荒山徹さん
「白村江」

六六〇年、唐・新羅連合軍によって百済は滅亡、王とその一族は長安に送られた。遺された王族は倭国へ亡命していた豊璋ただ一人―。新羅の金春秋、高句麗の泉蓋蘇文、倭の蘇我入鹿、葛城皇子(のちの天智天皇)…各国の思惑は入り乱れ、東アジアは激動の時代を迎える。大化の改新、朝鮮半島の動乱、そして白村江の戦いへと連なる歴史の裏でうごめいていた陰謀とは。圧倒的スケールで感動必至の長編小説。
(裏表紙より)



はゆる。自称・飛鳥時代から奈良時代歴女。
この時代が大好きだ!!
事実と伝説上と入り交じる時代だが、確実に今の日本の礎、国礎となった時代。
稀代の政治家が、傑物がいた熱い時代。

そして、
歴史はロマンだ!!と感じる時代!



「白村江」この題名を見て読まない訳にはいかないっ!!

白村江の戦い周辺の時代に関する書物は何冊か読んだ事がある。
長岡良子先生の「夢の奥城」などもその一つだ。

この時代に関する資料はほぼ無い。
日本書紀や万葉集等に僅に残すのみだ。
その数行から人物の繋がりや、その史実の裏側で行われた真実を読み解き想像するがめちゃくちゃ楽しいのだ!!

荒山徹さんの「白村江」は、
冒頭部分での目を覆いたくなるような残虐な描写はあったもののそれ以外は
はゆるの歴女なツボにドストライクだった!


私の学んだ「白村江の戦い」はざっくり書くと、
百済救済の為、援軍を送った葛城皇子(天智天皇)が唐・新羅軍に惨敗し、百済が滅びる。
だったのだが!

いやはや!こんなカラクリがあったとは!!
「白村江の戦い」そのものに焦点をあてず、
開戦までのそれぞれの国の思惑や、駆け引き、策略等に焦点を当てた作品になっている。



そして、はゆるを魅了しまくる歴史上の人物で5本の指に入る葛城皇子(=中大兄皇子=天智天皇)をイメージ通りに描いてくださった!(冷徹無比な政治家で策略家だが、熱いイメージ...や。ほぼ長岡良子先生の葛城皇子で固定されているのだw)

あまり良いイメージのない蘇我入鹿だが、この作品の蘇我入鹿は爽やかで颯爽として彼なりの倭国への熱い愛をもった生命力溢れた青年に描かれていたのも良かった!

他にも中臣鎌足、金春秋...歴史上有名な人物らが生き生きと力強く描かれていている。

そして、運命に翻弄されながらも百済の王として生きると決めた余豊璋と、田来津の二人の青年の心の通い合った友情にもぅ涙涙涙!
こう描かれた荒山徹さんにスタンディングオベーション!!
こんな涙のラストの白村江があったか!
やはり。歴史はロマンだ!

百済サイドからも、新羅サイドからも、
高句麗、唐サイドからも、そして倭サイドからも細やかに描かれていて、歴史好きにはたまらないエンターテイメント歴史小説!
面白かったーっっ!!



お読みいただきありがとうございます。
楽しい月曜日の夜をお過ごしください。