今村夏子さん原作
『こちらあみ子』

原作未読です。
今村夏子さん作品は「あひる」と「むらさきのスカートの女」
を読みましたが、読後感が独特で、表面上特に何か起こる訳ではないのに、ゾクッとするというか
胸の中にずっと飲み込めないものが残るというか...
『こちらあみ子』も原作にしようか悩んだのですが、まずは映画の方がマイルドかなと思って...なんとなく恐る恐る観始めました。

一言で言うと...面白かった!

ただ本当に色々思うところがあった。有り過ぎた。

あみ子のような子供を私は沢山知っている。
どうしても周りに不協和音を生み出しちゃう子。
今よく耳にする「グレーな子」

丁度先日、のぶこさんとも「何をもってしてグレーなのか?」
カテゴライズしてしまうことへの
疑問を語り合ったばかりだ。


とても純粋でストレートなんだけど、あみ子なりにちゃんと考えて思う事があっての行動。
けれどそれは周りから見れば
「面白い子」「変わった子」
「気持ち悪子」になってしまう。

本当のお母さんだったら解ってくれたであろうあみ子の行動が、
義母にはただただ再起不能になる程の行為になってしまった事。
父親までがお手上げになってしまった事が残念でならない。
そうじゃないんだよ。。と何度も言いたくなった。

あみ子の育つ環境は恵まれている方だ。田舎の喉かな町。
人々には都会にはない余裕があり、温かい目がある。(中学校の養護教諭がとてもフラットで良かった!)
それでも、あみ子はさらに奥へ...
祖母の家に預けられてしまう。
あみ子にとってそれが良いと考えたからだろうが、帰って行く父親の車を見えなくなるまで見送るあみ子の顔はどこか傷ついて見えた。どちらが幸せ?

預けられた夜。一晩中スキップして辿り着いた海で、あみ子を長年怖がらせたオバケ達にバイバイする。
あみ子はこれからどう成長して行くのだろう。
生き辛い世界の中であみ子の世界はどう膨らんで行くのだろう。

その世界を完全に理解することは出来ないけれど、ほんの少しでも「カテゴライズ」せず色眼鏡をせずに解りたいと思った。
身近にいる「あみ子」達に私はどう向き合って行こう。と考えさせられた。

そしてやっぱり
あの頃の自分の未熟さに打ちのめされた。
息子の顔が見たくなった。


これは...原作を読むには
ちょっぴり勇気がいるかも知れない。でも決めた!読む!


お読みいただきありがとうございます。
楽しい金曜日をお過ごしください。