恋してもいいですか? 1-2 | ねーさんの部屋

ねーさんの部屋

ユンジェの妄想部屋です(時々旅グルメ)

 

講義の途中で、彼が、
着ていた濃紺のPコートを脱いだ。

 

えんじ色のセーター姿になった時、
彼の均整の取れた上半身が目に飛び込んできた。

 

正面から見た時にはわからなかったが、
ものすごく胸板が厚い。


ただのスレンダーではなく、
均整のとれたボディーの持ち主だということが、
背中の筋肉の付き方でも窺えた。

 

 

ヤン教授の講義は、
いつ聞いても興味引かれるものだった。

 

ただ、今回は、目の前に、
それ以上に興味引かれる存在がいたので、
集中できたのは70%くらいかな。

 

それでも、講義が終了に近づくころには、
気になる彼の存在も忘れ、教授の話に吸い込まれていた。


講義終了のチャイムがなった時、初めて、90分の講義時間が
経過してしまっていたことに気が付いたほどだった。

 

 

「じゃ、今日はここまで。」


教授が、講義終了の言葉を口にすると、
学生たちが一斉にばらばらと立ち上がり、
教室を出て行き始めた。

 

ジェジュンは、ヤン教授のいる教壇のところまで降りて行き、
学生からの質問を受けている教授を待った。

 

2人揃って教室を出ると、
講義棟の出口に向かって歩きだした。

 

すると…、
廊下の5メートルほど先に、女子学生の輪ができていた。

 

その中心に、1人の背の高い男性が立っていた。

 

…さっきの…男子学生だ!

 

女子学生に囲まれて、
特に嬉しそうな表情でもないし、
かと言って困った表情でもない。


口元に微かな微笑みを浮かべて、
女子学生の相手をしている。

 

ジェジュンは、ココはホントに大学か?


女の子たちがアイドルの出待ちをしている
TV局の前みたいじゃないか…!と、
内心、あっけに取られながら、
その女子学生の固まりの横を通り過ぎようとした。

 

その時、ゆっくり顔を上げた彼と、目が合った。

 

今度は、彼はすぐに視線を外すことなく、
ジェジュンをじっと見た。

 

ジェジュンも、
彼の前を通り過ぎる間、彼を見つめた。


ねーさんの部屋-1

 

女子学生の集団の横を通り過ぎても、
ジェジュンはしばらく黙っていた。

 

彼の視線が今も絡んでいるみたいに思えて、
緊張していたためだ。

 

「すごいだろ、彼。」


「えっ?」


「さっきの、女子学生に囲まれていた学生のことだよ。」

 

「…あ、あぁ~…」


ジェジュンは、思わずドキリとした。

 

自分が、今、彼のことを考えていたことを
ヤン教授に見抜かれてしまったのかと思って、
少し焦ったからだ。

 

「…あの容姿ですからね。
背も高いし、顔もいい。
女子には人気でしょう。」

 

自分が彼に興味があることを悟られないように、
さっきまで自分が観察していたことは言わずに、
しごく当然の、一般的な感想を考え、
平静を装いながら口にする。

 

ジェジュンの心配をよそに、
ヤン教授は、にこにこ笑いながら、
自分の学生の自慢を始めた。

 

「ああ、すごい人気だよ。
おまけに、顔だけじゃない。成績も優秀だよ。
法学部でトップらしい。
その上、礼儀正しい。
あ~あ、神は不公平だねぇ。
僕みたいな7頭身の薄禿げ男と、
ユノ君みたいな青年を
同じ世界に住まわせるんだから。」

 

「礼儀正しい? 
でも、今日は、講義に遅れて来てたでしょ?」


ジェジュンは、眉を寄せ、首を傾げながら、
楽しそうなヤン教授の顔を見つめて、疑問を口にする。

 

「ああ、彼は、いつも5分ほど遅れて教室に入ってくるんだよ。
開始前に教室に行くと、さっきみたいな状況になっちゃって、
女子学生が落ちつかないから、って。
迷惑をかけるかもしれないって、
ちゃんと事前に詫びにきたんだよ。
いや~、感心したねー。
それで、講義終了前に教室を出ることにしてるんだけど、
今日は出遅れちゃったようだね。
案の定、女子に取り囲まれちゃってただろ。」

 

「へぇ~。芸能人みたいですね。」

 

「ああ、そうなんだよ。
実は、彼は、2年前まで、モデルをしてたらしいよ。
かなりの人気だったらしい。
いろんなコレクションから誘いが来てて、
引っ張りだこだったみたいだ。」

 

「えっ。モデル?
でも、そんなに有名なら、いくら芸能音痴のオレでも
知ってるんじゃないですか?」

 

「ああ、彼はね~、
パリコレとかミラノとか、こう歩いて服を見せてく方の
モデルの方だったらしいよ。
だから、普通の雑誌には、そんなには載ってなかっただろうね。
テレビにも出ないだろうしね。」

 

「ああ、なるほど…。そっちのモデルですか…。
うん、納得ですね。」

 

彼の美しいまでの立ち姿を思い出して、腑に落ちた気がした。

 

 

                    つづく

 

 

(画像はお借りしています)