千早 茜さん
「透明な夜の香り」

ページを捲るたびに様々な香りが
香ってくる作品。
香りを文章のみでここまで堪能した作品は初めて。
香りを読む。というとても不思議で新しい感覚。
香りってなんて奥が深いんだろう!

何気なく過ごす日常と、嗅覚という感覚はものすごく密接なんだと改めて知った。
色々な匂いを思い出した。


人並み外れた嗅覚をもった
調香師・朔が作り出す香りは
淋しく、悲しく、妖艶で、時にドキッとするほど残酷で冷ややかだ。
一香との出会いによって朔の嗅覚や香りへの意識が幸せなものに変わって行けばいいな。と思う。

千早茜さんは初読みでしたが、
まさに「香り」立つ湿度を感じる作家さんだと思った。

例えば
朔の声を

落ち着いた深い声だった。
このワンピースの紺色のような、
暗く見えてかすかに色が溶けている、抑えた声色。

と表現されていて、この声だけで
朔という人を深く吸い込まれるように想像してしまう。

惹き付けられる表現がたくさんあって、艶がある美しい文章がたくさんありました。

こちらの作品、続編があるようなのですが、読んでみたい気もありますが...私的に満足なラストだったので...
もう少し余韻に浸ってから読むか考えようと思います。


お読みいただきありがとうございます。
楽しい火曜日の夜をお過ごし下さい。