い出のものだから、
離れられなくて連れてきたんです。
18にもなって恥ずかしいけど…、
6年生の時から、ずっと大切にしてきたものだから…。
人に何と言われたって、笑われたって、
手放せない…。」
目を伏せて話すジェジュンの切なそうな顔を見て、
ユンホは、笑うのを止めた。
「…悪かった。
思い出の品は、人それぞれだからな。
お前の場合は、それだっただけなんだし。
笑うなんて失礼だった。謝るよ。」
ユンホの言葉を聞いたジェジュンが、
驚いて顔を上げ、ユンホの顔を見つめた。
大きな目でユンホを見つめたまま、
フルフルと首を横に振った。
「いいえ…。
…認めてもらえて…うれしいです…。
ありがとうございます。
ユンホ様。」
…面白いな。
つづく