恋してもいいですか? 3-3  | ねーさんの部屋

ねーさんの部屋

ユンジェの妄想部屋です(時々旅グルメ)


ユノが、さっと腕を伸ばして、オレ右腕を掴み、
右手で背中を抱き抱えた。



「なに言ってんだ! 
こんな状態のあんたを1人で帰せるか!」



さっきまでも、不機嫌な口調だったけど、
今度は、本気で怒った声だった。



ユノのいつも優しい目が、怒ってる。



きつい目でじっと睨まれて、…悲しくなった。



「そんな怖い顔しないでよ。
…嫌われたかと、思っちゃうだろ…」



オレが口をへの字にしながら、俯くと、



「嫌いになんかならないよ。 …なさけないだけだ。」


不機嫌な声のまま、ユノがぼそりと言った。



オレは、顔を上げると、上目づかいにユノの顔を見つめた。



「なさけないのは、ダメなの? 
オレ、なさけないから嫌いになった?」



「…ならないよ。」



「じゃ、すき?」



「え? …なに言ってんだ?」



ユノは、びっくりしたように目を見開いた後、
酔っ払いの戯言に、思わず天を仰ぐ。



オレは、すっきりととがったユノの顎のラインを
せつなく見上げながら、つぶやく。



「オレは、…すき。
オレは、ユノのことが好き。 
ユノは…?」



オレの言葉に驚いたユノが、
さっきよりびっくりした目をしてオレの顔を見下ろした。



そして、オレの顔をまじまじと見たあと、
視線だけオレの顔からそらしながら、

「……好きだよ、もちろん。」と、言った。



視線を逸らしたユノの横顔をじーっと睨みながら、
オレは、頬をぷ~っと膨らませ、下唇を突き出して、
ユノへ不満を訴えた。



「…嘘くさい…、
…それに、心もこもってない!」



大声を出したオレを、ユノが呆れた表情で見つめる。



なんだよ。その呆れ顔は~。



オレの不満が一気に爆発した!



「なんだよー! ほんとに好きなら、キスしろー!」



オレは、ユノに向かって叫んでいた。




…で、キスをした。
というところで、目が覚めた。


ねーさんの部屋-1


ぐるりと視線だけ回らせて周りを見れば、
間違いようもなく自分のマンションのベッドの上だった。




なんだ、夢だったのか~。


……残念。




ふーっと1つため息をつくと、ちらりと、ベッドサイドの壁に
視線を向けた。



長い足を高く上げて蹴りのポーズをとった
カッコいいユノのポスター。



テコンドーの試合の日にユノから特別にもらったポスター。
その日の晩に、この壁に貼った。



そのポスターのユノの顔を見ながら考える。




う~ん、酔っぱらって帰ってきたことは、現実みたいだ。



昨日出かけた時に着ていたシャツとジーンズのままだし…。
上着は…、どっかに脱いだのかな?



酔っぱらって帰ってきて、そのまま寝てしまったんだな、きっと…。




唇が触れた感触とか、
ユノの顔の大アップとか、
けっこうリアルだったけどなぁ~。



はぁ~っと、大きなため息をつきながらベッドから起き上がり、
顔を洗うために洗面所に行った。



寝室のすぐ前の洗面所で、顔を洗い、歯を磨くと、
リビングへ向かった。




清々しい風がリビングに流れ込んでいる。



…ん? なんで?!



どこか開いてる窓があるのか…?



心配になって、リビングを横切り、
風を感じるベランダ側のガラス戸の方へと歩き始めた。



その時、ふっと、“何か”が俺の意識を刺激した。


左の視界の隅に何かが…。



その気になる方向を見回す…、
すると、リビングのソファーセットのテーブルの上に、
見慣れない白い携帯。



テーブルに近づき、その携帯を手に取った。



くるりと周囲を見回すと、
ソファーに置かれた黒いバックが目に入った。



このバック、どこかで見た…?



でも…、思い出せない…。




                  つづく



(画像はお借りしています)